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科学するTAMAGAWA 子どもの成長に合わせた幼稚部の教育

2012.06.25

玉川学園では、幼稚部から12年生(高校3年生)までの、
6-3-3の学校システムに縛られない学年進行型の教育を行っています。
そのスタートとなる幼稚部では、小学部との連続性を視野に
特徴的な取り組みの数々を実践しています。

“遊び”を通して大切な“学び”を実践

「3、2、1、いらっしゃいませー!」。年長クラスの子どもたちの大きな声が響き渡ると同時に、教室に年少・年中クラスの子どもたちが駆け込んできます。教室の中には、アクセサリー屋さん、花屋さん、時計屋さん、ピザ屋さん、おもちゃ屋さん……年長クラスの子どもたちがつくったお店が軒を連ね、手作りの商品を並べて年少・年中クラスのみんなをお出迎え。子どもたちは嬉しそうに“お買い物”を楽しみました。

これは、玉川学園幼稚部の「お店屋さんごっこ」の様子です。年長クラスの子どもたちがお店や商品を用意して、年少・年中クラスの子どもたちを招待しました。このお店屋さんごっこ、一見するとほほえましい“子どもの遊び”ですが、同時に、考えられた教育プログラムでもあるのです。そう教えてくれたのは、玉川学園幼稚部主任の須田忠教諭。今回は、“遊び”を通して大切な“学び”を実践する、玉川学園幼稚部の取り組みについてお話を伺いました。

自学自律のきっかけとなる体験を


「玉川学園幼稚部では、学園の教育理念である『全人教育』を受けて、『きれいな心・よい頭・つよい体』を育むことをめざしています」と先生は話します。「このお店屋さんごっこでは、年長クラスの子どもたちが、下のクラスの子に喜んで欲しいと2週間も前から計画を立て、お店や商品作りに励みました。相手を想うこと、計画を立てること、実際の作業の中で、心も頭も体も育まれるように考えられています」。

この取り組みで大切なのは、子どもたちの自発性を伸ばすことだと須田先生。「お店屋さんごっこを成功させることだけが重要なのではありません。子どもたちの『チャレンジしたい』気持ちに応えてあげることが大切なのです。この歳頃の子どもたちは、やりたいことがたくさんあります。それを、自分一人で好きに行うのではなく、“グループを作って、年少・年中クラスの子を喜ばせるために”という課題を与えてあげるわけです。課題を解決していく大変さを味わったり、課題をクリアできた達成感を経験してもらうことで、自分の意志で物事に取り組む楽しさを知り、『自学自律』の姿勢を身につけるきっかけになります」。

同じく、自発的な学びの場として、年長クラスで取り組む合宿があります。「1泊2日で幼稚部園舎に宿泊するのですが、その計画は約1カ月かけて子どもたちで相談して決めていきます。食事、お風呂、布団など、用意しなければならないものはたくさんあります。そこで、子どもたちは話し合い、スーパーに買い物に行くグループ、布団屋さんに連絡して布団を用意するグループ、お風呂屋さんに電話をして入浴を交渉するグループなどに分かれ、準備を進めます。もちろん、教員が手助けをしていますが、できるだけ子どもたち自身の意志で取り組んでもらうようにしています」。

その際、重要なのがグループの設定だといいます。「リーダーシップを発揮する子と、おとなしい子を組み合わせると、大抵のことはうまくいきます。でも、目的は成功ではなく、それぞれが主体的な活動を経験すること。あえて主張が強い子同士をひとつのグループにまとめたり、おとなしい子同士を組み合わせたりする。当然、はじめはうまくいきません。しかし、次第に相手のいうことに耳を傾けたり、おとなしい子も意見を出したりするようになります。このように、ほどよいハードルを設け、それを乗り越えるからこそ、その経験は学びにつながるのです。たくさん失敗してもいい今だからこそ、このような経験を子どもたちにはさせたいと思っています」。

