SDGsへの取り組み

国際共同研究で開発途上国の作物を病害から守り、豊かな社会へ

2021.05.13

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バナナ・カカオの難防除病害管理技術の創出をめざした国際共同研究がスタート
地球規模課題対応国際科学技術協力プログラム(SATREPS)採択決定

日本においてバナナは果物のなかで年間消費量が最も多く、1 世帯当たり年間消費量は 18.43kg であり、バナナ自体が平時の食料安全保障において安定的輸入が確保されるべき重要作物として位置づけられています。その主な輸入元は共同研究を行うフィリピン共和国であり、総輸入量の 85%を占めています(1973 年 ~現在)。同共和国内でもバナナ産業は 20 万人以上の一大雇用を生み出しており、持続的な生産とその拡大による農村住民の所得向上は、同国の国家開発計画に記された最重要課題と位置付けられています。また、チョコレートの原料となるカカオも、バナナと共に主要な換金作物として、多くの開発途上国での農業に従事する人々の生活を支えています。
しかし、防除法方が確立されていない病害が大きく広がり、2019年には同国ミンダナオ島で約3,000haの耕作地が放棄されるなど、その影響は深刻な事態となっています。そこで現在、玉川大学では、世界的に解決が求められているバナナ・カカオの重要病害への持続的かつ効果的な防除を目的とした研究を行っています。
この研究は、「難防除病害管理技術の創出によるバナナ・カカオの持続的生産体制の確立」として、2020年6月、科学技術振興機構(JST)と国際協力機構(JICA)による「地球規模課題対応国際科学技術協力プログラム(SATREPS)」の令和2年度新規採択研究課題として条件付きで採択されました。
この結果を受け、玉川大学は研究代表機関として、フィリピン共和国との間で5年間の国際共同研究をスタートさせ、国内7つの研究機関とともに現地での活動に取り組みます。またSATREPS を通じてフィリピン共和国セントラル・ルソン大学と同国農業省と協働することで、「我が国の農学、工学、経済学の知識・技術」、「産官学の連携」、 「フィリピン国の持つ研究ポテンシャル」のそれぞれを活用し、既存技術と革新技術によりバナナ・カカオの難防除病害管理技術体系を確立し、破壊的インクルーシブ・イノベーションとして地球規模の課題である食料安全保障問題の解決への貢献をめざします。

研究体制

日本国研究体制

  • 研究代表機関 玉川大学
  • 研究代表者:農学部/学術研究所 菌学応用研究センター 教授 渡辺京子
  • 共同研究機関 三重大学 東京農工大学 株式会社 ユニフルーティー ジャパン ボッシュ株式会社
  • 協力機関 日本大学 森林研究・整備機構 東京農業大学

フィリピン共和国研究体制

  • 研究代表機関 セントラル・ルソン大学
  • 協力機関 フィリピン共和国農業省 フィリピン収穫後処理開発機械化センター
    フィリピン共和国農業省 農業バイオテクノロジープログラムオフィス
  • 今後は外務省による相手国政府との国際約束の締結、JICAによる相手国関係機関との実施協議の上、研究を開始しますが、相手国や各機関の情勢により計画変更などが生じる可能性があるため、現段階では条件付採択となります。
    詳細は、JSTより令和2年6月25日付けで公開されています。

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