玉川大学芸術学部パフォーミング・アーツ学科の教員・卒業生・現役学生が関わり、藤沢市「湘南ビタミンプロジェクト」の「ドラマスクール」を開催

2017.08.10

パフォーミング・アーツ学科では、未来の社会を創る芸術力を育成し、芸術によって社会貢献できる人材を育成することをめざしています。その教育の一環として、地域支援にも積極的に取り組んでいます。その一つが藤沢市の「湘南ビタミンプロジェクト」です。今夏、藤沢市の「湘南ビタミンプロジェクト」から要請で、子供たちによる「ドラマスクール」の設定・指導に携わりました。4月にスタートしたレッスン(全8回)の最終日の様子を紹介します。

全国公募の子供たちがめざす、8月26日の舞台公演「なつのロケット」

湘南ビタミンプロジェクトは、公益財団法人藤沢市まちづくり協会30周年記念事業として、湘南台文化センターを基点に藤沢市民サポーターが協働して創り上げる、子供たちの未来のための“まちづくりの新しいカタチ”プロジェクトです。全国公募のオーディションを通過した子供たちは、8月26日に開催予定のプロの役者とともに作る本格的な舞台公演がゴールです。舞台稽古に先がけ、ドラマスクールの他、「アフタースクール」も開かれ、宇宙をテーマにした舞台作品であることから、このプロジェクトの公式サポーターでもある宇宙飛行士の山崎直子さんからのお話や宇宙やロケット解説などの講義を受けて科学を学び、公演に向けての知識を深めていきます。

「ドラマスクール」は玉川大学芸術学部パフォーミング・アーツ学科の太宰久夫教授を責任講師に、卒業生の俳優・表現教育家・劇作演出家の叶雄大さん(文学部芸術学科2003年卒)と振付家の三森渚さん(芸術学部パフォーミング・アーツ学科2009年卒)が講師を務め、パフォーミング・アーツ学科で太宰教授のゼミナールを受講する現役学生もサポート。子供たちのもっている最大限の力を引き出し、未来を生き抜く力を育む貴重な体験となるのが、この「ドラマスクール」なのです。

太宰久夫教授
叶雄大さん
三森渚さん

体と心を駆使して人に伝える術を学び、表現する楽しさを体感する

「ドラマスクール」は全8回の開催。シアターゲームを通して参加者とコミュニケーションを育み、表現と創作創造活動を行うための基盤づくりから始まりました。そして発声レッスンやムーブメントレッスン、イメージしたことを言葉や体で表すレッスン、台本読みなど、プロ顔負けのプログラム。舞台上で表現するための基礎を学びます。見学に訪れた7月16日はその最終日。湘南台文化センターの市民シアターホールには40名余りの子供たちが集まりました。

講師の叶さん指導のもとウォーミングアップが始まり、客席を意識しながら歩き、声を発してポーズをとり止まるを繰り返します。さらに三森さんの合図と音楽に合わせて入念なストレッチや短いダンスレッスンも行いました。その後5、6名のグループに分かれて、「お祭り」(北原白秋 作)を教材にグループごとに表現を考え、リズムに合わせて演じます。「いつ・どこ・だれが・なにを・なぜ・どのように」をグループで決めて、詩からドラマを創作し、それぞれ発表していきます。

そしてもう一つの課題でもある即興劇に挑戦。1人しか通れない吊り橋を想定し、ワニが生息する谷底に落ちないよう、両側から吊り橋を渡ってきた2人が、自分が通るための理由を訴え合うというもの。子供たちは「借金取りに追われている」「家が火事だと連絡が入った」など、その場で考えた理由を情感たっぷりに訴えます。言葉のキャッチボールは客席から見守る保護者からも笑いが起こりました。子供たちのパフォーマンスを丁寧にみていく太宰教授。それぞれのシチュエーションを振り返り、子供たちの話を受け入れながら共有していきます。時には「何を言っているのか、伝わらない」などの注文も飛ぶこともありました。最後は「お祭り」を通しで演じ、ダンスを披露して「ドラマスクール」は終了。子供たちから太宰教授や叶さん、三森さんへの花束贈呈の一場面がありました。

