玉川豆知識 No.59

職員室や、図書を一括管理する図書室がなく、チャイムをならさない校舎

玉川学園の低学年校舎には職員室や、図書を一括管理する図書室がありません。また、授業時間の区切りを知らせるチャイムがなりません。

1.職員室のない校舎

低学年校舎には集中型の職員室がなく、その代わりに校舎の正面玄関を入ったところに先生方が集まることのできる部屋があります。その部屋には大きなテーブルが並べられており、先生方は好きな場所に坐って、ミーティングを行ったり、生徒の相談を受けたり、父母委員の方たちと打合せをしたりすることができるようになっています。

では、先生方は日常どこに常駐しているのでしょうか。低学年校舎の全教室には教師コーナーと呼ばれる場所があります。先生方はそれぞれ各教室の教師コーナーに常駐し、授業時間はもちろん、休み時間や昼食時間も子供たちとともに過ごします。それによって、学習指導に加え生活指導も円滑にできるようになり、児童と教師の距離が近くなっています。

先生方同士の打合せはどうするのでしょうか。朝の打合せは校庭で行います。先生方も授業が始まる前、校庭での子供たちの遊びに加わります。そのまま校庭で先生たちは打合せをして、そして全校朝会に臨みます。職員会議は会議室で行いますが、先生同士の連絡は玉川独自のコンピュータシステムである「CHaT Net」(子供と親と教師のネットワーク)を利用してやりとりします。

2.チャイムをならさない校舎

低学年校舎では、授業時間の区切りを知らせるチャイムはなりません。何故、チャイムをならさないのでしょうか。それは、チャイムという合図に促されて行動を起こすのではなく、その時々にすべき一番望ましいことは何かを子供たち自らに考えさせたいということからです。例えば、朝会では、チャイムも号令もありませんが、毎日整然と行われています。
授業においても同様です。授業は子供たちの学習時間として適切な時間と言える45分を基本としていますが、すべての授業を45分区切りにすることが授業効率につながるわけではありません。授業によっては、1教科45分を二つ繋げて行う必要があるものや、短時間でも集中して行うことで効果が表れるものがあります。授業時間は、学習内容や児童の興味関心・授業への集中力、あるいはその時の状況などに合わせて授業を行うことができるように柔軟性を持たせています。授業の時間割は毎週同じということはありません。より密度の濃い授業を効率的に行えるよう、時間割は、毎週、学級担任や専科の先生方が打ち合わせて決定します。学級担任が担当する時間が多い1、2年生の授業では、この柔軟な時間割編成が特に有効です。

3.図書コーナーのある教室

低学年校舎には図書を一括管理する図書室はありません。何故、図書室がないのでしょうか。読書のための本にしても、調べ学習のための資料や図鑑にしても、すぐに取り出せる場所に置いた方がよいと玉川学園創立者である小原國芳が考え、創立当初から教室内あるいは教室近くに本棚が置かれているのです。それが現在の校舎でも受け継がれています。現在、2教室の間に1つ配置された図書コーナーには、読書や学習に必要な本や資料が十分に用意されています。

図書室がないのにはもう一つ理由があります。低学年では、専科担当教員が専科教室で教える教科担任・教科教室制を3年生から採用しています。したがって、授業に合わせて子供たちが教室を移動します。その授業スタイルを支えるために低学年校舎では図書コーナーつきの教室を配置してあります。例えば、理科の教室には、理科を教える先生の机があり、昆虫や動物、植物などの生物図鑑や科学の本などをそろえた図書コーナーが隣接されています。社会の教室には、社会を教える先生の机があり、地理や歴史、公民、環境問題に関する書籍のある図書コーナーが隣接されています。

年間に本を100冊以上読む子供も珍しくはありません。子供たちに本を読ませるためには、まず本に親しめる環境をつくることが大切です。身近な場所で、気軽に自由に本を手にすることができると、子供たちは自然と本に興味を持ちます。その点からも教室に隣接する図書コーナーは、子供たちの読書にとても有効に機能しています。

玉川学園の低学年では、自学自律を育み、探究学習を可能にする手だてとして上記のような方法で効率的な学習を行っています。

参考文献

  • 『玉川学園の教育活動』 玉川学園 2008年

  • 『玉川学園小学部パンフレット』 玉川学園 2017年

  • 『全人』No.647 玉川大学出版部 2002年