今年度もドレクセル大学との共同授業を開催。学生たちがフィールドワークで掘り下げた内容を発表しました。

2017.11.06

アメリカ・ペンシルベニア州フィラデルフィアに位置するドレクセル大学と玉川大学は、アメリカで行われた桜祭りに芸術学部の学生が参加したことで交流が始まりました。そして2013年度からは共同授業もスタート。現在は、1年おきに双方の大学で授業が行われています。今年度は、9月11日(月)から19日(火)の日程でドレクセル大学の学生18名が来日し、玉川大学で開催。都内および伊勢・志摩でのフィールドワークや茨城県石岡市の祭への参加、学内でのグループワークなどを、玉川大学の学生と共に体験しました。そして19日には大学教育棟 2014内アカデミックスクエアにおいて、グループワークで取り組んだ内容をもとにプレゼンテーションが行われました。

グループワークでは両大学の学生が5〜7名のグループを作り、フィールドワークでの経験をもとに自分たちの考えをまとめ、発表しました。今年度は「持続可能な社会作り。日本の伝統と革新に学ぶ」という大きなテーマを設定し、各グループが個別のテーマについて掘り下げました。各グループが行ったプレゼンテーションの内容を簡単にご紹介します。

グループ1. テーマ:Life&Nature

一口に「自然」といっても、国や地域によってさまざまな意味合いがあります。アメリカでは国内外で展開されている自然保護プログラムをイメージしますし、訪れた伊勢では生活や食料の資源を与えてくれる恵みとして、そして東京など都会に住む人々にとっては癒しや心のよりどころとして自然が存在しています。こうしたことをフィールドワークで知ることができました。これからは自然とどう関わるか、どうやって環境に優しい生産を行うか、そしていかに多くの人に環境への関心を持ってもらうかが重要になってきます。自然と共存するような住環境作りや、玉川学園のLEDによるレタス工場などはそれらの解決策になるのではないか。また、関心をもってもらう仕組みづくりとして、自然の美しい写真をアップするSNSを作り、「いいね」を一つもらうごとに1円が環境団体に寄付されるといったシステムを提案していました。

天然塩工房で人と塩の関係を学ぶ

グループ2. テーマ:Architecture & Craft

歴史が残る伊勢や現代的な東京の街並みから、これからの建築や伝統工芸の在り方を考察しました。伊勢の河崎では古い蔵が数多く残っているエリアがあり、内部をおしゃれなカフェなどに改装して観光客に人気を集めています。建築も工芸も、古いままで残すのではなく、新しさを取り入れていくことで、伝統的なものが残されていくのではないかという彼らなりの結論を導いていました。

伊勢和紙工房で伝統を学ぶ

グループ3. テーマ:Art & Business

日本でもアメリカでも中等教育において美術の技法や鑑賞法を学びますが、自身の作品を発信する方法について学ぶ機会はありません。フィールドワークで志摩にある真珠の会社が運営する博物館を訪れてみて、製造過程を展示し真珠の価値の理解を深めることで、売り上げや集客へとつなげていることがわかりました。持続可能な芸術の世界の構築にはその魅力を発信するプロモーションなどを美術教育に取り入れることが重要なのではないか、という結論に至りました。

真珠の魅力を伝える取り組みを知る

グループ4. テーマ:Community

伊勢の海女さんにお話を伺い、そのコミュニティが社会の変化に伴い厳しい局面を迎えていることを知り、そうした状況に対して、地域がどのようにコミュニティを維持しているのかを探りました。伊勢では地域のイベント周知を徹底していて、こういった地域での関係づくりは東京を代表とする都市部でも取り入れることができるのではないか、また学校でも持続可能なコミュニティにつながるような教育を取り入れることで、身近な地域を大切にする意識が育まれていくのではないかと考えました。また、フィールドワークで箸づくりを体験しました。日本には家族それぞれが箸を持つという文化があり、そうした習慣を守ることも、家族というコミュニティを維持するのに役立つのではないかとコミュニティの継続に日本伝統文化がいかせることを語りました。

マイ箸作りでコミュニティについて議論

グループ5. テーマ:Hospitality

フィールドワークを通して神楽や雅楽に触れたことで、「神に対するおもてなし」「人に対するおもてなし」について考えました。神楽などは時代が進むにつれての変化もあったと思うが、現代においては過去の継承に留まっています。この伝統を未来につなげていくためには、現代の要素も取り入れていくべきではないだろうか。そうした提案を、ドラマ仕立ての映像作品としてプレゼンテーションし、同時に歌曲「さくらさくら」をポップミュージック風に編曲して発表し「伝統のおもてなしをどう現代にupdateするか」という彼らなりの視点を表現していました。

お神楽をヒントにオリジナルのダンスを披露
江戸時代のおもてなしについて学ぶ

各グループがそれぞれのテーマを深く掘り下げただけでなく、発表の方法にも工夫を凝らした点が大きな特徴でした。また10分間のプレゼンテーションの後には5分間の質疑応答があり、さまざまな角度からの質問が寄せられました。

そしてこの日は共同授業の最終日ということもあり、3号館に会場を移してドレクセル大学の学生のための送別会も開催されました。乾杯の後、会場のあちこちで学生たちが談笑する様子が見られました。共同授業自体は約10日間のプログラムですが、ネットを介して以前からコミュニケーションを取っていて、事前にすり合わせができていたことでグループワークもスムーズに進行しました。また、双方の語学力アップにもつながったようです。

参加した学生にも話を聞いてみました。
「ドレクセルの学生に同行して、伊勢・志摩へも行きました。そのフィールドワークで、地方の人は自然を大切にする気持ちが強く、その根底には自分の住んでいる地域の活動に積極的に関わっていることがあるのだと感じました。また、海外の同世代と接してみて、プレゼン慣れしていることに驚かされました。フィールドワークでも積極的に質問をしていて、そのコミュニケーション力は見習わなければいけないと思いました(芸術学部4年・女子学生)」。 「私はHospitalityのグループだったのですが、おもてなしに関して自分たちなりの未来予想図を描き、提案しようということになりました。そこで動画を専攻しているドレクセルの学生と、音楽を専攻している私が、映像と音楽を制作。制作過程では箏曲部にも手伝ってもらい、自分たちなりの提案ができたのではないかと思います(芸術学部1年・男子学生)」。
「去年もこの授業に参加し、アメリカへ行きました。そのときよりディスカッションもしっかりできました。日米の文化比較もできたし、自分自身の英語力や視野など、得るものも多かったと思います。アメリカへ行ったときに歓迎していただいたので、今年は感謝の気持ちをこめて歓迎したいと思いました。この授業は履修し終わった学生や卒業生もサポートに参加するなど、うまく循環もできています(芸術学部4年・女子学生)」。

5年目を迎えて、これまで以上に充実した内容となったドレクセル大学との共同授業。学生同士の交流は、授業が終わった後も続いており、「一つの授業」という枠にとどまりません。来年度は、玉川大学の学生がドレクセル大学を訪れ、さらに交流を重ねることでこの授業がより良いものになっていくのではないでしょうか。