SDGsへの取り組み

持続可能なエネルギー活用をめざしたTSCP ( Tamagawa Sustainable Chemistry-powered-vehicle Project )の挑戦

2021.05.13

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世界のエネルギー消費量は年々増え続けており、その多くを石油・石炭・天然ガスといった化石燃料に頼っているのが現状です。これらのエネルギー源は経済活動や私たちの生活に不可欠な存在ですが、有限な資源であり、あと数十年で枯渇するともいわれています。また化石燃料を大量消費することで、二酸化炭素の増加による地球温暖化が進み、異常気象や食糧問題など地球規模の深刻な問題が発生しつつあります。

玉川大学・玉川学園では、これらの問題に対し、ソフトエネルギープロジェクトを発足し、ゼロエミッションをめざすエネルギー研究を進めています。その中心的存在が『Tamagawa Sustainable Chemistry-powered-vehicle Project』(TSCP)です。
TSCPは、発足当初『Tamagawa Solar Challenge Project』(TSCP)として、太陽光エネルギ-利用技術の研究するためソーラーカー開発を題材として取り組んできました。1997年から、JISFC/WSR(全日本学生ソーラーカー&FCカーチャンピオンシップ/ワールドソーラーカーラリー)に出場し、JISC/WSR、JISFC優勝を通算15回、総合優勝は7回、さらに、燃料電池とソーラーカーを組み合わせたハイブリッド・ソーラーカーでは9連覇達成という結果を残しています。
2003年にはソーラーカーの安定した走行をめざし、燃料電池と太陽電池を組み合わせたハイブリッド・ソーラーカー「アポロンディーヌ号」を試作し、世界で初めてハイブリッド・ソーラーカーによるオーストラリア大陸横断4,000km走破を成功させました。さらに2008年にはバイオマスエネルギーを利用した走行を目標として、廃糖蜜を餌とした水素菌によるバイオ水素発酵を行い、そこで生成した水素を使って、燃料電池でモーターを駆動して走る4輪2人乗り水素自動車の試験走行に成功しました。
また、持続可能な社会を構築するために役立つ技術やシステムの実験などを目的として2011年に新たに設置された「グリーンフリート部門」において、バイオ水素四輪車がコンセプト賞を受賞するなど、着々と実績を積み上げてきました。

2016年にこれらの研究成果を発展して継承し、『Tamagawa Sustainable Chemistry-powered-vehicle Project』(TSCP)にプロジェクト名を改め、日々研究に取り組んでいます。

研究の中心は再生可能エネルギーの有効活用です。その中でも特に「CO2循環」と「Mg循環」に着目し、研究活動を展開しています。「CO2循環」は、余剰電力による電気分解水素とCO2を組合せギ酸を合成し、液化して使用時に水素へ改質するサイクルを言います。「Mg循環」はマグネシウム空気電池において、再生可能エネルギーをはじめ余剰エネルギーや未利用エネルギーでマグネシウムを再精錬し、資源循環型エネルギーとして使用する方法を研究しています。
ともに身近にある資源を活用していることが共通点であり、今後、持続可能な社会の実現に向けては私たちの生活の中にある再生可能エネルギーをより一層有効に利用することが不可欠です。

それらの研究の成果が初めて形となったのが、2016年に発表された世界初、マグネシウム(Mg)空気電池と太陽電池を組み合わせたハイブリッド・ソーラーカー「未来叶い」です。その年のワールド・グリーン・チャレンジ ソーラーカー・ラリー(WGC)では見事に優勝を果たしました(ソーラーカーグリーンフリートチャレンジ・フリークラス部門)。

その後も研究を重ね、マグネシウム空気電池使用量の低減化やマグネシウム空気電池の入れ替えを行うための置き換え式充電ステーションの開発など、新たな技術開発にも力を入れています。

TSCPでは、レース出場による新技術の実証にとどまらず、各種展示会への出展や出張授業、講演活動なども精力的に行っています。次世代を担う児童・生徒・学生が水素やマグネシウムなどの再生可能エネルギーの有効利用を通じて、環境問題やエネルギー問題と向き合う機会となるよう取り組んでいます。

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