科学するTAMAGAWA 玉川大学芸術学部パフォーミング・アーツ学科「音楽系」での学びとは――

2017.03.28

玉川大学芸術学部は、演劇・舞踊・音楽などの上演芸術の学びを通して、豊かな感性や想像力を育み、創意工夫を繰り返して夢に向かって努力をする力を育み、これからの社会に求められているグローバル人材、イノベーション人材を養成しています。
本学部は「メディア・デザイン学科」「芸術教育学科(音楽コース/美術・工芸コース)」「パフォーミング・アーツ学科(音楽系/演劇・舞踊系/舞台技術・企画構想系)」の3分野で編成されています。
今回は、パフォーミング・アーツ学科の「音楽系」ではどのような学びが展開されているのか、同学科主任の小佐野圭教授に聞きました。

上演芸術のさまざまな表現方法を学び、観客に感動を与える表現力を身に付ける

玉川大学芸術学部パフォーミング・アーツ学科では、音楽・演劇・舞踊の上演芸術の学びを通して、人間関係力(コミュニケーション)、異種混合結合力(コーディネーション)、創作構想発信力(プロデュース)などの豊かな資質と能力を備えた、アートで社会をつなぐプロフェッショナルを養成しています。同学科の「音楽系」について、小佐野圭教授は同学科の特徴を次のように話しています。
「近年はバンド活動が盛んであるなど若い世代にとって音楽は身近にあります。音楽大学に進学しなくてもピアノが弾けたり、歌のうまい人は多く、音楽大学離れが進んでいるという見方もあるほどです。パフォーミング・アーツ学科は音楽、演劇・舞踊、舞台技術・企画構想の3分野で構成されている点を学びに活用し、志望する分野だけを学ぶのではなく、音楽の勉強をしながら演劇の勉強や上演芸術の公演を支える制作などの勉強もできる、上演芸術全般を学びながら表現力を身につけられることが、本学科『音楽系』の最大の特徴だと考えています」

同学科のカリキュラム・ポリシーの一つに「上演芸術全般(演劇・舞踊、音楽、舞台技術、企画運営)の基礎教育を重視し、各分野の基礎科目を必修」とあり、1年次に「音楽表現」「身体表現」「舞台技術・企画構想」の3分野の「表現」を、必修で学びます。
「例えば、『身体表現』では演技指導の教授陣による表現の方法を学びますが、周囲には人に伝えることに長けている演劇や舞踊志望の学生もいますから、音楽系の学生は彼らから大いに刺激を受けながら学びます。さらには、『舞台技術・企画構想』ではプロダクション・ワークをしっかりと学びます。上演芸術は表舞台に立つ俳優や演奏家などの出演者ばかりでなく、公演を支える演出家や舞台装置、音響、制作、広報、劇場技術・管理者など、多くの人との協働があって初めて成立するもので、これは上演芸術に必要なスキルと知識の修得を目指し、将来の活躍フィールドを広げてほしいと考える玉川大学ならではの学び方です」

2年次になると、3分野の「表現」科目のうち2つを選択し、3年次では「表現」科目を1つに絞るといった学修システムにより、さまざまな分野の表現力を学びながら、自分が本来志望する分野の表現力を身につけることとなります。
「さらに学年ごとに『パフォーマンス』という科目で『表現』で学修した成果を発表するために、1つの舞台づくりを通して総合的に学ぶのです。音楽パートで一つひとつ音をつくり、演劇パートで一つの役の動きを考え抜く。観客に伝え感動を呼び起こすには、生半可なことではできませんから、時間をかけて取り組みます。苦労した分、舞台を降りた時に喜びがあり、みんなで舞台をつくった達成感がある。学修と成果を繰り返しながら、表現するとはどういうことか、観客に伝えるには何が大切かを、志望する専門だけでなくさまざまな上演芸術を通して学ぶのです。演奏会や公演は、人前で発表する時、すなわち本番に向かって努力を要します。その過程は机上の学修のみならず、日々の実践の積み重ねからの“経験”を通して培われていくものであり、学生たちが自分の感覚を研ぎ澄ませて探求していくということです。現代の溢れんばかりの情報化社会にあっても、この自身の経験なしでは、鋭い感覚は得ることができないのです」

