大型客船を舞台に、光をまとう。玉川大学芸術学部と郵船クルーズによる教育連携、プロジェクト型授業が実現しました。

2016.07.28

社会と接点を持つことで実践的な芸術活動を行う、玉川大学芸術学部のプロジェクト型授業。2016年度のメディア・デザイン学科・田中敬一教授の授業「プロジェクトA」では、郵船クルーズ株式会社との教育連携によるプロジェクト型授業が進行しています。これは郵船クルーズの大型客船「飛鳥Ⅱ」を題材に、オリジナルデザインの光の衣装を用いた映像作品の制作を行うというもの。7月8日(金)に、横浜港大さん橋国際客船ターミナル(以下大さん橋)に帰港した飛鳥Ⅱで撮影が行われました。

香盤表

今回のプロジェクト型授業では、学生の作成したライトモードアート作品を飛鳥Ⅱに持ち込み、デッキなどで撮影を行います。衣装に装着した照明がきらめく様子を撮るため、撮影のスタートは夕方からとなりました。この日は飛鳥Ⅱが長期のクルーズを終え横浜港に帰港し、翌日には神戸へ向けて出港するという、わずか1日の休みの日。限られた時間内で撮影を行えるよう、田中教授と学生は事前に飛鳥Ⅱに乗船し、綿密な香盤表(撮影時のスタッフ、モデルの進行予定を書き込んだ表)を作成し、この日に臨みました。

撮影に支障が出ないよう、黒いウェアに身を包んだ学生たちが大さん橋に集合しました。ほぼ同時刻に飛鳥Ⅱも大さん橋に着岸。間近で見ると巨大なビルのような飛鳥Ⅱの大きさに圧倒される学生たち。そして着岸と同時に学生たちも乗船し、撮影がスタートしました。まずはデッキやラウンジなど、予定された撮影場所でカメラアングルやライティングを入念に確認します。ライティングといっても、大がかりなものは搬入や電源確保など設置に時間がかかるため、数名の学生がペンライトを使い、モデルを照らしていきます。これは、過去のプロジェクト型授業で学生たちが工夫した技法で、光の強弱や色調を容易に変えることができます。

準備が整ったところで、ライトモードアート作品に身を包んだモデルの登場です。今回モデルになったのは、パフォーミング・アーツ学科の学生たちです。限られた時間の中でできるだけ多くのカットを撮影できるよう、次々に指示が飛びます。タイムキーパー担当の学生からも残り時間が随時告げられます。学生たちはシーンの撮影が終了し次の撮影場所へと移動する際にも、バミリ(モデルの立ち位置などを示すテープ)をきちんと剥がすなど全員で手早く原状復帰に努めます。滅多に乗ることのできない豪華客船、そして背景は横浜の夜景と、記念撮影をしたくなるような場面でも、どの学生も課せられた自身の役割を一心にこなしていきます。一人ひとりが懸命に取り組み、今回のプロジェクト型授業は無事に終了しました。


田中教授のプロジェクト型授業では、これまでも銀座三越や羽田の航空会社整備工場など、さまざまな場所で光のアートを用いた演出や撮影を行ってきました。その特徴の一つが、「同じ場所でプロジェクト型授業を行わない」ことです。毎年、田中教授と学生が撮影場所を選定し、先方と交渉することからプロジェクトがスタートします。今回の飛鳥Ⅱでの撮影も、もちろん過去に経験がありません。郵船クルーズも大学の授業での撮影は過去に例がなく、お互いに手探りの状態からスタートし、綿密な打ち合わせを経て、実現することができました。田中教授は「私自身、新しいことにチャレンジすることが楽しい」と語りますが、学生にとっても前年までの経験を生かしながら新たな挑戦に臨むことができます。参加した学生からは、「この授業を受けたくて、メディア・デザイン学科を選びました。グラフィックデザインに興味があるので、今回のフライヤーの制作などを担当しています。現場での撮影に参加したのは初めてですが、先輩たちの現場での動きがとても勉強になりました」(2年・女子)といった感想が聞かれました。

7月28日には、船内の別の場所でも撮影を行い、作品を完成させていきます。
今回の作品は、9月に赤レンガ倉庫にて展示を行う予定です。学生たちが社会と接点を持ちながら取り組んだアート作品を、ぜひご覧ください。