消防、警察、医療チームが連携。2020年を見据えたテロ災害対応訓練が玉川学園で実施されました。

2017.01.20

2020年にオリンピック・パラリンピックを行う東京都。コンパクトな大会をめざすため会場は都心に集中していますが、東京都の各地域が各国のトレーニングに施設を提供したり、さまざまなスポーツイベントを開催する「ホストタウン」として、大会を盛り上げていく予定になっています。
そこで喫緊の課題となるのがセキュリティです。世界各地でテロが頻発している現在、それらを未然に防ぐことが大切であり、また万が一起こった場合でも迅速で的確な対応が求められます。
玉川学園が位置する町田市もホストタウンに登録し、積極的な招致活動を行っています。そしてそれに備えるため、東京消防庁町田消防署、町田市役所、町田警察署、南町田病院DMAT(災害時派遣医療チーム)、東京DMAT(日本医科大学多摩永山病院)、東京消防庁災害時支援ボランティアが協力しての訓練が、11月29日(火)に玉川学園キャンパスで行われました。

この日は、テロ対策を含めたNBC災害対応及び多数傷病者発生時を想定した内容で訓練を実施。NBC災害とは核(nuclear)、生物(biological)、化学物質(Chemical)による特殊災害のことをいいます。訓練内容としては屋内プールにおいて、何者かが意図的に何らかの液体を散布して逃走。その後、プール及び周辺で多数の傷病者が発生したとの想定で、消防、警察、医療チームの連携を図っていきます。
早朝から、大グラウンドの裏手にある屋内プール周辺には東京消防庁をはじめ数多くの特殊車両が到着していました。この日の訓練では傷病者役・目撃者役として、玉川大学野球部とバスケットボール部の部員ら約50名も参加。訓練前には町田消防署の方の説明に、真剣に耳を傾けていました。



そして、いよいよ訓練の開始です。プールで液体が散布されたとの一報が、まずキャンパスセキュリティセンターに届きます。そしてセンターからの出動要請を受けた町田消防署が現場に到着。素早く進入規制ラインを引くと同時に、傷病者に状況を確認します。目撃者役の学生たちは、現場で目撃したこと、現場内の様子、自身の体調など(あらかじめ指示された)を署員に説明。その情報から消防隊は傷病者の除染が必要と判断し、着替えなどの手配を行います。傷病者役の学生は、用意された簡易テントの中で着替えを行い、指示された場所で待機します。
またテロ事件が予想される通報内容だったことから119番受信と同時に警視庁へ通報内容が転送され、町田警察署等も現場へと出動。現状確認と、捜査を行います。
また南町田病院DMATチーム・東京DMATチームも現場に到着し、消防隊の指揮本部で状況を確認した後、重傷者のトリアージ、救護所内での医療処置及び搬送優先順位づけを行います。また災害時支援ボランティア隊員はプールから避難してきた学生の救護活動などに従事します。
救助作業と並行して汚染物の特定と除去も進めなくてはなりません。消防の化学機動中隊と警察の防護服を装着した専門スタッフが、プール内に侵入し捜査を開始。散布された液体がシアン化合物と判明しました。DMATチームや救護に当たっている消防職員は、その情報をもとに、現場救護所でそれに対応した応急処置を施します。その間も指揮本部では重傷者の受け入れ病院の手配から、その際の救護所から救急車両までの導線の確保など、的確に指示を出していきます。こうして受け入れ先の各病院へと重傷者を搬送し、この日の訓練は無事終了しました。


訓練を終え、参加者に向けて町田消防署長から講評がありました。「それぞれが自分の任務を見据えて活動できたと思います。今回は東京消防庁の活動基準に則って行いましたが、いざ災害や事件が起きた場合、いち早く対処していかないと、対応が遅れてしまいます。早い段階でどの規模の災害なのかを見極め、拡大させないことが重要であると実感しました。また連携を図るいい機会となりましたので、これからもそれぞれの役割を確認していただければと思います」。
町田消防署長の講評の後、参加した学生に話を聞いてみました。傷病者役を務めた学生は、「初めての経験でしたが、消防の方の指示が的確だと感じました。訓練ということもあり、着替えの際にも余裕を持って臨めましたが、もし本当にそういう状況だったらちゃんとできるだろうかとも感じました」、「もし実際にテロが起きたらパニックになり、自分のことばかり考えてしまうかもしれません。だからこそ、消防や警察の方の指示にきちんと従うことが大事なのだと思いました」と語ってくれました。また日頃玉川大学学生防災ボランティア隊として活動し、この日も災害支援ボランティアに参加した学生からは、「やはり防災の知識も必要だし、現場で臨機応変に対応する力が重要になるのだと実感しました。その点、消防、警察、DMATチームの皆さんは1分1秒を無駄にせず、的確な判断ができていて素晴らしかったです。日頃の活動でもこういった経験を活かし取り組んでいきたいと思います。」という意見がありました。

2020年の東京オリンピック・パラリンピック開催までには、まだ3年以上あります。ただ、テロ災害などに対応する訓練は、どれだけ行っても無駄になることはありません。一人ひとりがそうした知識・技術を持つことが大切ですが、日頃から意識して行動することが何よりの防災になると実感させられました。