2016年・夏 ストレスついて

「ストレス」という言葉を日々の暮らしの中で頻繁に耳にしますが、そもそもストレスとは何でしょうか。多くの方が、ストレス=ネガティブなもの、とのイメージを抱くのかもしれませんが、実は決してネガティブな側面ばかりではありません。

もともとストレスとは機械工学の用語で、物体に力が加わったときに、その物体が元の形にもどろうとして生じる歪みを意味しました。それが人間にも使われ、種々の外部刺激が加わるときの生体反応をさすようになり、その刺激をストレッサーと呼んでいます。
人間は、適度なストレスがかかることで、チャレンジ精神が刺激されたり、創造性が喚起されたりして、生産性が上がります。ストレスと生産性には関係があると言われており、以下の図が示すように、ある程度までのストレスは、生産性を高める上で重要な役割を果たしていることがわかります。

(ヤーキーズ・ドットソンの法則)

カナダの生理学者であるハンス・セリエ博士は、そのストレス学説において「ストレスは人生のスパイスである」と述べています。 スパイスによって料理にアクセントが加わり、美味しさが一段と引き立つように、適度なストレスは人生を彩り鮮やかにしてくれるのでしょう。そのようなストレスは「健康的」と言えます。

一方で、過度のストレスは、生産性を低下させる「不健康」なものであり、我々の体に以下のような悪影響を及ぼします。

  • 身体面
    不眠、食欲の変化、動悸、頭痛、血圧の上昇などがおこります。疲れやすくなり、体力が低下し、消化機能が低下したり、風邪をひきやすくなったりします。
  • 心理面
    不安・恐怖感、罪悪感、空虚感、集中力欠如、混乱した感じ、イライラしやすくなる、マイナス思考の強まり、気分の落ち込みなどが顕著になります。
  • 社会面
    他人に対しての寛容さがなくなり、苛立ったり辛く当たったりすることが増え、人間関係がぎくしゃくします。また、人の中に入っていくことが億劫になり、他者とのかかわりを避けて孤立するようになります。

このような状態が続く場合は、過重ストレスにより心身共に疲労しているサインと考えられます。
放置しておくと、状況が深刻化し、更なる悪循環を引き起こしてしまうため、早めの対処が必要になります。まず、睡眠・栄養・運動など、日常の基本的な生活状況が整っているかを見直してみてください。そして気分転換のためのリラクゼーションを日々の生活に取り入れてみましょう。悩みや辛さを一人で抱え込まないようにすることも大切です。誰かと話をするだけでも、今の自分の状態を客観視できて、対策も立てやすくなります。周囲に協力を求め、力になってもらうことは、過剰なストレスから身を守る上でとても大切なことなのです。

スパイスが多すぎても少なすぎても料理は美味しくありません。同様に、“人生のスパイス”であるストレスが多すぎると厳しく過酷な人生になってしまいますし、少なすぎても退屈な人生になります。 自分にとって適正なストレス量を意識し、健康的で充実した人生にしていきたいものです。