【動画付き】文学部英語教育学科で留学を経験した3年生が取り組むトランスリンガル授業『Global Communication』

2017.12.22

日本語と英語が飛び交うトランスリンガル授業

「Hello, everyone! Today’s agenda is…」
約20人が出席する『Global Communication』の授業が、小田眞幸教授の明るい一声から始まりました!
文学部の英語教育学科で行われているこの授業は、週に2回2限分続けて、留学から帰国した3年生を対象に行われ、グローバル社会におけるコミュニケーションの様々な形態について、言語学、社会学、ジャーナリズムの観点から学びます。英語教育学科では、全員必修で2年次秋から3年次春にかけて9カ月間の海外留学がプログラムに組まれています。授業に参加している学生は、イギリス、アメリカ、アイルランドなどの大学で学び、まさに学んで帰国したばかり。グローバル社会におけるコミュニケーションの様々な形態について、実際の留学経験を振り返り、互いの経験を共有したり議論したりしながら整理し、「グローバル人材」について改めて考察していきます。

さらにこの授業では日本語・英語の両方が使われています。
小田教授は基本的に英語で授業を進めていきますが、時折日本語での説明が入ったり、学生が日本語でディスカッションや発表をしたりと、どちらを使ってもかまいません。
「この授業は日英両語を使用して進めています。英語のみで行うことに固執するよりも、日本語の方が議論や理解が深まるのであれば、それを使わない手はないという考えです。すでに海外留学で英語を議論などでしっかり使い、学んできた3年生だからこそ、トランスリンガル、すなわち2言語を必要に応じて使い分ける授業が成り立つのです」と小田教授は説明します。

白熱するディスカッション&プレゼンテーション

授業が始まると事前に読んでくることになっていた英文の文献について話した後、早速小田教授から「Globalization(グローバル化)と英語」についてのディスカッションテーマが出されました。
「グローバル化は、英語教育を推進していく正当な理由になるのか?」
「最近“グローバル人材”が求められると言われるが、“グローバル人材”の定義とは?」
と、さらに議論のヒントが出されると、5人ずつに分かれた4チームでのディスカッションが始まりました。

「留学前は、英語ができることがグローバルで活躍できる力だと思っていたけど、留学後はそれだけじゃないと思うようになった」「でも、英語はイギリスから始まって、アメリカやオーストラリアなど、地球の裏側まで広がってきたよね。英語の広がってきたそういう歴史的な背景も無視できないよね」「じゃあ、英語を話さない国はグローバル化に入っていないの? 英語=グローバルとは言えないのでは……」

留学で英語をコミュニケーションツールとして使い学んできた学生たちだからこそ、“英語だけ”ではないグローバル力とは何なのか、意見が飛び交います。そこに「じゃあ、農学部の学生ならどう考えるだろう。どの大学や学部でもいまやグローバル化は話題にあがるけど、それはどういう文脈だと思う?」と小田教授の一石が投じられると、ハッとした学生たち。さらに議論は白熱していきました。日本語で議論をしながらも、手に取ったホワイトボードに書きだされたのは英語です。

10分間のディスカッションが終わると、チームごとに発表です。発表も、チームによって英語と日本語の両方が使われます。
学生たちの発表は、

  • 英語だけが大事なのではないが、外国語が話せればもっと“グローバル人材”になれるのではないか。“More the better”だと思う
  • 語学だけでなく人としても世界的に通用する人が“グローバル人材”ではないか
  • 文化的価値観を理解できている人が、“グローバル人材”
  • 輸出入など海外との経済的取引の中で英語が必要となる

というものでした。
発表を聞いていた小田教授が「留学を通してみんなが思った共通点は、“Language is not enough”。“語学力だけではグローバル人材とはいえない”、ということだね」と言うと、学生たちは大きくうなずきました。これまで学んできたことに加え、留学という経験がこれまでの固定概念を大きく揺さぶったことをうかがわせる発表でした。

講義で、これまでの“思い込み”に疑問を投げかける

海外に行くと“U.S.が……”と話すと、“United States of Mexico?”と言われることもある。では、“Americas”と言えば、“Central America?South America?”と言われることも……」。自分が持っている固定概念や通説が、海外では当たり前ではないという、小田教授自身の体験の紹介から、英語での講義が始まりました。
「小学校で導入されている“外国語活動”は基本的に英語。では、どうして“英語が国際語”と決めつけがちなのでしょうか?」。英語教育学科の学生の中には、今後英語の教師や国際的に活動する仕事に就きたいと考えている学生も多くいます。
「英語はネイティブが教えないといけないのはどうして? ネイティブではないスピーカーのほうが世界中には多いのに。世界への扉が開かれるからだという人もいますが、他の言語では扉は開かれないのでしょうか?」これまで言われてきた英語教育とグローバル人材育成の関係性に、小田教授はもう一度イチから疑問を投げかけます。科学的データや根拠もはっきりないままに、プロパガンダに流されていないだろうかと、学生たちに問いかけます。
そうした先生の講義を25分ほど聞いた後、自分たちの留学前後でどう考え方が変化したかにフォーカスして、再びディスカッションをし、発表をしました。
あるチームは、「留学中にスペイン人の友人たちと英語で会話をしていたが、深い話になるとスペイン語が分かったらいいのにと思ったことがあった。英語だけでない多言語も必要だと感じました」と留学経験を英語で話しました。また、「これまでは学校で英語が教えられるのは当たり前だと思っていた。でも、今は自分の意志で英語を選び学んでいるが、留学を通し語学力だけでなくコミュニケーション能力や国際関係についてもっと知る力が必要だと思うようになりました」と発表したチームもありました。

留学で学んだことをもとに、今後は英語教育学科1年生向けに「異文化コミュニケーション」「国際共通語としての英語」「国際コミュニケーションマネジメント」から1つのトピックを紹介する5分間の動画の制作プロジェクトに取り組みます。これまでも「留学する後輩のためのブックレット制作」プロジェクトとして形にし、学修を積み上げてきました。これからますます深まっていく議論と講義を通した主体的な学びで、どのような動画ができあがるのか。今後の展開が楽しみです。

留学する人に向けてのアドバイスを様々なブックレットに

“Global Communication” TOPIC

この授業は、特定非営利活動法人グローバル・ヒューマン・イノベーション協会が認定する国際コミュニケーションアソシエイトプロフェッショナル(ICM-AP)資格取得のための講座として設定されています(予定)。学期末に提出するレポートを一部申請に合う形にすることで、授業の成果を、資格申請用のレポートとして利用することが可能です。
ICMプロフェッショナル(ICMP)とは、企業が国際言語環境を適切に認識し、戦略的活動を行う際の担当者のことを指示します。企業のグローバル展開を図る上で、国際コミュニケーション管理能力はとても大切です。ICMPは、新入社員から経営者まで、どのグローバル企業も必要としている人材であり、ICM-APはその前段階の資格として位置づけられています。玉川大学文学部英語教育学科で学んだ授業によって、卒業後にも役に立つ資格として結びつけることが可能となっています。