科学するTAMAGAWA 自然を学ぶことで全人的教養を培う

2011.06.25

すべての学生が、学科を越えた
幅広い知識を身につける「コア科目群」。
そこで展開される自然科学の学びには、
現代を生きる知恵と、全人的教養を身につける
確かな意味と価値がありました。

広い教養を身につけるコア科目

幅広い学びを通して、学際的・国際的な教養を身につけられるように開設して いるのが「コア科目」。学生が自分の興味や関心に合わせて、所属する学科の専門科目以外を選択して履修できるのがその大きな特徴です。

コア科目には、「言語表現科目群」「社会文化科目群」「自然科学科目群」「総合科目群」があり、それぞれ4単位以上(コア科目群全体で24単位以上)取得することが卒業要件となっていて、すべての学生が広い教養を身につけられるよう配慮しています。

今回は、その中の一つ「自然科学科目群」を学ぶ意味とはいかなるものなのか、授業を担当するリベラルアーツ学部石川晶生教授にお話しをうかがいました。

自然科学を学ぶさまざまな意味

自然科学を学ぶことには、さまざまな側面があると石川教授は話します。
「例えば、最近では遺伝子組み換え作物も敬遠される方向にありますが、その仕組みなどを一応でも理解していないと、それに自分の意志で対応することができません。知識に基づく自分の判断が重要なのです。自然を学ぶことは、ヒトも含めてこの地球で生きていくという意味においても大切なことなのです」。

「ヒトは、森から生まれてきました。この地球の大きな生態系の中で他の生き物と同様に生きてきたのです。ただ一つ、ヒトが他の動物と違うところは道具を使って自然に働きかけ、資源を活用してきたことでしょう。また近年、環境破壊への対応として、エコロジーという考え方が盛んになっています。今やどんな分野の仕事もエコロジーは避けて通れません。そもそも地球環境など自然科学についての知識をもっていれば、一方的な人間の活動が自然界に対して悪影響を及ぼすことは理解できるはず。ここにも自然科学を学ぶ意味があります」。

人間の根本にあるのは自然

しかし、自然について学ぶということには、もっと根本的な意味があるとも石川教授はいいます。「まず、私たちの生存の根底には自然があって生きているということ、これを学ぶことが大切なのです。人間は身の回りの環境に働きかけ、自然と共に生きてきましたし、これからもそうでしょう。つまり、自然を深く知っているかどうかは、ヒトの存続そのものに関わる問題なのです」。

さらに、人間の文化も自然に由来するとも。「例えば、日本には『お花見』の文化がありますが、さくらの花がこれだけ全国で見られるのも、日本の空にあの淡いピンクが映えるからでしょう。海外の真っ青な空では、あまり見栄えのするものではありません。日本人の心が、さくらの品種をさらに増やし、世界に誇れるさくら文化となったのです。文化というのは、その土地の自然にあった形で生まれるものなのです。文化を理解する上でも、自然を理解することは必要なのですね。それぞれの国に特有の文化がみられるのも、その土地の自然環境があるからなのです」。

体験を通して学ぶことの重要性

こうした自然を学ぶ上で好都合なのが、自然環境が多く残る玉川学園のキャンパス。玉川と自然のつながりはその創設時からはじまっていました。「このキャンパスの辺り一帯は、かつてはクヌギやコナラの林でした。これを基本植生として、現在の緑の教育環境はできているのです。ここにあるのは、ヒトと自然が共存する環境。ヒトの生活と生態系が両立しているわけです」。

それはつまり、玉川の丘は自然の教材があふれている環境だということ。「授業では、キャンパスに出て自然観察する時間を設けています。花を分解してそのつくりを理解したり、自然に生きる生物を観察したり。自然を理解するには、自分の眼で見ることほど有効なことはありません。それが、教室から一歩出るだけで可能な玉川学園のキャンパスは、この都会にあっては大変貴重なものなのです」。

全人教育としての自然科学

「玉川大学出版部」

そして、その環境を守っていくのも学びの一つであると石川教授は語ります。「玉川学園の12の教育信条の一つに『労作教育』という自ら体を動かして学ぶという考え方があり、大学でも実践しています。ただ頭だけで知識を理解するのではなく、自ら行動してそれを示すことが尊いのです。私が担当している授業では、学生が自分で土を掘り返し草木を植えます。自然と直接触れ合うことで自然が身近になるし、自分が植えた植物に親しみをもつようになる。 そのため自然への関心もいっそう高まるのです。さらに、12の教育信条の一つとして『自然の尊重』を掲げ、キャンパスの自然環境を大切にしています。それは、この『労作教育』によって実現している部分もあるのです。このように、教育理念を呼応させながら、キャンパスの自然を守り、また、全人的な教育を展開しているのが玉川大学なのです」。