玉川大学の研究成果が「所さんの目がテン!」で紹介
天敵キイロスズメバチをオーバーヒートさせて撃退するセイヨウミツバチ【次回予告:11月26日ハチミツ採取の様子を放送】
日本テレビ系列の番組「所さんの目がテン!」のかがくの里では、この4月から養蜂プロジェクトがスタート。ミツバチ科学研究センターの小野正人、佐々木謙、原野健一が協力しています。
6月と10月にそれぞれ春と秋の花々に由来するハチミツをとることができました。
9月に入るとスズメバチの来襲も始まり緊張感が高まる中、セイヨウミツバチがキイロスズメバチを蜂球に包み込んで捕える映像の撮影に成功しました。ニホンミツバチが蜂球でキイロスズメバチを捕えて、その天敵の致死温度である45℃を上回る46℃以上の熱を発して蒸し殺す現象は、1987年に報告されていました(Ono et al. 1987)。当時、セイヨウミツバチの蜂球内の温度も計測されており、44℃くらいまでしか上昇せず刺針行動が認められ、まれにスズメバチの翅の付根などにミツバチの針が刺さって残っていることがあるため、熱ではなく針で刺殺しているのではないかと考えられていました。
2016年になって、農学研究科博士課程に在学していた細野翔平さんは、キイロスズメバチの体内に微小温度計を差し込み、セイヨウミツバチの蜂球に包み込まれた天敵の体温を計測しました。セイヨウミツバチは捕えたキイロスズメバチに盛んに刺針行動を行いますが、なかなか固い天敵には刺さりません。しかし、蜂球から脱出しようと暴れる過程で、体温はみるみるうちに上昇し致死温度の46℃を越え、オーバーヒートして死んでしまう事を発見しました。その発見は、2017年1月に昆虫学の専門学術誌”Entomological Science”に掲載されました。
「かがくの里」で撮影された貴重な映像とともに10月22日に番組で紹介されたのは、その研究論文の内容です。細野さんは、博士課程在学中に日本昆虫学会と日本応用動物昆虫学会から2回のポスター賞を授与と本学の学友会から学友会賞も授与されています。
また、本学経営学部2年生の村谷美和さんも番組制作にAD(アシスタントディレクター)としてアルバイトで係っており、かがくの里での撮影などで活躍しています。
「かがくの里」での養蜂プロジェクトは、次回11月26日にはちみつ採取の様子が放送されます(予定)。ぜひご覧ください。
論文名:
European honeybee defense against Japanese yellow hornet using heat generation by bee-balling behavior
著者:
- Shouhei HOSONO, Jun NAKAMURA and Masato ONO
- 細野翔平(玉川大学大学院農学研究科博士課程2017年3月修了)
- 中村純(玉川大学大学院農学研究科・教授)
- 小野正人(玉川大学大学院農学研究科・教授)
掲載誌,巻(号)頁:
Entomological Science 20(1):163-167.
掲載年月:
2017年1月
論文要旨:
http://onlinelibrary.wiley.com/doi/10.1111/ens.12248/abstract
次回予告(放送予定)
- 番 組 名 :所さんの目がテン!
- 放 送 日 時:日本テレビ 2017年11月26日(日)7:00~7:30
日本テレビ系列※各地域の放送日時はテレビ局ホームページを参照ください。 - 放送テーマ:かがくの里「田舎暮らし」の科学(仮)
秋の収穫祭3年目! 今日も所さんと里のあまい魅力を味わい尽くすSP!
- 突発的な報道が発生した場合は、放送内容に変更が生じることがあります。