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那須黒羽塾

2023.12.05

1971(昭和46)年に栃木県那須郡黒羽町に玉川学園那須黒羽塾が完成し、7月11日に竣功式が行われた。黒羽塾は、9つの部屋と大ホールを有する木造2階建のロッジ風の建物で約100名が収容可能。幼稚部・小学部・中学部・高等部・大学の合宿や林間学校、研修、さらにはクラブ合宿や教職員の研修などで使用された。

1.黒羽塾の誕生

黒羽塾が建設された那須郡黒羽町の堀之内台地は、栃木県の北東部に位置し、那須野ケ原を遠く望み、西側には那須連山、眼下にはアユの宝庫として知られる那珂川の清流、といった大自然に囲まれたところ。黒羽塾の近くには黒羽城址もある。また、この地は「芭蕉の里」とも呼ばれ、松尾芭蕉の残した奥の細道の歌碑にもめぐり逢うことができる。

1971(昭和46)年、玉川学園初の本格的な林間学校施設として黒羽塾が完成。7月11日、黒羽町長をはじめ地元の方々、近辺在住の父母・卒業生、建築関係者、玉川学園教職員など140余名が参加して竣功式が盛大に行われた。テープカットの後、施設見学、来賓の祝辞、小原國芳学園長の感謝の挨拶。つづいて祝賀会を開催。

黒羽塾は、9つの部屋と大ホールを有する木造2階建のロッジ風の建物で約100名が収容可能。当初は40名程度の収容規模の建物であったが、幼稚部から大学までの活動、さらに教職員の研修にまで使用したいということとなり大幅に計画が見直された。敷地面積は13,000平方メートル、建物面積は710平方メートル。

2.黒羽塾での活動

竣功式から5日後の7月16日より、早速、黒羽塾での活動が開始された。最初に黒羽塾を使用したのは小学部。高学年生の林間学校として。つづいて7月28日からは中学部が夏季行事の一環としての合宿で使用。8月16日からは高等部が合宿労作で利用した。

小学部の林間学校は従来は奥日光および精進湖畔で行われていたが、黒羽塾完成を機に急遽、場所を黒羽塾に変更して実施された。4年生以上を3グループに分けて、つぎのように行われた。16日から19日までの3泊4日は6年生、21日から24日までの3泊4日は5年生、26日から28日までの2泊3日は4年生。塾生活に加え、学年によって異なるが、黒羽第一小学校の児童たちとの交歓会、そして千本松農場や大雄寺の見学が行われた。

7月28日からの中学部の合宿はつぎのように行われた。1年、2年の参加生徒232名を4つの班に分け、1つの班約60名の1年生、2年生の混合チームを編成。それぞれの班が3泊4日の合宿を行った。そして朝会、祈り、体操、清掃、労作、食事といった集団による塾生活を体験。さらに1日目は各当番の仕事の打ち合わせ、寝具づくり、ホールのテーブルの配置換えなどを行った。2日目は塾内外の環境整備労作と那珂川および旧跡黒羽の丘の散策。3日目は那須岳(茶臼岳)登山。4日目は雲巌寺の見学。このように生徒たちは、豊かな自然の中で、自分たちの生活はすべて自分たちで築いていくという塾教育を体験する。

小原國芳は著書『玉川塾の教育』の中で塾教育についてつぎのように語っている。

私は、何だか、教育というものは八時以前と三時以後にホンモノがあるような気がします。・・・(略)・・・塾教育は実に、心から心への教育即ち人格から人格への教育です。言い換ると、之は内面からの教育です。

食堂にも集会場にもなるホール
女子短期大学教養科の研修

3.那須黒羽塾から箱根須雲塾へ

やがて黒羽塾は地理的な問題や冬季は利用できないことなどで年々使用が減少していった。1978(昭和53)年に箱根演習林宿泊施設として須雲塾が完成したこともその大きな要因といえる。黒羽塾に代わって、農学部の実習あるいは卒業研究等の試験研究をはじめ、幼稚部のお泊り合宿、小学部の林間学校、中学部の労作合宿、女子短期大学の幼稚部園児のための遊具製作、さらにクラブの合宿、教職員の研修、卒業生の同窓会などで須雲塾が活発に利用されるようになる。そして黒羽塾は惜しまれつつその役目を終えたのである。

黒羽塾
須雲塾

4.写真で見る黒羽塾での活動

幼稚部合宿 1976(昭和51)年

工学部研修旅行 1980(昭和55)年

女子短期大学労作合宿 1975(昭和50)年

参考文献

  • 小原國芳監修『全人教育』 玉川大学出版部
      第265号、第266号(1971年)、第277号(1972年)、第313号(1975年)、 第323号(1976年)
  • 塾編集委員会編『玉川学園 塾の歩み五十五年』 玉川大学・玉川学園女子短期大学塾 1985年
  • 玉川学園五十年史編纂委員会編『玉川学園五十年史』 玉川学園 1980年

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