Edu Track を活用した主体的な学び

2016.03.02
湯藤 定宗

「皆さんは、玉川大学通信教育の学生の学びをさらに充実させるために今年度から導入されたWeb TAMAをどの程度活用されていますか。また、その中のEdu Trackというツールをご存知でしょうか。」
 今年度、私が担当した通学スクーリング「教育課程編成論」においてパイロット的にEdu Trackを取り入れて、授業を行った。Edu Trackを導入することによって、私の仕事量や学生が課題を行う時間が増えたことは事実である。しかし、実感としてはしっかりとした手ごたえや肯定的な驚きを経験することができた。以下においてその一端を紹介したい。
 今回、Edu Trackにおいて実際に私が準備・提供したのは、主に三つである。第一に授業の概要を説明する映像の提供、第二に授業で使用するプリントのEdu Track上での掲載、第三にディスカッションという機能を使った、学生同士、及び教員による双方的な意見交換である。
 第一の授業概要の映像については、数分間ではあるが、教育課程編成論の授業目的などを受講予定の学生に動画として事前に提供した。どれほどの効果があったかは、学生へのアンケート等での検証が必要ではあるが、動画によって、授業概要の理解はもちろん、担当教員の雰囲気がわかる点は良いと思う。
 第二のプリント掲載については、今回の通学スクーリングが、週1回250分×6回という授業形態ということもあり、時間をかけて予習をしてから授業に臨むことができる点は、学習効果も高く、学生からも好評であった。
 第三のディスカッション機能の活用では、指定した書籍の一部を読んだ上で、テーマ「あなたにとって授業とは何ですか」等に200字程度で返答するという課題を課した。今回はパイロット的な取り組みということで点数には加味しないことを説明し、課題を出した。受講生76名に対して最初は6名だった投稿数が、後半には30名を超える学生が投稿をした。また、このディスカッションでは、他人の投稿を見ることができることに加えて、その投稿に対してコメントを返すこともできる。その機能を活用し、学生同士の意見交換が頻繁になされていた。点数などに縛られない主体的な学びを多くの学生自身が楽しんでいる様子が頻繁に見られた。
 最後に、今回のEdu Trackにおいて、最も驚いたことを伝えておきたい。それは、今回の通学スクーリングでは想定していなかったが、学生Kさんが、掲示板という機能を活用し、「この授業の仕掛けについて」というテーマを独自で設定し、今後近い将来教壇に立つことを意識した、学生同士の意見交換が積極的に展開していたことである。最終的には投稿数36 、閲覧数450(12月16日時点) という数字が、学生の主体的な学びの実態を示している。Edu Trackというツールを自ら積極的に活用している様子に感動すらした。
 今後も、玉川大学通信教育部としてさらに学生の学びが深まるような取り組みを、学生のニーズを捉えつつ、展開できればと思う。

(平成26年4月1日着任)

プロフィール

  • 通信教育部 教育学部教育学科 准教授
  • 広島大学大学院教育学研究科博士課程単位取得退学。教育学修士。
  • 専門は、教育経営学・教育行政学・教育制度学
  • 趣味:野菜づくりと読書、そして我が子たちと遊ぶこと
  • 著書に『なぜからはじめる教育原理』(共著、建帛社、2015年)『新・教育制度論』(共著、ミネルヴァ書房、2014年)、『教職概論』(共著、協同出版、2014年)、『新教職概論(改訂版)』(共著、学文社、2014年)、『教育制度と教育の経営(改訂版)』(共著、あいり出版、2014年)、『学校評価システムの展開に関する実証的研究』(共著、2013年、玉川大学出版部)、主要論文として『米国チャータースクールにおけるスポンサーによる学校評価に関する研究』(単著、日本教育経営学会論文誌(52))などがある。
  • 学会活動:日本教育経営学会(紀要編集委員)、日本教育行政学会、日本教育制度学会、関西教育行政学会、アメリカ教育学会、中国四国教育学会 会員