キャンパス内の自動販売機をリデザイン。デザイン思考で挑む新たなビジネスモデル提案。芸術学部の学生が、伊藤園の方を招いて最終プレゼンに挑戦しました。

2017.08.18

芸術学部では、社会との接点から実践的に学ぶ様々な機会を設けています。そしてこうした取り組みはプロジェクト型授業にとどまりません。メディア・デザイン学科の橋本順一教授が教鞭を執る「芸術表現学」では、今年度の授業で飲料の自動販売機のリデザインに取り組みました。リデザインといっても、自動販売機のデザインを変更するといった内容ではありません。販売方法や設置場所、さらに展開案など、「売る仕組み」を再構築していくのです。今回は株式会社伊藤園にも協力していただき、学内に設置されている自動販売機を、デザイン思考によってさまざまな側面から検討し直し、伊藤園、玉川大学、そして学生の三者にメリットのあるプランを提案することになりました。
学生は7、8名のグループに分かれてプランを検討。予選のプレゼンテーションを2回行い、勝ち残った6グループが7月14日(金)の最終プレゼンテーションに臨みました。この日は学生だけでなく、株式会社伊藤園の町田支店長、さらにキャンパス内の自動販売機を管理している玉川学園の総務部職員も参加。学生からも普段の授業とは違う緊張感が感じられました。

学生の各グループは、与えられた7分間の持ち時間内でプレゼンテーションを行います。以下が、各グループが提案した内容です。

「水筒と自動販売機の未来」

学生の多くが水筒を持参していること、ペットボトル飲料の原価構成の多くを人件費と物流費が占めていることに着目し、粉末茶を使用した自動販売機を提案。水筒での利用も可能にすることでエコと低価格化を追求。

「学生が嬉しい自動販売機」

学生証に電子マネー機能を追加することにより、財布を取り出さずに飲料が購入できるシステムを提案。学生の利便性だけでなく、学生が学生証を常に身につけることにもつながり、さらに伊藤園も購入者情報を得ることが可能。

「優しい自動販売機」

AIを活用し、購入者とコミュニケーションできる自動販売機を提案。またエナジードリンクや軽食などもラインナップし、各校舎の入口に設置することで、忙しい学生のニーズにも対応。

「新感覚ゲームアプリ たまファーム」

学生向けのスマホ用育成ゲームアプリを開発。飲料を購入するとポイントが貯まり、そのポイントをゲームに活用。各学部でしか得ることのできない限定コンテンツも付加することで学生間の交流も促進。単に商品を販売するのではなく、自動販売機を“夢を与える道具”として提案。

「毎日使いたくなる自動販売機『LOVEマシーン2000』」

自動販売機をSNS映えするデザインにすると共に、購入者と会話をする機能を付加。さらにレシートにおみくじの機能も付加することで、学生が毎日使いたくなる自動販売機として提案。

「低コストなリデザイン」

キャンパス内の自動販売機設置場所を洗い出し、偏りのない設置場所プランを提案。玉川学園のアプリとも連動して、キャンパスのどこに自動販売機があるのかを紹介。商品ラインナップも絞り、コストをかけずにニーズに対応。


どのグループも企画の内容だけでなく、プレゼンテーションの中で自分たちで撮影・編集した映像や音楽、アニメーションを流したり、ロゴマークをデザインしたり、芝居で表現したりと、スライドを流すだけでない芸術学部ならではの工夫を凝らしていた点が印象的でした。また過去2回のプレゼンテーションで課題を見つけ、さらに深みのある提案を行ったグループも少なくありませんでした。質疑応答の場面では「解決すべき課題は?」「購入者の情報はどの程度分かると考えますか?」「おみくじをプリントする際のコストは?」などポイントを突いた質問もありましたが、学生たちは真剣に答えていました。
プレゼンテーションを終えた学生に対して、橋本先生からは「これまでのプレゼンとは違う緊張感があったのではないでしょうか。内容も、もう一段ブラッシュアップされたのではないかと思います」という話がありました。また伊藤園の町田支店長からは「表現豊かなプレゼンテーションで、他のグループの内容も見てみたかったというのが本音です。我々にはどうしても固定観念があるのですが、斬新な発想の提案ばかりで、多くの気付きがありました。今後もこのような機会があれば、ぜひまた参加させてください」という感想をいただきました。
プレゼンテーションの感想を、「新感覚ゲームアプリ たまファーム」を提案した学生たちに聞いてみました。「橋本先生から、『今回の最終的な目標は玉川を良くすること』と言われていたので、そこを着地点として定め、さまざまな角度からアプローチができたと思います」、「ユーザーは玉川の学生なので、まずはアンケートを行い、求められているものを見つけていきました。また学生証のシステムを知りたくて、学生センターへも足を運びました。『こうなるといいなぁ』という案はたくさんあったのですが、それを実現するにはどうすればいいのかを考える、いい機会になったと思います」、「今回の課題は社会科学系の学部でも取り組むような内容だったと思うのですが、自分たちは芸術学部ということもあり、内容だけでなくプレゼンシートのデザインなどもきれいにまとめようと心がけました。チーム内でも役割分担をきちんとできたことが良かったと思います」。

学生らしい柔軟な発想をベースとしながらも、三者のメリットを考えたプランを考え、プレゼンテーションを行った学生たち。マネジメントとアートの双方向からビジネスを考えることは、社会に出てからも彼らの大きな強みとなるのではないでしょうか。今回のプレゼンテーションが、具現化する日が来るかもしれません。