年長児の発達に見合ったプログラム

「年長クラスの特に後半になると、グループでの活動ができるようになり、課題にチャレンジする姿勢も旺盛になります。だから、リアリティのあるお店屋さんごっこも可能になる。年少・年中クラスではこうはいきません。年長クラスは下の子たちと違い、どちらかというと小学校1年生に近い発達段階にあると考えられます。ですから、年少・年中クラスとは異なるプログラムが必要なのです」。

そこで、幼稚部で取り組んでいるのが「年長児チャレンジプログラム」です。これは、年長クラス後期から保育時間を延長し、言語、数量、科学、運動などさまざまな領域の活動を、特別プログラムとして行うもの。具体的には、シーソー遊び、言葉の組み合わせ遊び、鉄棒などを楽しんで行っています。

「例えば、シーソーの端に乗るとバランスが崩れて『ガタン』と傾きますよね。これを子どもたちはとてもおもしろがります。そのうちに、釣り合いが取れないと傾くことを理解して、誰かがシーソーに乗ろうとすると『ガタンってなるよ』と予想するようになる。教員からも『どうしたらバランスが取れるかな』と課題を出して考えてもらいます。こうした経験は、ものが“釣り合う”という数量的な理解につながります」。

ただし、正解にたどり着くことが目的のすべてではないと、先生は続けます。「チャレンジプログラムは、小学校で習うことの前倒しではありません。大切なのは、実際にシーソーに乗ってみたり、乗るとどうなるか予想したりといった経験そのものです。こうした経験をしておくことは、後に計算問題などを考える際に必ず活きてきます。というのも、例えば自転車のスピードを求める問題で、計算ミスでとんでもない数字が出てきたとします。自転車のスピードを体験的に知っている子どもならば、それがおかしいことに気づくでしょうが、体験を実感として持たない子どもはそれに何の疑問も抱かないことがあるのです。後の学びに活きてくる“原体験”をしてもらうことが、このチャレンジプログラムの目的です」。

ワンキャンパスならではのメリット

チャレンジプログラムのほかにも、玉川学園幼稚部には特徴的な取り組みがいくつもあります。そのひとつが、英語教育。年少~年長クラスまで、週に1回、小学部の英語の先生が園に来て、英語の歌やゲームを楽しみます。「この英語教育も、小学校で習うことの前倒しが目的ではありません。英語を使ってみるという体験を通して、英語への興味を引き出したり、英語を使うことへの抵抗をなくすことが目的です」と須田先生。





こうした取り組みができるのも、幼稚部から大学までをワンキャンパスに擁する玉川学園ならではだといいます。「英語に関していえば、小学部の先生が授業をしてくれるだけではなく、カリキュラムそのものも、幼稚部から小学4年生までの7年間をひとつの課程として構成しています。近年、幼小連携といって幼稚園と小学校がさまざまな形で交流し、スムーズに小学校生活に移行することが注目されていますが、玉川学園では学年進行型の教育をめざしており、その取り組みの一部はすでに実践されているのです」。

「さらに、連携は小学校だけにはとどまりません。大学の農学部の協力を得て夏みかんジュースづくりに挑戦したり、デンマーク体操部が演技を披露しに来てくれたり、小学3年生が絵本の読み聞かせをしてくれたりと、さまざまな形でワンキャンパスのメリットを活用しています。また、フィールドが広く、利用できる施設が多いのも大きな利点です。例えば、農学部の田んぼや畑で生き物を観察したり、 幼稚部の裏手には経塚山もあり、自然に親しむことができます。 ワンキャンパスならではの取り組みをますます充実させ、玉川学園でしかできない経験を、もっともっと子どもたちに提供したいですね」。

「こうした玉川学園幼稚部の取り組みに関心がある方は、『保育体験教室』を開催していますので、ぜひ見に来てください。実際にこうした取り組みや環境を体験していただきたいと思います」。

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