科学するTAMAGAWA 国際的なビジネス・リーダー育成に取り組む国際経営学科

2013.01.25

グローバル化が進む現代のビジネスシーンで
リーダーとして活躍できる人材を育成するために、
経営学部国際経営学科では、人材育成目標を明確に定め、
その実現に向け全方位的な教育を提供しています。

ビジネスのグローバル化に対応できる人材を育成

2008年9月、「日本、国際会計基準導入へ」の見出しが新聞紙面を賑わせたことがありました。この国際会計基準、正確には「国際財務報告基準(IFRS)」といいますが、どのようなものかご存じでしょうか。玉川大学経営学部の大西 清彦(おおにし きよひこ)教授は、「簡単に言えば、現代のグローバル市場に対応するために、各国で異なる会計処理を統一化するための基準であり、現在、ヨーロッパを中心に100カ国以上で採用されています」と説明します。

「2008年の段階で、主要国でIFRSを採用していない、もしくは、採用の表明をしていないのはアメリカと日本だけでした。ところが、アメリカが2008年8月に急遽IFRS採用の方針を表明。それに追随するように、日本も採用に向けた本格的な検討に入ることを発表したのです。実際には、アメリカはいまだIFRSの適用判断を先送りにしていますし、日本では東日本大震災による混乱などもあり、導入は棚上げとなっています。しかし、日本の財務会計のあり方はIFRSに収斂させていく方向で動いており、現代の企業経営に国際的な視野が求められるのは決定的なのです」と大西教授。

こうしたビジネスのグローバル化に対応できる、国際的なビジネス・リーダーの育成をめざしているのが、玉川大学経営学部国際経営学科です。今回は、現代ビジネスにおける国際会計の話を皮切りに、国際経営学科ではどのような教育によりグローバルな人材を育てているのか、その特徴について探ります。

国際会計の“現在”とは

「従来、会計とは企業の利益を計算し、経営者が会社のマネジメントに利用することが目的でした」と大西教授は語ります。「このような会計学は、20世紀アメリカで発展してきましたが、1929年にウォール街での株価大暴落が起こり、多くの投資家が大損害を被りました。その一因は、企業の会計情報が投資家に適切に提供されていなかったことでした。そこで、投資家に向けてきちんと会計情報を提供し、資本市場の健全な育成を実現しようと、1930年代につくられたのが『会計基準』です。つまり、会計は企業経営のための利益計算だけではなく、投資家に有用な情報を提供するための情報システムとしての意味合いも強まってきたわけです」。

その後、各国で会計基準がつくられるようになりましたが、時が経つにつれ、次第にグローバルに展開する企業活動が目立つようになってきます。「そうなると、国ごとに異なる会計基準を採用していては、投資家はそれを比較することができません。そこで1973年に国際会計基準委員会が設立され、IFRSの前身となる国際会計基準(IAS)がつくられたのが、国際会計の始まりでした。このように、現在の会計学は、その目的も、適用範囲も従来の会計学とは大きく変わってきているのです。国際会計とは、いわば、世界共通のビジネス言語であり、そのようなビジネスの流れに対応できる人材を育てるのが、国際経営学科なのです」と大西教授は言います。

将来への意識を高めるコース制

では、具体的に国際経営学科ではどのような取り組みが行われているのでしょうか。「まず、(1)協力による問題解決によって、企業経営を主導できる、(2)社会のあり方に対し、ビジョンを持つ、(3)倫理に基づいて、信頼できる企業市民としての企業活動を実現できる、(4)グローバル・ローカル双方の視点を持つ、(5)起業家精神を持って、広く社会へ貢献できる、(6)自然環境を尊重し、企業と社会の持続的成長を実現できるという6つの使命を策定し、これらを実現できる国際的なビジネス・リーダーの育成に努めることを明確に設定しました」と大西教授。そして、その実現に向けカリキュラムの大幅な改訂にも着手したと話します。

「そのひとつがコース・プログラム学習システムの導入です。これは、国際経営学科へ入学後、1・2年次に基盤となる科目を修得し、3年次から専門性の高いコース制へと移行するシステムです。というのも、国際経営学科を志望する学生は、『国際的な仕事につきたい』『企業経営に携わりたい』というような漠然とした目標はあっても、具体的な仕事のイメージができていないことがあるからです。そこで、何になりたいのか、そのために何を学ぶのかを明確に設定することで、将来に向けた意識を高めるわけです。コース選択は将来に直結する重要なものとなるため、2年次には専門コース入門科目や専門基礎ゼミを配置し、専門の学びがどのようなものか体験する機会も設けています」。

