アドベンチャー教育を考える-3/5・6 TAPセンター開設記念シンポジウムを開催

2016.04.22

玉川学園は「強い心を持った子供たちを育てる」ことを願い、2000年に「心の教育実践センター」を開設し、アドベンチャー教育の実践・研究を始めました。
以来15年の実践と学びを積み重ね、2015年4月に「玉川大学TAP(Tamagawa Adventure Program)センター」と名称を改め、現在の教育に期待されているアドベンチャー手法を取り入れた体験学習プログラムの展開をさらに進めています。

これを記念して3月5日(土)、6日(日)の2日間にわたって「TAPセンター開設記念シンポジウム」を開催しました。1日目には「学校におけるアドベンチャー教育の活用と発展」と題した基調講演に続いて、「K-16で展開されるアドベンチャー教育の現在と未来」をテーマにパネルディスカッションが行われました。

 TAPセンター長代理の難波克己准教授(現:TAPセンター長・教授)をコーディネーターにExperiential Tools代表でレクリエーションセラピスト、チームビルディングのファシリテーションやトレーナーとして25年のキャリアをもつジェニファー・スタンチフィールド氏、鈴木純一郎氏(多摩市立瓜生小学校校長、全国小学校学校行事研究会会長)、中原淳氏(東京大学 大学総合教育研究センター准教授)の3人をパネリストに迎え、会場となった大学教育棟2014の大講義室には、幼稚園から大学といった教育機関、また福祉施設や行政などから多くの参加者が集まりました。

ジェニファー・スタンチフィールド氏

多摩市立瓜生小学校校長である鈴木純一郎氏は、自校の6年生の卒業前の遠足では、毎年必ず玉川大学のTAPセンターを訪れ、生徒たちが卒業後も思い出に残る行事として成功させるために、さまざまなアドバイスを得ていると説明しました。その上で常に生徒たちが「仲間・本物・感動」という3つのキーワードを、相互に充実させた体験が学校行事を行う際にとても大事であると述べました。

また、東京大学 大学総合教育センターの中原淳氏からは、同氏がこれまで社会人を対象にした人材開発(OJT制度の改革)・研修開発、組織開発に数多く携わってきたことや、「マナビラボ」というアクティブ・ラーニングの事例を収集するサイトの企画・立ち上げに関与してきた経験が語られました。そのうえで、中原氏は、これから私たちが働く職場は、多様なメンバーが集い、相互の違いを乗りこえ、協力しあう職場になるのだとし、チームの中でプロジェクトを成し遂げる経験が、決定的に重要であることを指摘しました。そして早い段階から、それらのプロジェクトを通して、自己理解すること、他者理解を深めることの重要性について訴えかけました。

さらにジェニファー・スタンチフィールド氏は、子供たちが自身のスキルとして確実に身につけるためには、学習過程における振り返りの重要性を強調しました。その振り返りも学習の最後ではなく途中段階で、ステップごとにその都度複数回にわたって振り返ること、そしてその方法がポイントであることを説明しました。会場からは、「学校の現場でも振り返りを行っているが、ポイントとなる点は?」などの質問も寄せられ、『振り返り』の興味関心の深さをうかがえる場面もありました。進行中、参加者それぞれが、お互いに考えや悩みなどを話し合う時間なども設けられ、会場内では参加者同士の積極的な意見交換が行われ、盛会のうちにシンポジウムは終了しました。

分科会・ワークショップの様子

その後、「学校教育における体験学習」をテーマにした分科会を実施、そして翌日は学内の施設を利用したワークショップなどに取り組み、2日間の日程を終了しました。

アドベンチャー教育によって育まれるコミュニケーションスキルや共感力は、人と人の関わり合うさまざまな場面での問題解決に、大いに力を発揮します。その意味で今回のシンポジウムは教育・福祉・行政とさまざまな立場の方々と体験学習の質を追究できる機会となりました。TAPセンターで展開している教育実践が、“アクティブ・ラーニング”の場など有効な活用手段の一つとして、今後、日本の教育界に広まっていくことが期待されます。