チョウが植物の成分を薬物として利用することを発見!

2018.04.04

本学農学研究科佐々木謙教授は、広島大学の本田計一名誉教授の研究グループとの共同研究の成果を"Scientific Reports-nature"(2018年4月3日18:00付)に発表しました。

写真:アサギマダラの雄アサギマダラの雄

チョウ類には成長や生存維持に必ずしも必要ではないと思われる成分を植物から摂取する種がいます。「アサギマダラ」というチョウもその一種で、アサギマダラの雄はヒヨドリバナやフジバカマなどの花から「ピロリジジンアルカロイド」という成分を摂取します。

雄はこの成分を原料にして性フェロモンを作っていますが、本研究から、それだけでは交尾できないことが分かりました。この成分は脳や胸部の中枢神経系に作用して、生体アミン類という行動を活性化させる物質の量を増やすことも分かりました。つまり、このチョウの雄は植物の成分を栄養分としてではなく、性フェロモンの原料や交尾行動を活性化させる物質として摂取していると考えられます。

このような習性は「薬物食性」と呼ばれ、一部の昆虫や動物でも知られてはいますが、薬物によって行動が活性化されるという例はこのアサギマダラの雄で初めて発見されました。

掲載論文名

Uptake of plant-derived specific alkaloids allows males of a butterfly to copulate

掲載日

2018年4月3日

著者
    • 1)
      本田計一(広島大学名誉教授)
    • 2)
      松本隼也(広島大学生物圏科学研究科)
    • 3)
      佐々木 謙(玉川大学農学研究科教授)
    • 4)
      鶴田義明(広島大学生物圏科学研究科)
    • 5)
      本田保之(広島大学生物圏科学研究科)
掲載雑誌

Scientific Reports (2018) vol. 8, article number:5516,
doi:10.1038/s41598-018-23917-y
https://www.nature.com/articles/s41598-018-23917-y