お米づくりを通して 広がる子供の世界
自分たちの手で育てたお米を
自分たちの手でつくったお茶碗で食べる。
その体験は、時間をかけて何かをつくる大切さと、
楽しさを教えてくれました。
お米づくりが子供たちの世界を広げる
玉川学園では、いろいろな活動を通して問題を発見したり、自分で解決したりして、“学ぶ楽しさ”に気づいてもらう「総合科」の授業を小学1・2年生で行っています。
2年生のテーマのひとつは「お米の学習」。1年間かけて自分たちの手でお米を育てることで、お米づくりの大変さやごはんのありがたさを肌で感じます。お米づくりは田んぼの準備から。玉川大学農学部の田んぼを借りて、田起こし、田植え、稲刈り、籾すり、脱穀まで、ぜんぶ自分たちで体験しました。
お米を育てるのはとても大変。作業は重労働で、害虫などの被害もあります。自ら農作業を体験することの価値は、食べ物の大切さやありがたさを実感できるだけではありません。農作業を効率的に行う最新の農業機器に興味をもったり、害虫を駆除する農薬のことを知ったり。子供たちの世界がぐっと広がるのです。
育てたお米を自分だけのお茶碗で食べたい!
自分たちが育てたお米を収穫できたとき、2年はぎ組の子供たちからひとつの提案が。
「自分で育てたお米を、自分で作ったお茶碗で食べたい!」
そこではぎ組では、総合科の時間を使って陶芸を行うことに。玉川大学芸術学部の先生に協力してもらい、オリジナルのお茶碗と箸置きづくりに挑戦です。
先生に教わりながら、粘土をこねて陶芸に励む子供たち。お茶碗の表面に塗って色を付ける「釉薬」も、自分たちで育てたお米の藁を焼いてつくりました。「お米ってこんなところにも役立っているんだ」。子供たちの世界を広げる学びはどこにだってあるのです。
そして、形を整えられたお茶碗と箸置きは釜の中へ。できあがりは1週間後。どんな焼き上がりになっているでしょうか……
ものづくり体験が個性と好奇心を育てる
いよいよお茶碗と箸置きを釜から出す日がやってきました。子供たちは、できあがりが待ちきれない様子です。
釜が開き、中が見えた瞬間--子供たちの口から「おー!」「すごい!」「割れてない!」といった言葉が一斉に飛び出しました。お茶碗が割れていないか心配していた子も多かったようです。でも、ひとつも割れることなく、きれいで個性的なお茶碗と箸置きが子供たちの目の前に現れました。
「すごくきれいになってる!」と驚く子も。茶色くざらざらした粘土が、青みがかってつるつるした茶碗になっているのがとても不思議だったようです。釉薬をかけて焼くと表面がコーティングされてこうなるんだよと先生から聞いて「なんだかすごいねー」と、子供たちはしきりに感心。自分だけのお茶碗を宝物のように見つめ「絶対割らないようにしよう!」と、友達と誓い合っていました。
夢の実現が“学ぶ楽しさ”の実感に
「自分で育てたお米を、自分で作ったお茶碗で食べたい」という、子供たちのひと言からはじまったお茶碗づくり。じっくり時間をかけて自分の手でものをつくる大切さと、楽しさと、できあがったときの感動を味わったこの貴重な体験は、子供たちに“学ぶ楽しさ“を教えてくれたはずです。