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玉川豆知識 No.205

玉川学園のある町田市は、東京都ではなく神奈川県に属するという可能性があった

町田市域は明治維新の後、神奈川県南多摩郡に属していました。1893(明治26)年4月1日に神奈川県は、北多摩郡、西多摩郡、南多摩郡の三多摩全域を東京府に移管。移管がなければ、玉川学園のある町田市は現在も神奈川県に属していたことになります。

町田市は、1913(大正2)年4月1日に村から町となった町田町と鶴川村、忠生村、堺村が合併して、1958(昭和33)年2月1日に誕生しました。東京の23区よりも神奈川県の川崎市、横浜市、相模原市などと地理的にも商圏的にも近い関係にあります。特に地理面で見ると、町田市は東京都の西南の端に位置し、半島のように神奈川県に突き出ています。小田急線の駅の所在地で考えると、そのことがさらによくわかります。都心から小田急線に乗って多摩川を渡ると神奈川県。登戸、向ヶ丘遊園、生田、読売ランド前、百合ヶ丘、新百合ヶ丘、柿生の各駅は神奈川県内、柿生駅の次の鶴川と玉川学園前、町田の各駅は東京都、町田駅の次の相模大野駅は神奈川県内にあります。

実は町田市域は、明治維新の後、神奈川県南多摩郡に属していました。そして1893(明治26)年4月1日に北多摩郡、西多摩郡、南多摩郡の三多摩全域が、神奈川県から東京府に移管されました。そのことが、永江雅和氏著『小田急沿線の近現代史』(有限会社クロスカルチャー出版/2016年発行)につぎのように記されています。

町田市周辺は古代には武蔵国に属し、畿内から中央を経て陸奥に至る東山道の通過地となっており、古代から交通の要衝でした。江戸時代には幕府領となり、検地によって成瀬村や町田村以下二五の村々が包含されました。一八八九年の町村制施行により町田村、鶴川村、忠生村、南村、堺村が誕生し、一八九三年に神奈川県から東京府に編入されます。

三多摩全域が神奈川県から東京都へ移管された理由には諸説があります。当時、汚染された水などから感染するコレラが流行しており、東京都は伝染病対策として水質の衛生管理を徹底させたいため、東京の水源であった多摩川の上流に位置する多摩地域を神奈川県から移管したという説もそのひとつです。また、当時の政府が進めていた軍艦建設費の拡大に反対していた多摩地域を拠点とする政治団体の影響力を弱めるためという説もあります。さらに他にも説があり、いろいろな理由が絡み合って移管の結論に至ったのかもしれません。

町田市域には、そのような歴史がありますが、玉川学園が創立した1929(昭和4)年にはすでに住所は「東京府南多摩郡町田町 本町田字乙拾八號四千百拾番地」。1967(昭和42)年に住居表示の改正により「東京都町田市玉川学園6-1-1」に住所が変更。住所は東京都ですが、玉川学園キャンパスは、町田市と神奈川県の横浜市、川崎市の3市にまたがっているのです。ただし本部が町田市にあるため、玉川大学および併設校は東京都の学校として位置づけられています。上述の住所表示改正により、学校名、駅名、地名すべてが「玉川学園」に統一され、全国で唯一、学校名と駅名、地名が同じとなりました。

創立当時の玉川学園キャンパス
玉川学園キャンパス内にある3市(町田市、横浜市、川崎市)を分ける分岐点

参考

幕末の町田
『ふるさと町田 町田市制施行50周年記念写真集』(株式会社郷土出版社/2009年発行)より抜粋

原町田が活気づいてきたのは幕末である。横浜が開港し八王子を集荷地として、絹糸が輸出品の目玉となった。このため八王子と横浜を結ぶ「絹の道」の中継地として、原町田が賑わってきた。

参考文献

  • 「町田の地名」編集委員会編『町田の地名 南地区』 町田地方史研究会 2021年
  • 町田市市制50周年記念事業実行委員会事務局編『町田市市制50周年記念事業報告書~456日にわたる壮大な実験の記録~』 町田市市制50周年記念事業実行委員会 2009年
  • 玉川学園町内会著『我がまち 玉川学園地域 80年のあゆみ』 玉川学園町内会 2009年
  • 薄井清、森山兼光、小島政孝編『町田市今昔写真帖』 株式会社郷土出版社 2005年
  • 小島政孝監修『ふるさと町田 町田市制施行50周年記念写真集』 株式会社郷土出版社 2009年
  • 森山兼光著『絹の道・原町田』 武相新聞 1983年
  • 株式会社しなのき書房編『写真アルバム 町田市の昭和』 株式会社いき出版 2016年
  • 永江雅和著『小田急沿線の近現代史』 有限会社クロスカルチャー出版 2016年
  • 鎌田達也著『小田急線沿線の1世紀』 株式会社世界文化社 2009年
  • 岡田直監修『地図で読み解く小田急線沿線』 株式会社三才ブックス 2020年

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