設置コースは「人と組織のマネジメント」「ベンチャー・中小企業(後継者)」「環境経営とCSR(企業の社会的責任)」「会計・ファイナンス」「マーケティング」の5つ。それぞれ30人ほどの少人数制を採用し、専門分野の高度で密度の高い学びを提供します。「もちろん、これらのコース設定も、現代ビジネスの特徴やグローバル化の流れを見すえて考えられています。今の社会でどのように活躍できるかがわかれば、専門科目はもちろん、後述しますが、英語学習や資格取得への意識も高まり、全体的によりレベルの高い教育が可能となるのです」と大西教授。

英語教育と資格取得を重視

では、大西教授が言う英語教育と資格取得に対する取り組みとはどのようなものでしょうか。「まず英語教育についてですが、国際的なビジネス・リーダーの育成をめざす国際経営学科では、当然、英語教育を重要視しています。英語力を集中して伸ばすために、1・2年次は、少人数で『読む』『書く』『聞く』『話す』という英語の基本技能をトータルに伸ばすEFL(English as a Foreign Language)科目を設定しています。また、3年次から始まる英語で行う授業への準備として、『グローバル・イングリッシュ』『グローバル・ビジネス・イングリッシュ』という橋渡しの授業を用意。そして3年次からは、ビジネスに関わる専門科目を英語で学習する『グローバルビジネス論』が展開されます。これは、質疑応答や学生同士の討論もすべて英語で行われるため、ビジネスの専門知識を深めながら、コミュニケーション能力や交渉力など、ビジネス・ツールとしての英語力も身につけていきます。最終的にはTOEIC650点以上の取得を目標としています」。

一方、取得資格について大西教授は次のように話します。「第一に、授業外の時間にも自主的に学びを進めることができる『学習支援室』を設置しています。ここには、2011年に本学マネジメント研究科を修了した谷津 愛美(やづ まなみ)さん他1名の専門スタッフが常駐し、学生へのアドバイスや学習のサポートを行っています。サポートするのは、現代のビジネスシーンに欠かせないパソコン操作と、経営学を学ぶ以上、最低限資格を取得すべき簿記・会計についてです。特に簿記・会計に関しては、自分で学ぶ習慣を身につけないと高度な資格取得にはなかなか至りません。そこでこの学習支援室で、学生の自律的な学習を促しているのです。最低でも日商簿記検定2級は取得させたいと考えており、今後は学生が不得意とする分野の講義なども開催していこうと考えています。また学習支援室では、学生の要望に応じて、レポートの書き方や英語、数学といった基礎科目の学習についても柔軟にサポートしています」。

「さらに、『検定試験合格助成制度』というものを設け、検定試験に合格した学生に対しては、助成金を支給しています」と大西教授は続けます。「対象となるのは日商簿記検定3級以上、経営学検定初級以上、販売士検定2級以上、ファイナンシャル・プランナー検定3級以上などで、支給額は一律2,500円です。金額としてはささやかかもしれませんが、こうした明確な目標を設定することで、学生の資格に対する意識は大きく変わりますし、モチベーションも向上します。実際、難関国家資格である税理士の試験科目に合格した学生も出てきています」。

未来の“可能性”を生み出す教育

最後に大西教授は、現在の会計学と国際経営学科の教育のあり方を次のように結びつけます。「現在の会計学は『資産負債アプローチ』という手法に重点が置かれるようになってきています。これは、前述のIFRSでも取り入れられている手法ですが、その企業が『過去にどれだけ利益を上げたか』ではなく、『今後どれだけの利益を生み出すことができるか』という、未来に向けてのポテンシャルをもとに会計を組み立てる考え方です。教育もこれと同じだと私は考えます。学生の“実績”を評価するのではなく、学生がこれから成し遂げる“可能性”を評価し伸ばすことが教育であるべきです。玉川学園の全人教育では、『真・善・美・聖・健・富』という6つの価値を創造することを理想として考えています。その『富』、言い換えれば、未来へ向けた財産を生み出すプロセスこそ、玉川の教育だと私は信じています」。

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