世界が直面する問題を取り上げる、UNHCR主催の難民映画祭。その会場として、今年も玉川学園で上映会が行われました。

2017.11.08

10月6日(金)、University Concert Hall 2016 MARBLEにおいて、第12回国連UNHCR難民映画祭の上映会が行われました。この映画祭はUNHCR(国連難民高等弁務官事務所)駐日事務所と国連UNHCR事務所の主催により、9月から11月の期間中、全国各地で開催されます。玉川学園・玉川大学は、昨年に引き続き学校パートナーズとして参加。参加する教育機関は大学がほとんどですが、玉川学園は総合学園として参加しており、実行委員会も9-12年生が行っています。
各地の会場で上映される映画は異なりますが、今年度玉川学園で上映される映画は「ナイス・ピープル(2015年スウェーデン映画、監督:カリン・アヴ・クリントベルグ/アンデシュ・ヘルゲソン)」です。上映に先立ち、スウェーデン大使館広報官のアダム・ベイェさんから挨拶がありました。

「これから皆さんに観ていただく映画は、スウェーデン北部の小さな街に戦禍を逃れてやって来たソマリアからの難民と、彼らと関わりを深めるスウェーデンの人たちの物語です。現在スウェーデンには約1000万人の人が住んでいますが、そのうちの150万人は他の国で生まれた人たちです。2015年の9月から12月には、16万人以上の難民がスウェーデンにやって来ました。国内には批判も当然ありますが、融合していくことが非常に重要です。スウェーデンの有名なサッカー選手やノーベル賞受賞者、そして大臣などには移民出身者がいます。この映画をご覧になって、生きるために危険を冒して逃げてきた人々に対して、どのようなサポートができるのかを考えてほしいと思います」とベイェさん。

「ナイス・ピープル」は母国からスウェーデンへと逃れてきたソマリア難民を題材にしたドキュメンタリー映画です。言葉も通じない国に馴染めずにいるソマリアの人たちのために、あるスウェーデン人がバンディというスポーツを通して交流を図ります。アイスホッケーとサッカーを組み合わせたようなこの氷上スポーツに取り組んだことで、彼らはソマリア初の代表チームとしてバンディの世界大会を目指すことに。時にユーモラスに、時にシリアスに、彼らが自分たちの居場所を見つけていく過程が描かれています。

映画を鑑賞した後、ベイェさんが観覧者からの質問に答えてくれました。「劇中、あるソマリア人がお母さんをスウェーデンへ連れてこられずに悩むというシーンがありましたが、それは何故ですか?」という質問に対して、「おそらく親権の問題だと思います。両親が離婚して、お母さんは彼と離れて暮らしていたから、ソマリアから出られなかったのではないでしょうか」とベイェさん。また「今後日本が難民を受け入れることになったらさまざまな問題が起きる可能性がありますが、私たちに必要なことや、今できることはあるのでしょうか」という質問に対しては「ぜひ、海外を訪れてみてほしいと思います。日本の若い世代は海外に行きたがらなくなったといわれていますが、現在の日本の繁栄は明治時代や戦後の日本人が海外から多くを学んだからなのではないでしょうか。難民を受け入れている国を実際に見て、いろいろなことを感じてほしいと思います」と答えてくれました。

上映会終了後に、実行委員会としてこの日の司会を担当した生徒にも話を聞いてみました。「日本は難民の受け入れが少ないことが問題になっていますが、この映画で描かれていた問題は、その数が多くない日本国内の難民の人にも通じる問題ではないかと感じました。父親が仕事で海外と関わることが多いので、私自身もそうした仕事に就きたいと思い、ラウンドスクエアの活動にも参加しています(12年生・御田麻友さん)」。「ラウンドスクエアの活動に参加して、貧困など世界の問題への関心が徐々に高まっていきました。また昼休みの講話などで難民についての話を聞くことがありましたが、やはり映像として見たことで理解も深まったと思います。私は写真に興味があるので、映像や画像を通して世界の問題や日本の現状を伝えたり、記事にするような仕事に就けたらいいなと、漠然と思うようになりました(12年生・小田理世さん)」。
一本の映画を通して、難民の置かれている立場、そして世界の今を知ることができた今回の上映会。ベイェさんのコメントにもあった通り、「世界の現状を知る」ことがこれからの社会で非常に重要であることを実感する機会となりました。