2015年・春 不安・緊張について

「気持ちが落ち着かない」「どきどきして心細い」といった症状は、「不安」や「緊張」といわれるもので、誰でも感じる感情の一種です。何か心配事や気がかりなことがある時、目上の人や初対面の人に会う時、試験の前などにこのような症状を感じることは正常な反応で、別に病気ではありません。原因となる心配事などがなくなれば、症状も自然に消えてしまいます。
問題は、そのような理由がないのに「落ち着かない」「どきどきして心細い」などの症状が起こる場合です。この場合は「病的な不安」である可能性が考えられます。「病的な不安」は「正常な不安」と違って、理由がないのに生じる、あってもそれと不釣り合いに強い、原因がなくなってもいつまでも続く、などの特徴があります。「正常な不安」が危険に備え、問題解決へ向かって行動を起こす原動力になるといった、人間にとって必要な側面を持っているのに対し、「病的な不安」は何らかの精神的・身体的な疾患の徴候である可能性があります。

不安には色々な種類があります。急性、突発性の強い不安をパニック発作といいます(不安発作ともいう)。「パニック障害」で典型的にみられる不安症状で、突然理由もなく強い不安に襲われ、胸がどきどきする(動悸)、脈が速くなる(頻脈)、胸苦しさ、息苦しさ、めまいなど、上に述べた身体症状も同時に襲ってきて、今にも死んでしまうのではないかと思うほどです。ただし、時間がたつと自然に消えてしまいます。発作が繰り返される場合は、「また来るのではないか」という不安が生じ(予期不安という)、そのため発作が起きた時そこから逃げられない、助けてもらえないような場所や状況を恐れ避ける「広場恐怖」という症状が伴ってきます。これは「恐怖症」という不安障害の一種にあたります。恐怖症には、他に「社交恐怖(人前で異常に緊張し、恥をかくことを恐れる)」「特定の恐怖症(高所、閉所、動物、暗闇など、特定の対象や状況を異常に恐れる)」があります。
パニック発作とは対照的に、それほど強くない不安が慢性的に続くタイプの不安症状もあり、全般性不安といいます。全般性不安は、全般性不安障害の場合に典型的にみられます。その他強迫性障害、PTSDなども不安障害に属する精神疾患で、それぞれ特徴的な不安症状が現れます。
その他、心気症(身体表現性障害)では体や病気に対する過剰な不安がみられます。ストレスに対する反応である「適応障害」では、不安症状はうつ症状とともに、もっともありふれた症状です。また子どもに特有の不安障害として、親や愛着のある人から引き離されることへの強い不安を示す「分離不安障害」があります。

上記のような症状を感じ、それが「病的な不安」ではないかと思ったら、精神科や心療内科に相談しましょう。その前に予備知識として、不安とはどういう症状か、どんな病気の場合にみられるかについて、一通り知っておくのはよいことです。

厚生労働省 知ることからはじめよう みんなのメンタルヘルス総合サイトより抜粋
http://www.mhlw.go.jp/kokoro/know/symptom2_2.html