採蜜を通して、ミツバチの生態に触れる。玉川学園(9~12年生)とミツバチ科学研究センターの連携授業。

2016.07.20

「針のないオスバチは手に乗せても大丈夫」

6月10日(金)、SSHの連携企画として玉川大学農学部農場にある教室において、9-12年生の連携授業が行われました。今回の連携授業ではミツバチの生態についての授業に加えて、養蜂箱の見学から採蜜までを体験しました。講師の岡本啓吾先生は、昨年まで玉川学園で9-12年生の生物を担当していましたが、4月からは玉川大学の研究生となって、学術研究所ミツバチ科学研究センターで、ミツバチに関するノウハウを再度学んでいます。農場教室に集合した生徒たちは、まずはミツバチの生態について岡本先生からレクチャーを受けます。ミツバチは草花や作物の受粉という重要な役割を担っているほか、蜂蜜以外にもローヤルゼリーや蜜蝋、プロポリスなど、さまざまなものを作って、その恩恵を受けていることを学びました。

次いで、ミツバチ科学研究センターの附属蜂場を見学します。養蜂箱はキャンパス内でも正門から最も遠い、緑豊かなエリアに設置され、このエリアまで来たことのある生徒はそう多くはありません。岡本先生から防虫ネット付きの帽子を手渡され、恐る恐る養蜂箱を取り囲む生徒たち。養蜂箱一個に対して、約3万匹のミツバチが生息しているそうです。岡本先生が養蜂箱のふたを開け、びっしりとミツバチが張り付いたままの巣枠を取り出すと、あちこちから悲鳴に似た歓声が上がります。それでも「ここに女王バチがいるよ」と岡本先生が言うと、皆で覗き込み、興味津々写真を撮り始めました。やはり恐怖より興味のほうが勝るようです。

養蜂の様子を見学した後は、農場教室で採蜜を体験しました。遠心分離機にかけて蜂蜜を取り出す前に、蜜が貯まった部屋にかけられた蜜蓋を、専用の蜜刀で切り落としました。「せっかく蓋を作ったミツバチが可哀想」という生徒に、「だからこそ、貴重なはちみつをハチから分けてもらっているという意識を持って欲しい。こういうことがわかると食べ物に対する考え方が変わるよね。」と岡本先生。こそげ落とした蓋には蜂蜜がたっぷり付いており、口にした生徒からは「とっても甘い!」と笑みがこぼれました。


蜜蓋を取った巣枠は、いよいよ遠心分離機にかけられます。以前、岡本先生の研究を手伝っていたことがある12年生が「巣枠に作られた巣穴には角度が付いています。蜂蜜が出やすい向きに遠心分離機を回さないとなかなか採蜜ができません。」とアドバイスします。遠心分離機をゆっくり回していくと徐々に蜂蜜が分離し、部屋全体がいい香りに包まれました。分離した蜂蜜が容器にたっぷりと集められる様子に、生徒たちから歓声があがりました。しかし一匹の働きバチが一生の間に集めることのできる蜜の量は約2グラムで、スプーン1杯にもならないそうです。
今回の採蜜を経験した生徒からは「一匹の蜂から採れる蜜の量が少ないことに驚かされた」、「女王バチも働きバチも、生まれたときは同じだとは知らなかった」、「女王バチになる幼虫にはローヤルゼリーを食べさせると聞いて、ローヤルゼリーが高価なことを納得できた」など、さまざまな声が聞かれました。また手伝いを担当した12年生は「ミツバチはとても身近な生物なので、皆が興味を持ってくれて嬉しい」と答えてくれました。身近であると同時に、自然環境においても重要な役割を果たしているミツバチ。生徒たちは連携授業を通して、私たちにとってのミツバチの位置づけを再認識して,理解をさらに深めることができました。