滞在型図書館へ

さまざまな用途に応じた使い方が可能な滞在型図書館

図書館長 河野均
図書館収集課長 武林輝曉

河野:

大学教育棟2014の中に開設される新図書館のメインコンセプトは、従来までの網羅的・専門的な資料・書籍の集積地という役割に加え、高度な学修環境を備えた学修支援の場。見る・調べるからラーニング・コモンズを中心にした学修の場へのシフトを図るものです。

武林:
閲覧スペース(完成イメージ)

玉川大学のシンボルとして、全人教育の見える化を果たしながら、学生の学修サイクルをこの建物の中に組み込み、どう使うかを明確にしたというのが、フロア構成からもわかるようになっています。とくにダイアローグ(対話)を中心軸に据えたフロア構成で、1〜3階と4階の一部は図書館エリア、5階以上を授業・研究エリアとしています。図書館エリアのうち、1、2階は個人利用をメインに考えた静的なエリア、3階は闊達な議論やグループワークでの利用を前提としたアクティブなエリア、4階はあらゆる情報を入手するためのエリアと、目的に応じたフロアの住み分けをしました。また、学修スタイルは常に変化・変容するものですから、高度化に順応するフレキシビリティを備え、学生同士、教員、卒業生など他者と知識を交換する場として機能しなければなりません。

河野:
学生にとって、いずれのフロア・エリアもワクワクするスペースであり、単に集うための場所ではなく、自己啓発やそのヒントを得られる場でなくてはならないのです。玉川のキャンパスには、2006年に高学年校舎内に学園マルチメディアリソースセンター(MMRC)が完成し、図書館機能とICT環境など、さまざまなメディアが集約した学習空間へと生まれ変わりました。その際にコンセプトとしたのが、協働学習でした。その流れはいずれ大学にも必要になると考えていましたし、アメリカではインフォメーション・コモンズ(デジタル時代の情報資源を利用するための共有資源・公共の場)の流れが以前にあり、それがラーニング・コモンズへ発展しましたが、その一連の流れが日本の大学にも来たのです。
武林:

ですから、アクティブラーニングフロアとした3階が中心になるのは当然のことで、1・2階も従来の図書館機能としてあるのではなく、対話をするために知識を身につけ、個人の意見をしっかりともつためのフロアなのです。1・2階には、約100室の個人学修ルームと、約200席の個人学修席を配置します。

河野:
グループで学修したいという声がある一方で、個人で学修したいという声もある。そうした要望に応えるのも図書館として当然のことですから。いずれにしても、めざしているのは、本を借りに来る、ほしい情報だけを得て立ち去るというところではなく、図書館で長い時間を過ごす「滞在型図書館」です。そのためにも、さまざまな使い方に対応できる懐の深さを備えていなければなりません。
武林: クリエイティブな社会が到来したときには、図書館がスタジオのような機能を果たすことになるでしょう。その際に、固定された壁や仕切りがあってはその対応は不可能です。

国内随一の規模85万冊ICタグ仕様の自動書庫を導入

河野:
書架(完成イメージ)

これからは電子書籍が増加するであろうとの見込みもありますので、電子図書館としての機能も充実させますし、100万冊規模の全蔵書にICタグを貼付して、これによる書籍管理システムや、85万冊収容の自動書庫も導入します。

図書受付カウンター
武林:
比較的手に取られることが多い20万部の書籍・資料は1・2階の開架書架に配架します。それ以外は自動書庫から貸し出しを行います。また利用した図書は、新たに設置したIC返却棚に置いてもらうようにして、その本がどれほどの頻度で利用されていたのかなどもデータとして管理し、フィードバックしていく予定です。4階には電子書籍やDVDなどメディアミクスチャ配架コーナーを設置します。
河野:
図書館員も司書から学修支援・指導を行う業務にシフトするでしょう。
武林:
創立者小原國芳の書斎模築エリア(完成イメージ)

情報収集の仕方やレポート作成の支援など伝える力の指導、eエデュケーションセンターを中心としたスタジオ運営やPCサポート、学士課程教育センターを中心とした学修支援など、図書館としてもさまざまな部門・部署と連携した支援を実施していきます。さらに、学習席も1人3.0平方メートルのゆったりしたスペースを確保して、総席数も約1000席を設けます。
2階には“見える化”の具体的な実現として、現在小原記念館にある学園創立者小原國芳の書斎の模築や4万冊にのぼる漢籍・和装本、寺子屋の教科書などを収めた貴重書庫の設置も計画しています。

河野: 玉川大学は最寄り駅からのアクセスに優れるというアドバンテージがあり、この大学教育棟2014は、その中でもキャンパス入口に建設されます。毎日、学生諸君が学修生活の基盤として利用してくれることを期待しています。