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卒業制作レベルのプロジェクトに取り組む芸術学部の3年生。寄木細工の展示企画を、小田急百貨店町田店で開催。

2018.01.12

プロジェクト型授業などを精力的に行い学生を指導する一方で、光・環境造形作家としても数多くの作品を発表してきた芸術学部の田中敬一教授が、2018年3月で退職されます。指導を行っているメディア・デザイン学科では3・4年次にゼミナールである「メディア・デザイン研究Ⅰ・Ⅱ」があり、通常は2年間の研究を行いますが、「1年間だけでも田中先生のゼミで学びたい」という学生たちに応えて、1年限りの3年生のゼミナールがスタートしました。現在6名の学生で研究プロジェクトを進めています。

田中ゼミの3年生が行っているのは、プロジェクト型授業のように実社会での取り組みを学生主体で行っていきます。具体的には、神奈川県・箱根町の伝統工芸である寄木細工の魅力を伝えていくプロジェクトです。箱根の寄木細工は全国的にその名を知られており、箱根には玉川大学の実習林、研修施設があり、玉川とは関係の深い土地です。けれども寄木細工作りの中心地・畑宿は箱根の観光地エリアから少し外れていること、そして寄木細工職人の後継者不足など、さまざまな問題を抱えています。今回のプロジェクトでは寄木細工の魅力をアピールし、次世代へとつなげるプロジェクトを学生たちが企画・制作することになりました。

ゼミナールを履修している小田千裕さん、新川晃子さんに話を聞いてみました。「当初は箱根や寄木細工についても知らないことが多かったし、そもそも寄木細工のPRは箱根町でも行っているので、学生の私たちにどのような貢献ができるのかを探っていくことからスタートしました」と小田さん。「何ができるのかを学生各自で考えてみて、一人ひとりが作成した企画書を箱根町役場の企画課の方に見ていただきました。そして多くのアドバイスをいただき次第に企画の方向性が決まっていきました」と新川さん。こうした中で、寄木細工の認知や畑宿への観光客の動員アップを最終的なゴール地点として、展示やワークショップを行うといった案が出てきました。

「畑宿には寄木細工作りを体験できる会館もあるのですが、現地を訪れた人に向けてPRをしても意味がありません。そこで昨年も学生がCM制作や展示でお世話になった小田急百貨店町田店の協力のもと、展示やワークショップを行おうということになりました」と田中先生。
こうして2018年の1月16日(火)から31日(水)までの16日間、「“YOSEGI 寄木 130の魅力”展」と題した展示を行うことに。「寄木」と「YOSEGI」を併記したタイトルには、寄木細工の伝統を次世代へとつなげていくという気持ちを込めました。「130」という数字は、伝統的な寄木細工の文様の数とのこと。展示場所のガラス面に学生が考えた寄木細工の文様をグラフィック化したデザインを貼り付け、その前面に実際の寄木細工をレイヤー構造のように吊して展示することに。また、その下には130種類の寄木細工の文様を、その名称と共に展示する予定です。「私たちが新しく考えた寄木細工の文様と既存の文様を前後に重ねることで、寄木細工のこれまでとこれからを表現。それらがつながっていることを、このレイヤー構造に込めました」と小田さん。こうした企画・制作活動は、基本的には全員で進めていきますが、その中でも小田さんはリーフレットのデザイン制作を、新川さんは期間内に行われる寄木細工のワークショップの企画を主に担当しているそうです。

これまでもプロジェクト型授業に参加したり、昨年の4年生のゼミナールの卒業制作にもサポート役として参加してきた小田さんと新川さん。今回のプロジェクトは、その時と違う点があったのでしょうか。「これまでのプロジェクト型授業でも制作過程で意見を出してはいましたが、今回は自分たちが主体的に進めなければいけない点が大変でした。さまざまな場面で責任も感じましたが、考えたことが形になっていく点には面白さを感じます」と新川さん。小田さんも「期限を決めて課題をクリアしていくことの難しさを実感しました。でも、自分たちで動いていくことを経験できたのは良かったと思います」と答えてくれました。

箱根町役場や寄木細工の職人の皆さん、小田急百貨店の方々の協力により、完成に近づいている今回のプロジェクト。デザインなどを企画に落とし込み、現実の社会で展開していくという今回の経験は、社会に出た際にも大いに役立つに違いありません。小田さんや新川さんたちが3年生という段階でこうした課題に取り組むことができたのも、これまでプロジェクト型授業に参加し、ノウハウを学修してきたからなのではないでしょうか。

「会議の内容をきちんと議事録にまとめたり、進捗状況を共有したりというような、プロジェクトを進めていく上での基本がしっかり身についていたと思います。昨年の4年生をサポートしている様子を見て、この学生たちなら3年生でも大丈夫だと思っていました」と田中先生。小田さん、新川さんは「4年生になったらどのゼミナールに入るのかはまだ決めていませんが、できれば今回のメンバーで何かのプロジェクトに取り組みたいねと話しているんです」と語ります。学生たちが約1年間をかけて取り組んできた今回の企画。ぜひ足を運んでYOSEGIの魅力を再発見してください。

「“YOSEGI 寄木 130の魅力”展」
  • 展示期間:2018年1月16日(火)~31日(水)
  • 展示場所:小田急百貨店町田店9階 スカイタウン特設会場
  • 後援:箱根町
  • 協力:小田急百貨店町田店、寄木会館
  • 寄木会館主催の出張ワークショップは1月20日(土)に開催

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