外国旅行でも教材研究を

2019.07.01
守屋 誠司

海外へ行く機会があったら,是非とも,科学や数学の授業のネタになるような場所を訪ねて欲しい。事前にネット等で調べておくのが一番良いが,私の場合は旅行者のためのインフォメーションセンターに真っ先に寄り,現地ガイド資料を購入したり受付で聞いたりしてネタを見つけることが多い。

ドイツのニュールンベルグには古い街並みと壁に画かれた日時計が再建されている。現地の天文学研究者がこの町にある日時計ツアーを企画した際の資料が手に入ったので,半日掛けて,親友の数学教授と13個ある日時計を見つけ歩いた。

また,この街の中心の広場には古い泉があり,その泉の周りを聖人像が囲っている。手に直角定規とコンパスを持った幾何学者ユークリッドや日本では数学の定理で有名な音楽学者ピタゴラスもいる。

フランクフルトから列車で1時間弱のギーセンには数学に関する世界で唯一の博物館がある。参加型展示で,数学を体験できるようになっていて面白い。この町には,X線を発見したレントゲンの墓があることを事前に調べていた。数学博物館から徒歩20分の旧墓地で,やっと見つけられた。

レーゲンスブルグ駅広場では数学モニュメントを偶然に見つけた。黄金比を持つ名刺を3枚組み合わせた立体で,その頂点を結ぶと正20面体ができる。ベルリン工科大学数学科の玄関にあるベルリン熊のデザインにもなっている。

旅行中にちょっと気を配ると,子どもや生徒が興味を引きそうなネタを見つけられる。これも教材研究の一つである。

プロフィール

  • 教育学部教育学科 通信教育課程 教授
  • 東北大学博士課程情報科学研究科修了。博士(情報科学)。
  • 山梨県の公立小・中学校の教諭を勤めた後に、兵庫女子大学専任講師、山形大学助教授、京都教育大学教授を歴任。この間に山形県立保健医療大学、福島大学、大阪教育大学等の非常勤講師を務めた。京都教育大学名誉教授。山梨大学・東京福祉大学非常勤講師。
  • 専門は数学教育学で、教材開発や教育方法、数学的認知、比較数学教育、数学の文化史を研究する。
  • 数学教育学会理事。
  • 著書:『小学校指導法 算数』(玉川大学)編著・他多数。