新しくなった大学図書館

2015.08.01
松山 巌

今年の4 月から,本学の図書館がリニューアルしました。学園の正門を入ってすぐ,玉川池のほとりに新しく建った7 階建ての「大学教育棟2014」という建物の1~4 階に入り,名称も「教育学術情報図書館」となりました。このうち1・2 階は書架と自習室(個室96 室)が並び静謐が保たれた空間,3・4 階はグループで話し合ったりパソコンを使ったりしながら学び合う空間(ラーニング・コモンズ)と分かれています。デザインのコンセプトや,構造上の様々な工夫などは,「全人」5 月号や本学のウェブサイトに詳しいので,一度ご覧下さい。
これまでの図書館は学内の5 箇所に分散していましたが,それを1 箇所に集中させました。このため,学部によっては今までのように授業の前後に気軽に図書室に行くのが難しくなりましたが,これまでのどの校舎よりも駅に近いところに位置し,また基本的に1 日2 回は通る道ですので,学生もさほど不便ではないようです。
セルフサービスの自動貸出機が設置されました。借りるときに職員の目が何となく気になってしまう人には朗報でしょう。
従来は,これら5 館に入りきらない図書や雑誌など(まとめて資料と呼ぶ)は,学園のさらに奥の方にある書庫に保管してありました。閲覧や貸出はできるのですが,頼んでから半日~1 日待たないと出てきません。それが今後は,全資料がこの建物内に収蔵されているので,待ち時間が10 分程度と非常に短縮されました。とはいえ,100 万冊はあろうかという全資料を普通に書架(本棚)に並べるとなると相当の場所が必要です。そこで,比較的利用の多いものは普通に書架に並べ,残りは集密書架(通路を減らして詰めて配置した書架)と自動書庫に収めています。
この自動書庫は,簡単にいうとカートの中に本をぎっしり詰めて,立体駐車場のように3 次元的に収納するものですので,普通の本棚のように本の背中を眺めて「こんな本があったのか」と気づくような探し方はできません。確かに待ち時間は減りましたが,やはり書庫なのです。OPAC(コンピュータ目録)で検索しないとどういう図書があるか分かりません。「役立つ本を偶然発見すること/能力」をセレンディピティといいますが,本棚の前のように「何となくウロウロする」ということができないOPAC でセレンディピティを発揮するのはなかなか難しく,幅広い知識と検索スキルが必要になります。

プロフィール

  • 通信教育部 教育学部教育学科 准教授
  • 東京大学大学院教育学研究科博士課程修了。
  • 中学・高校の理科教諭(地学)を経て現職。
  • 専門は図書館情報学(情報資源の組織化を中心に)。
  • 著書:『CD-ROMで学ぶ情報検索の演習』『韓国目録規則3.1版日本語訳』(いずれも共著)など。
  • 学会活動:日本図書館情報学会、日本図書館研究会、日本地図学会など。
  • 関心のある分野は韓国、漢文、フォント、音声学、地質学、確率論など。
  • 趣味はカラオケ、地図読み。
  • 好きなものは辞典・事典、新聞の号外、計算尺、スコア(総譜)、クリスマスの音楽。