SDGsへの取り組み

世界初の実証実験などを通して環境保全に貢献できる人材を育成「Tamagawa Mokurin Project」

2022.07.11

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数多くの樹木が生い茂る玉川学園では、この優れた環境をさまざまな教育活動に取り入れてきました。そして2022年度からは、これらの活動をさらに推し進めた「Tamagawa Mokurin Project」が始動します。

  • Mokurin=木輪

玉川学園創立当時の写真を見ると、玉川の丘は決して樹木に覆われた自然林ではなかったことが分かります。この丘は100年をかけて生徒や学生、そして教職員が手入れを行って作り上げてきた里山なのです。その環境を維持するためには定期的に間伐を行い、樹木が育つ環境を整えることが必要だったのですが、過去何十年かは放置されたままの場所も少なくありませんでした。そこで近年はかつての豊かな里山環境を取り戻すため、聖山などで教職員や児童、生徒、学生らによる樹木の間伐に取り組んでいます。

2018年度からは、その間伐材を教育活動などに活用していく「Tama Treeプロジェクト」がスタート。テープカッターや椅子を製作したり、さらにはSTREAM Hall 2019 内の装飾部材に使用されるなど、有効活用されてきました。樹木を伐採することは「自然破壊」といったイメージを持たれがちですが、CO2の吸収率が落ちた古木を伐採し、新たな樹木が育つ素地を作ることは、むしろ自然を活性化させるためには重要といえます。

STREAM Hall 2019内
STREAM Hall 2019内

そして「Tamagawa Mokurin Project」では、伐採した木のうち教育活動や建材として利用できる材は、木材低温乾燥装置で乾燥させ、それ以外の建材などで利用できないものは炭にして土に還す、世界初の実証実験にも挑戦。木材よりもCO2吸収率の高い炭の特性に着目し、木材を炭化させることでゼロカーボンの先を行くマイナスカーボンを目指します。また農学部の友常満利准教授、工学部の平社和也助手、Secondary Program Divisionの瀬底正宣教諭が連携し、教育環境を推進していきます。友常先生が炭化実験を行い、平社先生がSTREAM Hall 2019のメーカーズ・フロア、瀬底先生がアートセンターの建物内にあるアートLabで学内伐採材を教育活動に活用していきます。さらにその先には、炭を用いたプロジェクトや産学連携など、さらなる発展も想定。木の輪のようにネットワークを広げていくことで児童、生徒、学生が木に関わり、木に対する親しみや理解を深め、地球環境保全のために貢献できる人材となることが目標です。

北斗館 木材低温乾燥装置

玉川学園が新たに導入し、北斗館に設置した木材低温乾燥装置。生きた本物の木を子供たちに触れさせるため、木材を45度の低温乾燥することで、木の酵素を保ち、精油成分を残すことができるため、「本物に触れる教育」を実践していきます。

マイナスカーボンを目指す、世界初の実証実験

農学部の友常満利准教授が提唱する、CO2排出量ゼロの先を行く、マイナスカーボン(より多くのCO2を留め置く)に関する世界初の実証実験を行っていきます。1,000年単位でCO2を留められる炭の性質に着目。木材を炭化させることで炭素の隔離を行い、炭素吸収量の増加を目指します。