「個」の力を向上させる練習環境、「協調性」を学ぶ授業、音楽の力を再認識するプログラム

「音楽系」を専攻するからには、より高度な音楽を表現するための技術を修得する必要があります。作曲・声楽・器楽の音楽家を目指すには、2つの力を伸ばすことが重要だと小佐野教授は話しています。
「『音楽系』には2つの音楽があり、それは『アンサンブル』と『個』です。アンサンブルの語源はフランス語で、『一緒に』『ともに』『調和』などの意味があります。音楽においては、声によるアンサンブルである合唱、2台のピアノのアンサンブルである連弾などがあります。ほかにもギターアンサンブルや、吹奏楽やオーケストラのように異なる楽器とのアンサンブルもあります。授業ではこのようなアンサンブルを多く採用しています。『息を合わせる』とよく言いますが、『息』という字は自らの心と書きます。自分の心を相手に合わせて演奏することを通して、自分のことばかり考えるのではなく、他者のことを思いやる『協調性』を育みたいと考えています。また、よりよいアンサンブルをするには、一人ひとりの技、つまり『個』の力が問われますが、これを鍛えるには毎日の練習しかありません。2016年10月に完成した玉川学園の音楽教育の拠点『University Concert Hall 2016』には、さまざまなタイプのレッスン室を完備しており、学生は自由に活用し、技の向上に役立てています」
「University Concert Hall 2016」は、旧「講堂・視聴覚センター・器楽教室」を改修して音楽校舎機能を集約しました。レッスン室の他にコンサートホール「Marble」や小ホール、教室や学生ラウンジ、1人でも大勢でも勉学に活用できるハイカウンターやブースなどを設けるなど、練習環境が整備されています。

University Concert Hall 2016
コンサートホールMARBLE
小ホール
学生ラウンジ
レッスン室
講義室

また、玉川大学・玉川学園では創立以来、学園生活は「歌に始まり、歌に終わる」として、誰にでも楽しめる「生活音楽」を大切にしており、音楽の力を再認識するのに役立っています。
「玉川大学・玉川学園には生活に基づいた歌、季節の歌を折々に歌う習慣があります。『音楽系』にかぎらず、玉川大学全学部の学生は、『ふるさと』や『赤とんぼ』『夏の思い出』など残したい日本の名曲を、みんなで楽しく歌えるように合唱します。その集大成として、全学部の1年生が必修科目として1年をかけてベートーヴェンの『交響曲第9番(合唱付、終楽章「歓喜に寄す」)』のドイツ語による合唱を学びます。例年12月に開催する玉川大学音楽祭で披露します。音楽を専攻していない学生の中には楽譜をきちんと読めない者もいて、最初の頃の練習は『音楽系』専攻の学生にとっては違和感があるようですが、本番を終えると全員が達成感で晴れやかな笑顔になり、『第九』という音楽の力の偉大さに気づかされます。音楽とともにある玉川大学・玉川学園ならではのカリキュラムです」

音楽祭(横浜パシィフィコ大ホール)

音楽による社会貢献の実践から学ぶ、社会のニーズ、観客の心

パフォーミング・アーツ学科では芸術による社会貢献も盛んです。2017年1月28日には「音楽系」学生と卒業生のプロ奏者によるコンサート「情熱のラテン音楽」が成田市文化芸術センターで開催されました。芸術教育学科音楽コースとの共催による年7回開催の本学での「チャペルコンサート」、学部内オーディション合格者と教員による演奏会として7月の「GINZA Yamaha TAMAGAWA MUSIC DAY」や11月のコスモス祭での「芸術学部演奏会」、1月の授業合唱発表会、2月のパフォーマンスコンサートなど多数を演奏活動として催しています。

チャペルコンサート
GINZA Yamaha TAMAGAWA MUSIC DAY 2016
パフォーマンスコンサート
成田市文化芸術センター主催「スカイタウンコンサート」

「自分たちが勉強、研究してきた曲をただ披露するだけでなく、社会のニーズに敏感に反応したコンサートなどを開催することが大切です。お客様の心に響くこと、苦しみや悲しみに寄り添う音楽を提供することも、音楽に求められています。成田市での『情熱のラテン音楽』は、先のリオデジャネイロオリンピックの女子マラソン日本代表の田中智美さんが本学卒業生だったことに端を発したご縁でお声がかかり、実現したコンサートです。リオデジャネイロに因んで『ラテン音楽を』と要望があり、演奏者もノリノリで満員のお客様に楽しんでいただき、大成功でした。そして町田市立国際版画美術館からもお話があり、いただいたテーマが『展示する風刺絵に因んだ曲を』でした。1800年代の画家の作品だったので、学生たちは、画家の作品の背景などを調べ、美術館の地域性や来館者の年齢層に合った曲目を選びました。また、単に演奏するだけでなく、お客様が曲に思いを馳せるためにも、曲と曲の合間のトークも重要です。お客様の興味を引く『話すこと』も、これからの音楽には必要で、こういった音楽を通した社会貢献の中で新たに学べることはとても多いのです」

町田市国際版画美術館主催「ミニコンサート」

小佐野教授はこのような学外での実践力は、将来の夢を叶える財産になると指摘します。
「音楽について言えば、これからはコンサート・マネジメントが一つの鍵になります。音楽ビジネスは今や注目の分野です。ライブは盛んですし、一方では高齢化・ストレス社会において音楽での癒しはますます求められるでしょう。さまざまな音楽分野で活躍するための、現場に対応できる力を育成することも、パフォーミング・アーツ学科の『音楽系』でできることだと考えています」
4月には新入生を迎えるパフォーミング・アーツ学科。「音楽系」を選択した学生たちは大きな期待と少しの不安を抱えながらも、さまざまな学びを得ることでしょう。