科学するTAMAGAWA ワンキャンパスで中・高・大の理科教育を実施

2011.06.24

近年、理科離れは深刻な社会的問題になっています。
現代社会を生きる子どもたちの、
論理的な思考能力と理科への関心を育てるために、
玉川学園の新しい理科教育がはじまっています。

深刻な理科離れに対応するために

「少なくとも中学生以上の理科離れはここ10年で急速に進んでいます」。そう指摘するのは、玉川学園理科主任である小林慎一教諭。その原因の一つは、理科や科学に関わる情報の少なさだと話します。

「例えば、今や携帯音楽プレーヤーは誰もが持っている商品ですが、そこにどんな科学技術が使われているかは、ほとんどの人が知りません。その商品がいかに便利か、その商品があるとどんなライフスタイルを得られるかが、主な関心事になっている。現在の社会は理科や科学への興味が育ちにくいのです」。

しかし、そこには大きな問題があると小林先生。「現在、福島の原発事故による放射線の影響が日々取りざたされていますが、情報が明確でなく、多くの人がどうしたらいいかわからない状態。科学技術をベースにした現代社会を生きるのに、これでは非常にまずい。そんな状況のなかで、生徒の理科に対する関心を高めるために、玉川学園では様々な取り組みを行っているのです」。

論理的な思考方法を身につける


高学年の理科に「SSHリサーチ」という科目があります。「化学」「生物」「量子」「数理」「物理」から各自の興味ある分野を選んで、自由なテーマで研究に取り組むのです。「この授業で培いたいのは、生徒の論理性です。理科や科学では、どんな分野でも論理的に考える能力は必要です。それも、問題のパターンを覚えて解答作業をするのではなく、自分で考えて、どんな問題にも応用できる『使える論理』を身につけさせたいと考えています」と小林先生はいいます。

そこで授業では、「何を研究するか」を考えるところからスタートします。「何をやるかを決めたら、どう実験するかの手順を考え、実際にやってみてうまくいかなければ、どこがまずかったのかを検証する。研究成果は、科学コンテストや学会など公な場で発表もする。教科書に書いてあることを覚える作業ではなく、各自が論理的に考えて結果を出すのです」。

また、自由研究は生徒の理科に対する関心を高めることにもつながっています。「自分の興味あることを研究するのは非常に楽しいこと。教科書に書いてあることを学ぶだけでは、生徒の関心はそのうち理科から離れていってしまうでしょう。それから、発表の機会を与えてあげることもとても効果的です。自分の発表が大勢の人たちに興味を持ってもらえ、大人からいろいろな意見をもらえることは、彼らの関心をいつまでも持続させます。一度、発表を経験した生徒は、またやりたいと必ずいいますよ」。

本来、基本的な知識が十分でない高校生が研究をする必要はないかもしれません。しかし、それをあえて行うことで、生徒に論理的な考え方を身につけさせるとともに、生徒の理科への関心を高めることができると玉川学園では考えているのです。

ワンキャンパスならではのメリット


こうした取り組みは、どの学校でもできることではありません。生徒の関心に合わせた自由研究を実践するには、相応の設備や教員、研究実績は不可欠です。その点、玉川学園は幼・小・中・高・大・研究所のすべてがワンキャンパスにあるため、本格的な実験ができるメリットがあります。

「例えば、農学部の高度な分析装置を使った研究をしたり、工学部で最先端のロボット研究をしている教授に話を聞いたりすることが簡単にできる。学術研究所、脳科学研究所、量子情報科学研究所といったさらに高度な研究施設で実験を行ったり、研究所の教授や研究員から直接指導を受けることもできます。脳科学やロボットの研究ができる高校はそうはありません。こうした連携は今後も発展的に続けていく方針です」。

こうした玉川学園の取り組みは外部からも高く評価を受け、文部科学省からスーパーサイエンスハイスクール(SSH)の指定を受けています。「これは、理科や数学教育を重点的に行う高校を指定する制度。SSHの指定を受け、玉川学園ではさらに高校の研究環境の充実や、大学・研究所との連携の強化を図り、理科教育をますます充実させていきたいと考えています」。

研究に没入できる伝統の環境


玉川学園には、昔から続く「自由研究」の伝統があります。それは、時代とともに仕組みを変えながら今も連綿と続いていると小林先生。「現在はさまざまな情報や娯楽があふれており、めざすべき将来も多様にある時代です。単に『自由に研究していい』というだけでは、生徒の関心は理科に向かいません。生徒が理科研究に没入し、高度な研究成果を実体験できるような環境を整えることで、彼らの興味は理科へ向かうはず。常に生徒たちの将来の成長を意識しながら、それが日本の科学レベルの向上につながると考え、これからも理科研究の環境の充実に力を入れていきたいと考えています」。