町田トップリーグとの交流。町田に本拠地をもつラグビーチーム「キヤノンイーグルス」のメンバーを招いたラグビー祭が開催されました

2016.08.17

毎年恒例になったラグビー祭。若葉まぶしい初夏を迎える記念グラウンドには、K-12の生徒から大学生、卒業生とラグビーの仲間が一堂に集まりました。ラグビー祭は、玉川大学・玉川学園でラグビーに関わる仲間が、お互いを知り、交流を深めることを目的に行われています。当日のプログラムも工夫を凝らし、さまざまな年齢層が、一緒に楽しめる内容となっています。今回は、町田が本拠地のジャパンラグビートップリーグに所属する「キヤノンイーグルス」から、監督、コーチ4名、選手8名の方々を招き、ラグビークリニックを行いました。

はじめに、キヤノンイーグルスの永友洋司監督から、「短い時間ですが、しっかりと講習をしたいと思います。今日のクリニックで、ラグビーだけでなく、みなさんの普段の生活にも通じる何かを伝えていきたいです」と、あいさつがありました。そして来ていただいたメンバーひとりひとりの名前、出身校、これまでの実績などを紹介していきました。その中には、世界最高峰リーグ「スーパーラグビー」で、南アフリカのブルーブルズでプレイ経験のあるキースコーチ(ギデオン・レンシング コーチ)や、ラグビーワールドカップに日本代表として3度出場した小野澤宏時選手など、そうそうたる経歴を持つ指導陣がそろっていました。

いよいよラグビークリニックです。キヤノンイーグルスの指導のもと、1~6年生、7~9年生、10~12年生と大学生の3つに分かれ、ウォーミングアップから始まりました。そしてパス回しや体幹トレーニング、スクラムやリフトアップなど、それぞれの対象に合ったメニューを展開していきます。
10~12年生と大学生のグループでは、南アフリカ代表として活躍されたアシスタントヘッドコーチのアルベルト・ヴァン・デン・ベルグコーチや、前述のキースコーチが担当しました。クリニックの指導は、すべて英語。世界一流のプレイを経験した気迫のある指導内容に、生徒・学生たちは熱心な表情で受講していました。
7~9年生は、ランニングパスの中で、瞬時に的確な判断をするというトレーニングを行いました。試合では一瞬の判断を求められることが多く、ただ体を動かすだけでなく、頭と体を同時に動かす練習を取り入れていました。生徒たちは、楽しみながらも、とても勉強になったと感想を聞かせてくれました。
1~6年生のグループは、年齢、体格、そして女子の参加もあり、いかに楽しませてプレイするか、配慮されたメニューとなっています。
1~6年生のグループを担当した小野澤宏時選手からは、「日本のラグビーでは、ドリル練習が中心になります。楽しませるゲーム中心の指導者は、少ないのが現実です。このクリニックでは、教えるというよりも子供の自立をサポートすることを大切にしています。こうやると一番早いパスが回せることは分かっていますが、全部教えてしまうと、本番でどうすればよいのか、自身で判断ができません。回り道をさせてでも、待ってあげること。勝てるように自分たちで考えられるように、コーチとしてデザインしたメニューを提供してあげたい」と、説明いただきました。現在、小野澤選手は、日本体育大学の大学院でコーチングの研究もされています。トップ選手の育成だけでなく、小さい子供たちにどう教えるのかという指導者としての実直な姿勢が伝わってきました。

つづいて、タッチフット大会となりました。タッチフットとは、誰にでも安全に楽しめるように、ラグビーからタックルやスクラムをなくし、パスとランニングのみで楽しめる競技です。今回は、1~6年生がボールを持ったら、ディフェンス全員が腕立て伏せの姿勢でリセットしたり、トライは、1~6年生か女性のみに限定したりするなど、独自のルールを設定して、年齢・力量に配慮した運用となっていました。試合の中では、「小学生がボールもったよ」と聞こえると、楽しみながら全員が地面に伏せる姿勢が見られ、とても微笑ましいプレイが展開されていました。全12グループのリーグ戦が行われ、ゼッケンピンク色のチームが優勝しました。

