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農学部との連携で、高度な科学実験に取り組む。9-12年生がサイエンスサマーキャンプに参加しました。

2016.09.21

夏休み期間中であっても、玉川学園ではさまざまな活動が行われています。その一つが、9〜12年生を対象としたサイエンスサマーキャンプです。これはスーパーサイエンスハイスクール(SSH)に指定された玉川学園と玉川大学農学部の連携実験講座授業として、2007年から毎年夏に行われているもの。9-12年生にとって身近な題材を取り上げて、それを実験や実習を通して深く追究していきます。
今年度は7月27日(水)と28日(木)に開催されました。1日目は「インフルエンザウイルス吸着を抑制する食品成分」と題して、食品に含まれるインフルエンザウイルスの感染を防ぐ作用について調べました。そして2日目は「果実の品質と食味」と題して、普段食べている果物の美味しさを科学的に検証しました。ここでは2日目に行われた授業をご紹介します。

1日目の様子

私たちが日頃、口にしている果物は、多くの場合、どの程度甘いのかが主な品質の基準となっています。ただ、果実の美味しさは、「甘さ」だけではないはずです。そこで果物の甘さや酸っぱさを測定する数値と実際に食べて感じた味覚から、果物の美味しさについて考えていきます。
この日の授業を担当したのは、農学部生物環境システム学科の浅田真一教授です。授業の冒頭で、世界各国の果物市場の写真を生徒に見せる浅田教授。果物の陳列方法などから、生徒たちは日本での果物の扱いが他国と比較して、「嗜好品」としてのイメージが強いことを知ります。
教室で浅田教授の説明を聞いた後は、屋外に出てプラムとブルーベリーを採取します。特にブルーベリーは「完熟しており簡単に枝から外れるもの」、「完熟しているが簡単には枝から外れないもの」、「まだ熟しきっていないもの」に分類して採取。これらの果実を使って午後の実験を行います。

午後は、3つのグループに分かれ、農学部学生による指導のもとで実験を進めていきます。ブルーベリーやプラムの糖度を糖度計で測定したり、水酸化ナトリウム水溶液にフェノールフタレイン溶液を加えたもので果汁の酸味を測定するといった実験を、説明を聞きながら挑戦する生徒たち。また実際にブルーベリーを食べてみて、その糖度を当ててみるといったことも行いました。説明を聞いても、当初は不安な様子で実験を進めていましたが、徐々にコツを覚え、終盤では実験の手順について提案を行う生徒もいました。
実験が慣れてきたころ、パイナップル、甘夏、レモンでも同様の実験を行い、ブルーベリーやプラムと比較しました。個体ごとの変化はもちろんのこと、果物の特性を科学的に理解できた実験になりました。
すべての実験を終え、全員に修了証が手渡され、今年のサイエンスサマーキャンプは終了しました。

参加した生徒に話を聞いてみました。「果物に興味があり、面白そうだったので参加しました。知らなかったことをたくさん知ることができ、学園内の行ったことのない農場にも行くことができたのが良かったです。また実験では高学年よりも本格的な機具を扱いましたが、大学生の先輩たちが丁寧に教えてくれたので使いこなすことができました(9年生・女子)」、「スーパーサイエンスハイスクール(SSH)でのさまざまな活動を知り、10年生から玉川学園に入学しました。今日の実験でも、なぜ果物を美味しいと感じるのかを科学的に解明できたことが面白かったですね。将来は科学を通して人々に貢献できるようになりたいと思っています(10年生・男子)」、「実験が大好きで、サイエンスクラブでも活動しています。今日は糖度について深く理解できて良かったです。大学で微生物学について学び、環境の改善などに貢献することが目標です(12年生・女子)」。
また、この日の指導役を担当した農学部の4年生からは「大学の後輩にアドバイスをすることはあったが、高校生にきちんと指導した経験はなかったので大変だった。知識量が大切だと思った」、「9年生と12年生では知識量も違うので、指導方法にも気を配りました」、「実験の過程でも生徒たちは成長していきます。その過程を見るのが面白かった」といった感想が聞かれました。

このサイエンスサマーキャンプは、一つのテーマについて終日にわたって取り組む、とても貴重な機会です。理系学部への進学を希望する生徒にとっては、大学の施設を利用した高度な実験に触れたり、また大学の教員や大学生と接することが進路選択の参考となるに違いありません。もちろん文系志望の学生にとっても、自身の教養を深めることのできるいい機会となったはずです。高校と大学の連携や、SSH指定校といったメリットを存分に生かしたこのプログラムは、生徒にとって素晴らしい体験となったのではないでしょうか。

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