科学するTAMAGAWA 3歳から、小学1年生から始めるバイリンガルプログラム「BLES」

2015.02.25

2016年4月※1より、玉川学園の新たな国際的な学習「BLES」が始まります。
日本語と英語によるバイリンガル教育を早期からはじめることで、
国際バカロレア(IB)クラスへとつながり、
国内外の有名大学進学の選択肢が大きく広がります。

  • 12016年4月開設予定、文部科学省「教育課程特例校」

「国際教育」の玉川の新たな挑戦

玉川学園では12の教育信条※2の一つに「国際教育」を掲げ、海外提携校との間で生徒の派遣や受入れを多数行うなど、世界に貢献できる人材の育成に力を注いできました。創立以来の教育信条の一つである国際教育は全人教育の理念を根幹においたもので、これはIBの教育理念※3にもつながり本学園の教育理念を具現化するものです。そのため2007年に欧米を始めとする世界中の大学で入学資格として認められている教育プログラム「国際バカロレア(IB)プログラム」を中等教育に導入。現在では7年生からIBクラスを設置し、11歳〜16歳を対象とした「MYP(Middle Years Programme)」、高等学校の最終2学年を対象とした「DP(Diploma Programme)」を展開しており、国内外の多くの有名大学への進学者、合格者を輩出しています。

このIBへの準備として、2016年4月からバイリンガルプログラム「BLES(ブレス)」および「BLES-K」が、小学校と幼稚園で始まります。BLESとは"Bilingual Elementary School"の略称。「BLES-K」とはKindergartenのKの頭文字をとっています。日本語と英語のバイリンガル教育を通じて、世界が求める人材を育成することを目的としています。今回は1年生から始まるBLESクラスの特長について、渡瀬恵一学園教学部長、後藤健教育部長(K-4年)にお話を聞きました。

  • 2玉川学園の教育を支える「12の教育信条」:全人教育、個性尊重、自学自律、能率高き教育、学的根拠に立てる教育、自然の尊重、師弟間の温情、労作教育、反対の合一、第二里行者と人生の開拓者、24時間の教育、国際教育
  • 3IBの学習者像:探究する人、知識のある人、考える人、コミュニケーションができる人、信念をもつ人、心を開く人、思いやりのある人、挑戦する人、バランスの取れた人、振り返りができる人

英語で学ぶことが大きすぎるチャレンジでなくなるように

「世の中のグローバル化が進み、昨今は特に大学でグローバル教育の導入が進められてきました。それに伴い、中等教育、初等教育にもグローバル化が求められるようになりました。世界中の人と対等にコミュニケーションをとり交渉する、それに応える取り組みが、国際バカロレア(IB)プログラムであり、導入して8年が経過しました。そして、この度新たに開始するBLESは、IBへつなげるための準備教育的位置づけでもあります。」と渡瀬学園教学部長。ただしその目的は、“単に英語ができるようになること”ではないと説明します。「もともと玉川学園では、“大学で学問できる力”を高校までに育てたいと考えてきました。そのためには受け身ではなく自ら主体的に学び、探究する力が必要です。それはこれからのグローバル社会で、ますます重要になるでしょう。その点、玉川学園では12の教育信条の一つに『自学自律』を掲げ、探究学習を積極的に行ってきました。2007年にIBプログラムを導入したのも、それが“自ら考え、調べ、それを相手に伝えること”を重視したプログラムだったことが大きな理由です」。

一方で、英語力のさらなる向上も必要だと渡瀬学園教学部長は続けます。「自ら考えたり、自らの意思でものごとを判断したりするためには、そのための材料、つまり情報が必要です。そして、これからのグローバル社会における最新の情報は日本語とは限らず、むしろ国際的に使用される英語であることの方が圧倒的に多い。つまり自学自律のためにも、英語力は必要なのです。玉川学園でも1年生から英語の学習を行っていますが、それだけでは小学校が修了する6年生までの間に自分の意見を英語で伝えたり、教員の使う英語を十分理解できるレベルまでは到達できないこともあります。仮に続けて国際バカロレア(IB)クラスの7年生で学ぼうと考えると、英語の補習が必要になる場合もあります。実際、玉川学園の国際バカロレア(IB)クラスでも、7〜8年次は英語で苦労したと話す生徒が多くいます。そこで1年生から英語による学習をスタートし、“英語で学ぶことが大きすぎるチャレンジではない”状態にまでもっていくことが、BLESクラスを開始する目的の一つです」。

BLESの課程修了までに目標とする英語習得レベルは、CEFR※4のB1程度。英検2級、TOEFL iBT57〜86に相当します。「これはIBクラスのMYPをスタートするために十分なレベルです。現在、MYPは7年生から始まりますが、2021年度からは6年生でMYPを開始したい(予定)と考えています。現在、日本の学校(一条校)でも国際バカロレア(IB)プログラムを取り入れるところが増えてきていますが、DPのみというケースが多く見られます。しかし、海外の大学で学ぶことを考えると、英語力はもちろん、自ら考え、それを人に伝えられる力も備えている必要がある。そのためには、高校2年間のDPだけでは不十分。より多くの時間をMYPに費やし、しっかりと“学び方”を身につけることが大切だと考えています」。

