玉川大学芸術学部パフォーミング・アーツ学科が、「照明家協会賞特別賞」を受賞しました。

2015.09.04

2002年から毎年6月に上演されている「パフォーミングアーツ・フェア(Performing Arts Fair/通称:PAF)」は、玉川大学芸術学部とこどもの城青山円形劇場が提携する舞台です。2014年6月に開催された「パフォーミングアーツ・フェア2014」の照明チームが、優れた照明家に贈られる栄誉ある賞を受賞。PAFのテクニカル・ディレクターであるパフォーミング・アーツ学科の菊地芳子准教授に話を聞きました。

日本の演劇界を牽引する劇場で、12年間もの上演を果たした「パフォーミングアーツ・フェア」への評価

パフォーミング・アーツ学科の菊地芳子准教授は、舞台照明を専門とし日本照明家協会の会員でもあります。「玉川大学芸術学部+こどもの城青山円形劇場提携『パフォーミングアーツ・フェア(以下、PAF)2014』」で、「日本照明家協会賞」「特別賞」を受賞し、先ごろ行われた授賞式の様子やこれまでの取り組みなど、お話を聞きました。

パフォーミング・アーツ学科
菊地芳子准教授

「日本照明家協会とは、舞台、テレビの照明に従事する全国の照明家が個人として入会し、活動している協会です。舞台やテレビ照明の技術向上と普及、若手育成を図るために研修会やセミナー開催などの活動も行っており、日本文化の中で舞台芸術、空間芸術が花開いてゆくことをめざしています。私は2000年に海外の最新情報を収集し日本に普及させる国際委員会の委員長を務め、現在も委員として活動をしています。
協会の活動の一つに、照明家を対象とした世界でも珍しい顕彰制度の『日本照明家協会賞』を1981年に創設。この賞は、1年間に日本で上演された舞台芸術作品やテレビ番組の中から、とくに優れた成果をあげた照明家に贈られるものです。舞台部門・テレビ部門、それぞれ大賞(文部科学大臣賞併贈)、優秀賞、新人賞、奨励賞、努力賞、特別賞、技術賞などを設け、対象は作品・番組だけでなく、技術開発、機器改良、施設照明設計などにも向けられています。対象者は会員に限定せず、すべての照明家に門戸が開かれているので、新人の登竜門としても知られています。選考には、照明家自身による自薦、あるいは会員からの他薦、芸術文化界の有識者による推薦がベースになります」

昨年6月19日から22日まで開催された「PAF2014」は、2002年から青山円形劇場との「劇学連携プロジェクト」として2002年に始まり、昨年まで12年間継続されてきました。4日間の開催期間中は、映像パフォーマンス、ドラマ、ダンス、和太鼓、狂言などありとあらゆる舞台芸術のジャンルの10数作品を3プログラムに分けて上演しました。また、青山円形劇場といえば円形の舞台を取り囲む非常にユニークな劇場で実験的な演目が上演されるなど、日本の演劇界を牽引してきました。
「青山円形劇場のプロフェッショナルな劇場スタッフの方々と、次世代を担う若い学生たちがともに刺激し合いながら作り上げてきた公演を12年間も継続できたのはすばらしいこと。これを舞踊評論家の寺村敏さんが毎年鑑賞してくださっていたのです。照明は演劇の舞台と舞踊の舞台、そして音楽の舞台とでは、デザインコンセプト、仕込みの時間、使用機材が異なるので、通常、照明家にとっても異なるジャンルの照明を作ることはあまりやりませんし、機会もありません。それを『PAF』では見事やり遂げ、しかも継続していることに、寺村先生は『とてつもないことをやっている、すばらしい!』と評価し、『日本照明家協会賞』に推薦してくださったのです。私は協会会員ですが、教育現場にいるので賞を意識したことはありませんでした。ですから、寺村先生から日本照明家協会賞に推薦があったので応募するか、と協会から問い合わせる文書が届き、心底驚きました」

玉川の50年にわたる演劇教育への評価と、次なる100年に挑むための受賞

すぐさま応募を決めた菊地准教授は、賞の選考委員に向けてPAFの資料作成にかかり、PAF2014の記録映像のDVD3本と資料をまとめた分厚いファイルを送ったそうです。資料は後学のために毎年の公演ごとに作成保存してあるものです。PAFの運営は菊地准教授ら専任教員が指導していますが、100数十名の履修学生により舞台のすべての役割を主導。スケジュールも舞台監督の学生が計画し稽古を続け、当日の舞台ごとのスタッフのポジショニングの図表も作成するなど、プロ顔負けの運営を続けてきました。
「照明スタッフに関しては、デザインを4年生が担当し、専任教員である私がアドバイスをします。学生が複数の作品のプランを行うという大きな壁に立ち向かうには、あまりにも過酷な体験ですが、若い感性から私たちも触発されるすばらしい照明が生み出されています。本番操作もすべて学生が担当しますが、出演者もスタッフを兼ねているので、その管理はじつに複雑ですが、やり遂げています。ファイルは12年間の積み重ねを実感していただけるもので、ファイルの資料から、『PAF』にかけるパフォーミング・アーツ学科の学生と教員の熱意、そして玉川の演劇教育が伝わると考えました」
その結果、「玉川大学芸術学部+こどもの城青山円形劇場提携『パフォーミングアーツ・フェア2014』において、テクニカル・ディレクターとして照明を中心にクオリティ向上と、チームとしての連携強化に貢献してきた菊地芳子教員並びに今回の多種多様なプログラムに取り組み成果をあげた照明スタッフに対し、協会賞『特別賞』として選ばれ、決定を致しました」との通知が菊地准教授の元に届いたのです。34回を数える「日本照明家協会賞」は、これまで個人の照明専門家に贈られてきましたが、芸術系大学で受賞したのは玉川大学が初めてとのことです。6月22日には授賞式と授賞懇親パーティーが開かれ、菊地准教授は当時の4年生でチーフを務めた卒業生2名と現4年生4名とともに出席してきました。

「2014年は、文学部芸術学科発足50年目の節目にあたり、この賞は玉川の50年間の演劇教育に与えられた賞でもあると受け止めています。しかも、創設者・小原國芳は人間教育に通じる学校劇を提唱したのが1917年で、まもなく100周年になります。それに向けての活動に励みなさい、と促されているようで、受賞をきっかけに改めて演劇教育の成果、次世代育成をさらに実践していきたいですね。日本照明家協会では近頃、次世代の育成に力を入れていますが、玉川の演劇教育の実践が示したものは大きいと思います」
青山円形劇場は諸事情により今年1月に閉館となり、昨年の「PAF2014」が最後の公演となりました。しかし、「PAF」は場所を替え、継続していきます。これからもパフォーミング・アーツ学科の実践にご注目ください。

「PAF」12年の舞台をふりかえって