科学するTAMAGAWA 実践的経営者・管理技術者に加え、 現場のニーズに対応できる数学教員を育てる マネジメントサイエンス学科

2012.11.26

玉川大学工学部マネジメントサイエンス学科では、
商品づくりから企業経営まで幅広いフィールドで活躍できる、
マネジメントのプロ(経営者や管理技術者、マネージャー)の養成を
めざして、そのための理論・手法の研究・教育に取り組んでいます。
同時に、「数学教員養成コース」が設置されており、
中学・高校の数学教員を養成するための専門的な学びを提供しています。

現場のニーズに対応できる教員養成を

教員になることとマネジメント能力には、一体どのようなつながりがあるのでしょうか。実はそこには、現在の教育現場のニーズに対応できる教員に欠かせない力を育むという、大きな理由があるのです。今回は、工学部マネジメントサイエンス学科の豊田昌史准教授に、その理由と数学教員養成コースの特色について解説してもらいます。

「そもそも、マネジメントサイエンス学科の学びとは、データや数値を読み解き、その情報を有効に使う方法を探るものです」と豊田准教授は話します。「特に、玉川大学のマネジメントサイエンス学科では、『人・情報・環境・金』の4つをキーワードに、統計や確率など工学部ならではの数学力を駆使して、例えば、企業の経営をはじめ商品開発、品質管理やリスク管理など、企業の一員として組織の管理・運営を務められる人材を育てています」。

この“組織の中で管理・運営を務められる能力”が、いま、教育現場で求められているのだと、豊田准教授はいいます。「従来までの数学教員に求められていたのは、数学を生徒にしっかり教えることができる教育力でした。しかし、現在の教育現場では、専門分野を教えることだけでは教員は務まらなくなってきています」。

確かに、いじめや不登校などに対する学級運営や、同じ職場で働く他の教員との協働、多様化する保護者のニーズへの対応など、現在の教育現場における問題は、社会的にも大きな関心を集めています。「こうした教室内外の問題に対し、学校という組織の一員として、幅広い視点で問題を解決できる能力が、現在の教員には求められているのです。だからといって、数学の専門知識をおろそかにすることはできません。その点、組織の管理・運営のマネジメント力と、工学部としてのレベルの高い数学力の両方を学べるのがマネジメントサイエンス学科。それは、現在の数学教員に求められる力をバランスよく身につけるのに、非常に適した環境だといえるのです」。

数学教員養成コースの流れ

では、数学教員をめざす学生は、具体的にどのような流れで学びを進めていくのでしょうか。豊田准教授は次のように説明します。「まず、1年次の新入生ガイダンスで、教職課程の概要をアナウンスします。実際に数学教員養成コースに所属するのは2年次からですが、その登録には所定の科目を修得していること、GPA(履修した科目の成績を平均した評価値)がある一定のレベルであることなどの条件があり、1年次から計画的に履修する必要があります。

その後、2年次から教員をめざすための本格的な学びを開始します。「2年次には特別支援学校などで実習を行う『介護等体験』が、4年次には実際に教育現場を経験する『教育実習』があります。数学教員養成コースでは、その事前指導・事後指導をしっかり行い、この経験をより実りのあるものにできるよう配慮しています。また、教師教育リサーチセンターの強力なバックアップのもと、模擬試験や対策講座などが4年次まで常に実施され、継続的に学習を進めていくことができます。さらに、数学教員養成コースの継続には、第4・第6セメスター終了時にも様々な規定を設けています。教職課程を希望する学生はたくさんいますが、最後まで規定をクリアするのは容易ではありません」と豊田准教授。それはつまり、非常にレベルの高い教育を実践している証でもあり、数学教員養成コースを修了した学生は、教員採用試験の高い実績をあげているということです。

また、数学に関わる基礎教育をしっかり行うことも、特色の一つだと話します。「教職課程を希望する学生に対しても、他の学生と同様の数学の基礎教育を受けてもらいます。ですから、もし途中で教員を志す意思が変わり、学科の専門分野の学びに変更しても、何の問題もありません」。

実践的な学びで教育現場のニーズに対応


前述の通り、数学教員養成コースがめざすのは、教育現場のニーズに対応できる数学教員の養成です。そのため、実践的な学びが特色の一つになっています。「最も特徴的なのは、3年次に行う『教職関係特別講座』です。これは、現職の教員や校長先生にお越しいただき、3日間にわたって行う講座です。教員に必要な能力や、実際の職務に関する講話をお聞きすることからはじまり、教員採用試験の対策、模擬面接などを行います。私たちのような大学教員は専門的なことは教えられますが、現場での実務については現職の先生にはおよびません。ですからこうした講座は、実際の教育現場のニーズを把握する上で、非常に良い機会になっています」。

もうひとつ、実践的な学びとして「模擬授業」を重視していると豊田准教授。「模擬授業の練習室には、実際の教室さながらの黒板や机を用意して、そこで学生に授業を行ってもらいます。大切なのは、実際に黒板を使って板書しながら、生徒役の学生にいかにわかりやすく説明できるかということ。チョークを使ってわかりやすく板書したり、生徒が板書された内容をノートに書き写す速さも計算しながら授業を進めてもらいます。授業をうまく実践するには、多くの経験を通して慣れることが肝心です。ですから、実際の教育現場に近い形の模擬授業を数多くこなしてもらい、現場に対応できる力を磨いています」。

全学を上げて取り組む教員養成

数学教員養成コースに所属する学生は、中・高の教員免許状に加えて小学校教諭2種免許状も取得できる「ダブル免許プログラム」が利用できます。「これは、玉川大学通信教育部で開講している免許取得に必要な科目を、在学中に履修することができる特別プログラムです。近年、小・中・高の一貫教育を提供する学校も増えてきており、そのような学校に採用されるためには、小・中・高の教員免許状を取得していることは大きなメリットになります」と豊田准教授。

さらに、通信教育部を併設するメリットは他にもあるといいます。「通信教育部では、現職の教員が数多く学んでいます。我々大学教員は、通信教育部で教えながら、そこで学ぶ現職教員から現場の声を直接聞くことができ、それを数学教員養成コースで学ぶ学生にも伝えられる。結果的に、通信教育部が併設されていることで、学生は常に現場の声を聞きながら学ぶことができるわけです。これは、マネジメントサイエンス学科がめざす現場のニーズに対応できる教員養成にとって、大きなメリットです」。

最後に、玉川大学がめざす教師像について豊田准教授は次のように締めくくります。「本学には、『子どもに慕われ、親たちに敬われ、同僚に愛せられ、校長に信ぜられよ』を実践できる教師の育成をめざす『玉川教師訓』があります。これは、知識だけでなく全方位的にバランスのとれた人材育成をめざす『全人教育』の理念によるものですが、同時に、マネジメントサイエンス学科がめざす教員養成のあり方であり、現在の教育現場が求める教員の理想的な姿でもあります。我々は、今後も数学の専門知識だけでなく、現場で必要とされる幅広いスキルの育成を通して、この理念に見合ったバランスのとれた教員を育てていきたいと考えています」。

『教育実習日誌』の表紙を開くと、『玉川教師訓』が書かれている。

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