  • 4CEFR (Common European Framework of Reference for Languages):語学のコミュニケーション能力別のレベルを示す国際標準規格

日本語と英語、双方の言語技術を修得

BLESとは日本語と英語のバイリンガルプログラムであり、決して英語漬けの教育をするわけではないと後藤教育部長(K-4年)は話します。「実際のBLESクラスでは、海外の小学校教員免許をもつネイティブ教員と、日本人教員の2人が担任となり、チーム・ティーチングで運営していきます。理科・音楽・英語・情報は主に英語で、国語・社会・礼拝は完全に日本語で指導。それ以外の科目は日本語と英語の両方を使います。ただし、BLESクラスの入試では英語力は問いませんので、主に英語で行う授業でも、場合によっては日本語でフォローしたり、日本語から徐々に英語に移行したりといった配慮も必要だと考えています」。

また、日本語能力の習得にも力を入れていくといいます。「特に国語は大切と考え、たっぷり時間を取って指導にあたります。他にも、例えば玉川学園の体育には『ムーブメント』という授業があります。これは『ピノキオ』などの物語を読み聞かせながら、今まさにピノキオが起き上がろうという場面にさしかかったときに、その様子を身体を使って表現してもらうというもの。これは日本語の言語感覚を身体表現を通して培うことが狙いですから、授業は日本語で行います。また、日本の季節の歌などは、当然日本語でしか教えられません。日本人のベースとなるのはやはり日本語ですから、その修得が疎かにならないことが大切です」。

つまり、これまで玉川学園が行ってきた教育内容を減らすことなく、英語力の向上をめざすのがBLESクラスだということ。したがって、授業時間数の増加は避けられません。「現在、学習指導要領で定められている1年生の週あたりの授業時間数は25時間ですが、現在玉川学園の一般クラスでは26時間を取っています。これがBLESクラスは32時間になります。授業時間が長くなる分、ブレイクタイムを設けたり、午後には体を動かす授業を多めに配置したりするなど、子供たちの負担を軽減できるよう配慮します。また、『Study Hall(学習サポート 通称:SH)』という時間を設け、補習や宿題の指導も行うので、放課後に塾に通う必要はありません。ご家庭では、ゆっくりと団らんの時間を取っていただきたいと考えています」と後藤教育部長(K-4年)。他にも希望者には、英語、水泳、音楽、サッカーといった習い事を、学内施設を利用して専門スタッフが指導する延長教育プログラム(Extended School)を有料で提供。移動時間やコストを抑えながら、趣味のスキルを伸ばすこともできるとのことです。

グローバルな世の中で役立つ人を育てたい

しかし、小学生の段階からバイリンガル教育を行うことで、子供に混乱は生じないのでしょうか。その疑問に対し、渡瀬学園教学部長は次のように説明します。「10歳くらいまでの子供を観察していると、日本人の教員と外国人の教員に対し、それほど苦労を感じずに、日本語と英語を使い分けていることがわかります。これが11〜12歳頃になると『自分の英語は間違っているかも』『通じなかったらどうしよう』といった客観性が出てきて、英語を使うことに抵抗が見られ始めます。むしろそうなる前に、英語や日本人以外の人とのコミュニケーションに慣れ、英語で学ぶことにストレスを感じないようにしておくことは、とても有効だと考えています」。

こうした学びを通して育てたいのは、子供たちが“夢を実現するベース”をつくることだと後藤教育部長(K-4年)は話します。「我々は一般クラスと比較してBLESクラスが特別だとは考えていません。学内外の行事は一緒に行いますし、日々の授業の中でクラスを超えて活動をともにすることもあるでしょう。これまで玉川学園が行ってきた全人教育をベースに、英語力の向上もめざすのがBLESクラスです。英語に特化するのではなく、一般クラスと同じようにさまざまな経験をして、自分の夢を見つけ、それに挑戦する力を身につけてほしいと思っています」。

最後に渡瀬学園教学部長は「玉川学園では、BLESクラスから国際バカロレア(IB)クラスへとスムーズにつながる“Feeder School”として、教育を提供しますし、IBクラスで学習を修めれば、海外の大学への進路も開けます。しかし、それは絶対ではありません。BLESクラスから通常クラス、IBクラスから国内大学という進路があってもいいのです。私たちは、“世界で役に立てる人”を育てたいと思っていますが、ここでいう“世界”とは、例えば国際機関で働くというような限定的なものではなく、“社会”や“世の中”ということ。働く場所や職業には、さまざまなレベルがあって良いと思っています。ただし、これからの世の中はますますグローバル化していきます。そうした中で、BLESクラスで英語力と自ら考える力のベースを培うことは、どのような進路を選んだとしても、必ず役立つものになるはずです」と力強く語っていました。