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玉川豆知識 No.204

玉川学園キャンパスの中で見かける「夢」の文字は一画多い

玉川学園創立者小原國芳が色紙や掛軸に書いた「夢」の文字は「タ」の部分が一角多くなっています。この一角多い「夢」の文字には、「大きな夢を持ってほしい」、「一つでも多くの夢を持ってほしい」という小原の願いを込められています。

小原が生涯最も多く書いた書の一つが、この一画多い「夢」の文字。この「夢」の文字について、石田修大氏著『玉川学園 全人教育 夢への挑戦』(日経事業出版センター/2002年発行)につぎのような記述があります。

小原の孫に当たる現理事長、小原芳明が子供のころ、祖父の色紙の「夢」の字を見て、「おじいちゃんの字、間違ってる」と指摘したことがある。國芳は「よくわかったな」と褒め、國芳夫人が引き取って、普通の人より大きな夢を持とうと考えて、わざと一画多くしているのよと説明してくれた。

玉川学園キャンパスの中でも一画多い「夢」の文字をよく見かけます。小原は「私の最も好きな言葉にVision(幻)という言葉と、Dream(夢)という言葉がある」と書き残しています(『教育問題研究・全人』第34号/イデア書院/1929年)。

1971(昭和46)年1月
玉川大学教育博物館
小原記念館

この一画多い「夢」の文字は、玉川学園の校章などとともに、特許庁よりサービスマーク・商品商標としての許可を受けています。その「夢」の文字を、小原は高等部や大学の卒業生全員に記念品として渡す色紙や軸に、一枚一枚自らが書いていました。例えば、1972(昭和47年)の12月に「夢」の掛軸を1,700枚書いたことが、『全人教育』第282号の「身辺雑記」に記載されています。

なお、鹿児島県南さつま市坊津町久志のお墓の入口には石碑が建っており、表側には「新教育の開拓者 小原國芳 信子 ここに眠る」、裏側には一画多い「夢」の文字が大きく彫られています。お墓は、小原誕生の地から徒歩約8分(約700m)の久志漁協の裏の高台にあり、海に向かって建っています。

参考

小原は実際に多くの、そして大きな夢を抱き、その実現に向けて取り組んでいきました。たとえば、その夢の一つが学園の建設です。

成城学園の誕生

小原が牛込原町にあった成城小学校の主事として、1921(大正10)年8月に「全人教育」を提唱した翌年の4月、成城小学校と同じ学風をもった成城第二中学校を新設。しかし、その翌年、関東大震災が発生。そこで郊外に移転地を探すことに。小原は借金をして、今の成城学園がある当時の北多摩郡砧村喜多見の高台の土地を購入。その際に小田急電鉄に対して土地購入に協力し、駅名を学校名と同じにすることと、急行電車を停めるということの二つの約束を取り付けました。さらに小原は購入した土地145,000平方メートルのうち、50,000平方メートルを学校の敷地として寄付し、残りの95,000平方メートルを住宅地として売却し校舎等の建設の資金としました。こうして成城学園の街と学校が誕生したのです。
なお、成城学園正門からまっすぐに西に伸びる銀杏並木で有名な現在の「正門通り」は、かつては「小原通り」とも呼ばれていました。

玉川学園の誕生

やがて成城学園に旧制高等学校ができると、帝国大学への入学を前提とした受験教育になっていき、小原の理想としていたものとかけ離れていきました。調和のとれた人間形成を目指す学校を自らの手で一からつくり直したい。小原が「夢の学校」建設に着手したのは、成城高校の校長を務めていた42歳のときのことでした。小原が理想としたのは、「宗教を教育の根底におくこと」、「労作教育の使命を果たすこと」、「徹底した真人間の教育を行うこと」を重んじた教育。そして、駅を新設するための認可が下りる約3.5マイル(5.7km)以上離れている鶴川と新原町田(現・町田)間のなだらかな武相丘陵地帯の美しい土地約990,000平方メートルを、小原は多額の借金をして購入。小田急電鉄と交渉し、駅敷地および駅舎の提供、売上金の保証を条件に「玉川学園前駅」を新設することの確約を得ます。そして成城学園の時と同様のやり方で、学校敷地を確保した上で、その他の土地は住宅地として売却。その資金で校舎等を建設しました。こうして1929(昭和4)年に玉川学園が誕生し、小原の描いていた「夢の学校」が現実のものとなりました。

小原が描いた「ゆめの学校」
1929(昭和4)年、
創立の頃の玉川学園キャンパス

参考文献

  • 小原國芳編『教育問題研究・全人』第34号 イデア書院 1929年
  • 小原國芳著『贈る言葉』 玉川大学出版部 1984年
  • 小原國芳著『教育一路』 玉川大学出版部 1980年
  • 南日本新聞社編『教育とわが生涯 小原國芳』 玉川大学出版部 1977年
  • 石田修大著『玉川学園 全人教育 夢への挑戦』 日経事業出版センター発行 2002年
  • 玉川学園編『玉川教育―1963年版』玉川大学出版部 1966年
  • 玉川学園編『玉川学園創立80周年記念誌』 学校法人玉川学園 2010年
  • 玉川学園編『玉川学園の教育活動』 学校法人玉川学園 2004年
  • 玉川学園五十年史編纂委員会編『玉川学園五十年史』 学校法人玉川学園 1980年

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