岡本太郎展からBunkamuraのオブジェ、小田急百貨店のディスプレイまで。体験的に学ぶプロジェクト型授業。

2018.01.09

大学で修得した知識や技能を実社会で生かし、芸術での社会貢献を通して実践力を身につけていく、玉川大学芸術学部のプロジェクト型授業。この秋学期も学生たちがさまざまな取り組みを行ってきました。ここでは田中敬一教授の指導の下、現在進行しているプロジェクトについてご紹介します。

美術館の企画展の展示準備作業を体験>

川崎市岡本太郎美術館での岡本太郎とメディアアート展の準備

田中先生が光のインスタレーション作品を展示発表する川崎市岡本太郎美術館の企画展「岡本太郎とメディアアート展」。その展示準備作業に、「メディア・デザイン・プロジェクトB・D」を履修する学生14名が参加しました。アーティストの作品の展示をプロデュースすることや作品展示を現場で完成するまでディレクションしていくといったプロが行う工程を田中先生の作品を題材に体験します。さらに搬入作業を通して、美術館のバックヤードおよび学芸員の仕事である展示実務を体験することに。一般公開されていない岡本太郎の彫刻作品が数多く眠る彫刻作品収蔵庫への立ち入りが許されるなど、通常では体験出来ない貴重な機会となりました。

「都会に降る雪」をイメージして冬を演出

渋谷東急Bunkamuraウインターイルミネーション「光のアーバン・スノー・アヴェニュー」制作

映画や演劇、アートを社会へ提供し続けている渋谷東急Bunkamura。クリエイティブマインドを持つ人々が集うBunkamuraにふさわしい光の造形とは何かを追求し、「光のアーバン・スノー・アヴェニュー」と題したさまざまな光のオブジェを展示。これは次世代へ向けた新たな感性を応援するBunkamuraとの教育連携プロジェクトとして、「メディア・デザイン・プロジェクトB・D」を履修している学生20名が取り組みました。「都会に降る雪」をキーワードに学生たちがイメージをふくらませ、柔らかな樹脂素材を用いてオブジェを制作します。

「この時期に雪の結晶をデザインするというと、ついクリスマスに絡めたようなデザインを考えがちですが、今回制作したオブジェはクリスマス以降も展示されます。そうするとクリスマスのモチーフでは年明けには季節外れになってしまう。学生には、そうしたことも意識してデザインをしてもらいたいと思いました」と、指導を行う田中先生。

このプロジェクトに参加した学生からは「プロジェクト型授業にはこれまでも参加してきました。その中で私は記録用の画像や動画を担当してきて、特に動画では限られた時間の中で制作過程を紹介することに苦労しました。ただ、その経験から『何が重要なのか、何を伝えなければいけないのか』といった視点が身についたと思います。今回はBunkamuraの方からの依頼でwebサイト向けに制作工程を文章にしてまとめていますが、これまでの経験が役立っています(宮北莉夏さん)」といった感想や、「私は議事録をまとめるために、Bunkamuraでの会議に参加させてもらいました。企業の方が実際に行っている会議に参加したのは初めての経験で、発言はしていませんがとても緊張しました。ただ、会議でどのように意見を集約していくのかなど、大学で授業を受けているだけでは知ることのできない世界に触れられたことは大きいと思います(岡段摩紀さん)」といった感想を聞くことができました。

このように、単にデザイン制作だけに留まらない、実社会におけるビジネスの進め方に触れられる点が、このプロジェクト型授業の大きな特徴といえます。

「Bunkamuraが社会に対して『私たちが考える都会の雪とはこういうデザインです』という提案を、自分たちが代わって行うのだということを意識してほしい」と語る田中先生。ビジネスの視点でのデザイン制作という考え方は、着実に学生の中に息づいているようです。

ターゲットの心に響くリアルな表現を追求

小田急百貨店町田店「小田急のバレンタイン」 ウインドウディスプレイ制作

2018年2月のバレンタイン商戦に向けて、小田急百貨店町田店のウインドウディスプレイを「メディア・デザイン・プロジェクトB・D」を履修している学生20名が担当しています。ディスプレイを行うのは、小田急線町田駅の改札を出たところにあるショーウインドウ。この場所にバレンタイン向けのディスプレイを展示することで、特設会場への集客を図ります。

参加している学生からは「小田急百貨店町田店は、自分たちよりも年齢層が上の人たちが買い物をする場所、というイメージでした。そんなときに町田店の方の『若年層を取り込みたい』という考えを伺って、自分たちの世代がターゲットなのだと実感しました。今回のディスプレイでは自分たちのリアルな声をディスプレイに反映させていきたいと考えています。表現方法として、テレビドラマなどでも使用される漫画の吹き出しなどを活用するつもりです。吹き出しの内容は時期によって変化していく予定です。見ていただく人に共感していただける吹き出しを目指したいです(林はるなさん)」といった意見を聞くことができました。

「広告表現にも通じるプロジェクトなので、企業としてのNGワードや炎上しそうなフレーズは避けるなど、デザイン以上に言葉について慎重に進めていく必要があります。そして単に目を惹くだけでなく、実際に特設会場まで足を運んでもらえるような企画に仕上げないと意味がないということを、学生たちには理解してもらいたいですね」と田中先生。

このディスプレイは2018年1月末からウインドウに展示され、町田駅のサイネージや町田店のホームページなどにも展開していく予定です。

自分たちのアイデアを社会に発信していく。それ以上に、企業が求めることを自分たちのアイデアで実現していく。教室だけではなかなか学べないことを、リアルな体験を通して学んでいくプロジェクト型授業。その成果にどうぞご期待ください。