閉会式では、1位となったチームにキヤノンイーグルスの選手から、サインボールが手渡されました。そして閉会のあいさつとして卒業生の代表から、「今日一日、いろいろな形で教えていただいたことは、ものすごい驚きがありました。指導のひとつひとつに、こうゆう意識をもつと身に付けられるというメッセージが込められていたと思いました。アルベルト・ヴァン・デン・ベルグコーチが使われていた「enjoy」という言葉には、楽しいという意味と享受するという2つの意味があります。みなさんが何を学び持って帰るのか、明日から、日常のラグビーに戻りますが、学んだことを使いながら、頑張ってください。そして来年も集まりましょう」と、述べました。最後に、ありがとうという感謝を込めたラグビー風の合言葉、「スリー・チアーズ・フォー・玉川・アンド・キヤノンイーグルス」という掛け声に続けて、メンバー全員が「ヒップ、ヒップ」と3回唱え、ラグビー祭を締めくくりました。

参加した6年生の大西さんは、キヤノンイーグルスの選手から、どうやったらパスが早くなるのかを学ぶことができました。3月には、成城学園との試合があるので、勝って優勝したいですと抱負を語り、また、知ってる先輩や知らない先輩たちとも交流を深められ、楽しいだけでなく勉強にもなりました。と感想を聞かせてくれました。
キャプテンを務める12年生のハンセン海さんは、1年生から大学生まで一堂に集まれるユニークな取り組みだと思います。特にラグビーは、年代別のスタイルがあります。一堂に会すことで、そのスタイルを学ぶことができました。子供たちとの接し方、練習のメニューだけでなく、幅広い年代ごとの戦術にもふれることができ、自身のラグビーを展開する上で、選択肢をふやすことができました。と語ってくれました。

ワンキャンパスの玉川のメリットを最大限に生かしたラグビー祭は、このように来年の再会を誓って閉会となりました。先輩と後輩の絆をさらに育み、世界一流選手とも触れ合う体験によって、ラグビーを続けていく面白さを再認識したイベントとなりました。

キヤノンイーグルス 永友洋司監督のインタビュー

ラグビートップリーグのチーム「キヤノンイーグルス」と、玉川大学・玉川学園とのクリニックが実現した感想を聞かせていただきました。

クリニックを通じた玉川大学・玉川学園との地域連携について

町田市のスポーツに対する支援は、ラグビーだけにとどまりません。こうしたサポート体制はとても感謝しており、町田市のこういった考えがなければクリニックも実現できなかったと考えています。今日の玉川での機会も、我々としては次につなげていかなければならないという責任感を強く持っています。

玉川大学・玉川学園との連携で、2つのポイントがあります。1つは、所属する選手を育てていくことにあります。他者にプレイを教えることは、自分自身の貴重な経験でもあります。今日のクリニックは、指導した選手にとって良い勉強の機会となっています。2つめは、日本ラグビー界の発展に努めていくことです。2019年のラグビーワールドカップ日本大会開催に向けて、ラグビーを広めていく必要があります。2019年そして、その先のワールドカップ日本代表に向けて、選手を発掘することも大きな目的です。各カテゴリーでラグビーのレベルが違いますので、その中でラグビーの大切さや楽しさを教えられるプログラムを構築していかなければなりません。それが私たちコーチ陣の仕事ととらえています。クリニックの機会はとても勉強になっています。その意味で、玉川大学・玉川学園に招いていただいたことを感謝しています。

玉川大学・玉川学園のクリニックを指導した感想について

本人たちに学ぶ気持ちがなければ、クリニックでいくら教えても身を結ぶことはないと思っています。そこで生徒たちのやる気を引き出すことも、コーチ陣にとって大切な要素だと考えています。選手たちが何を求めているのかを、しっかりと理解してコーチングするということが必要です。
クリニックの様子を見て、低学年の子供たちの活発な動きや参加している姿勢は、玉川大学・玉川学園の文化だと感じました。みんな非常に明るいですね。その子たちが成長して、先輩になっていくにつれ、今度はこの玉川学園の文化を継承されることが頭の中に浮かんできます。玉川の一貫校としての伝統を、これはラグビーだけに限らず、すべてのクラブ活動にも、素晴らしい文化が根付いていると思いました。
私たちは、ラグビー選手だけでなく、人間を育てていくものであると考えています。そういった意味で、指導者はコーチングをきちんと学んでいく必要があります。キーワードは、安心と安全です。誰がみていても安心できる指導、そして安全なラグビーというのをどうアピールしていくかも、大事なポイントです。スキルだけでなく、ひとりのラグビー選手である前に、言葉遣いも含めて人間としてもきちんと成長していくことが、ラグビーの成長につながると考えています。まずはそこから、そういったところを常に意識しながらコーチングして、それを子供たちに伝えていきたいと考えています。