終了後は、8月26日に開催される本番公演のキャスト発表があり、8月1日からプロの役者とともに集中稽古が行われています。

学校教育の枠の中では実現できない、舞台芸術を用いた表現教育を実施

「ドラマスクール」のサポート役として3回参加した4年生上村岳生さんは、「大学では、表現教育について学術的に学んできましたが、実際に子供たちのとの舞台づくりを通してたくさんの発見がありました。『ドラマスクール』がスタートした当初は表現することに戸惑っていた子供たちが、回を重ねていくごとに舞台に立つ意識が芽生えてきて、表情が引き締まっていくのを感じました。また相手に伝わる発声を心がけるなど、その変化にも驚かされました」と話します。同じく4年生の堀内愛海さんも「太宰先生をはじめ、卒業生のプロとして活躍する叶さんと三森さんは子供たちと対等に向き合い、子供たちもそれに応えるように、自信をもって取り組んでいました。何よりも子供たちのキラキラと輝いた目が印象的。どのようにすれば子供たちが活き活きとレッスンに参加できるのか、短い時間ではありましたが、その方法を学ぶことができました」と笑顔を見せていました。

上村岳生さん(芸術学部4年)
堀内愛海さん(芸術学部4年)
山下颯太さん(芸術学部4年)
羽仁夢夏さん(芸術学部4年)
加藤太一さん(芸術学部4年)

講師の叶さんは、「さまざまなレッスンを通して、言葉をしっかり届けようとする意識が育ってきたことはうれしいですね。表現することが楽しい、と感じてくれているのが伝わり、『表現教育』の可能性を実感できました」と語っています。

太宰教授は「ドラマスクール」の目的や意義について、次のように話しています。
「学校教育のさまざまなルール、授業の単元など『学校』という枠の中ではできないプロジェクトで、舞台を創るプロセスを重視し、メリハリのあるプログラム構成になっています。4月にスタートしたプログラムでは、学校の中では出せない想い、気持ち、表情を引き出すことを心がけ、子供たちが『やりたいことは、ここでできるんだ』という安心感や勇気を育みました。また、心と体を開くレッスンを実践することで埋もれていた才能や能力を発掘し、自分の表現に自信と責任を持たせることも重視しました。子供たちはその期待に応えて成長著しく、とても有意義でした。また、サポート役の現役学生は授業との兼ね合いで多くの学生が参加できず残念でしたが、参加した学生にとっては、大きな収穫があったと思います。大学で学ぶシミュレーションと現場の違い、緩急をつけて子供たちのモチベーションをのせていく方法など、座学では決して学べないことばかりです。現役学生は来春には卒業してしまいますが、この学びを出身地に持ち帰り、文化芸術を用いた教育サービスに1人でも多くが携わり、地域振興の力となってほしいと思っています」

夏の湘南を舞台にしたサイエンス演劇「夏のロケット」チケット絶賛発売中!

全国公募で参加した子供もたちの最終目標は、8月26日(土)に上演される、舞台「夏のロケット~2025年、宇宙に行きたくてロケットを手作りしたボクらの手記~」。サイエンス漫画の名手、あさりよしとおさんの名作「なつのロケット」を舞台版にアレンジしたもので、2025年の夏の湘南を舞台に、子供たちがさまざまな困難に立ち向かいながらロケットを打ち上げようと奮闘する姿を描きます。“日本で唯一の宇宙モノ専門の演劇ユニット”であるプロ演劇ユニット「宇宙食堂」とともに舞台を盛り上げます。

会場は湘南台文化センター市民シアターホール(収容席数約600席)公演は8月26日(土)11:00~と14:00~の2回。料金は500円(全席指定)。チケットは絶賛発売中です。

8月1日からプロの役者とともに集中稽古が始まっています。「ドラマスクール」での学びを舞台上でいかに発揮してくれるか、楽しみです。玉川大学芸術学部の地域支援の一つとして、ぜひご覧ください。

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