「心」の育ちを丸ごと見つめる
2026.03.01
池田 慎之介
2025年度より教育学部教育学科に着任しました池田慎之介です。本学の通信教育課程では「発達心理学」を担当しております。僕自身は、大学時代には幼稚園教諭を志して保育を学び、大学院に進学してからは保育現場と研究室を往復しながら子どもの心の成長について研究してきました。現在は2人の娘の育児に追われながら、研究と実践(≒子育て)の在り方を日々考えています。
さて、僕の担当する「発達心理学」とはどのような科目でしょう。文部科学省による教職課程コアカリキュラム1を見ると、「幼児、児童及び生徒の心身の発達及び学習の過程」という項目の中に、
- 幼児、児童及び生徒の心身の発達に対する外的及び内的要因の相互作用、発達に関する代表的理論を踏まえ、発達の概念及び教育における発達理解の意義を理解している
- 乳幼児期から青年期の各時期における運動発達・言語発達・認知発達・社会性の発達について、その具体的な内容を理解している
という2つの到達目標が定められています。つまり、幼児→児童→生徒という時期における、言語や社会性など様々な心の育ちについて学ぶ科目と言えるでしょう。
ここでぜひ意識していただきたいことがあります。発達心理学のテキストを開いて目次を見てみると、多くの場合、この到達目標のように「乳児期の発達」「幼児期の発達」「児童期の発達」と時期で分けられていたり、「認知の発達」「感情の発達」「言語の発達」と働きで分けられていたりします。また全15回の授業も、時期や働きで区切って解説をしていくことになります2。ですが、子どもの心の育ちにおいて、「幼児期」と「児童期」の間に何か本質的な区切りがあるわけではないですし、「感情」や「言語」が別々のパーツとしてそれぞれ勝手に成長していくわけでもありません。子どもたちは、日一日と行きつ戻りつしながら(しかし後から振り返ってみると劇的に!3)、様々な心の働きを連動させながら成長していきます。年長の3月にできたことが、なぜか小学1年生の4月にできなくなってしまう(しかし夏ごろにはまたできるようになる)こともあるでしょう。また、言葉の成長によって複雑な会話ができるようになり、これまで経験したことのない感情を覚えることもあるでしょう。発達心理学について専門的な知識を学びながらも、決して微視的にはならずに、子どもの心の育ちを丸ごと見られるようになっていただけるといいなと思います。
- 教職課程コアカリキュラムとは、教員となるにあたり全国どの大学の教職課程でも共通して修得すべき資質能力と、それを身につけるための体系的なカリキュラムを示した指針です。
- テキストや授業を構成するうえでは、どうしてもこのようにコマ切れにせざるを得ないところもあります。
- 後から振り返った時の子どもの成長の凄さは、親になってから一入に感じます。
プロフィール

- 所属:教育学部教育学科
- 役職:准教授
- 最終学歴:
・東京大学大学院教育学研究科 博士課程 単位取得満期退学
・博士(教育学)(授与機関:東京大学) - 専門: 発達心理学
- 職歴:
・京都先端科学大学 人文学部心理学科 専任講師・准教授
・金沢大学 人間社会研究域学校教育系 准教授 - 著書:
・『生成AI×ロボティクス』(共著)第4章執筆 春風社
・『あなたの経験とつながる教育心理学』(共著)第4章執筆 ミネルヴァ書房 - 学会活動:日本心理学会、日本感情心理学会




