伊藤園との連携により、メディア・デザイン学科の学生たちがお茶の新しい楽しみ方に関するプレゼンテーションを行いました。

2018.08.23


芸術学部メディア・デザイン学科の「芸術表現学(橋本順一教授)」を履修している学生たちは株式会社伊藤園との連携により、「若い世代とお茶の関係をリデザインせよ」という課題にデザイン思考で取り組んでいます。4月には伊藤園の方を招いてお茶に関する基礎知識を教わり、その後学生たちはグループに分かれ、実際に学内でインタビューをして問題点を洗い出した後、アイデアをふくらませながら、それぞれに若者にお茶をアピールする具体的なプランを検討してきました。その発表会となるプレゼンテーションが7月6日(金)と13日(金)の2週にわたって開催されました。どちらの回にも前回の講演時にご登壇いただいた伊藤園町田支店長の海野卓也さんにお越しいただき、プロの目でご意見をいただきました。

「若い世代にもっとお茶を浸透させたい」というオーダーに応えるために、学生たちはさまざまな視点からのアプローチを考えました。学生たちは12の班に分かれ、スキット(寸劇)やプロトタイプの実演などを交えながらテイストやパッケージング、さらには販売方法などさまざまな角度から、各班が7分の持ち時間の中で自由に提案を行っていきました。各班の提案内容をご紹介します。

  • 1班

    学内でインタビューを行い、カロリーは低いが甘みがある飲料が好まれるという調査結果を得た1班は、イギリスの研究者による「高い音を聞くと、人は甘みを感じる」という説に着目。キャップにセンサーを仕込むことで、飲む際に音楽が流れる水筒を開発し販売することを提案し、若い世代のヘルシー志向に対応しました。その着眼点には、橋本先生も「よく調べたね」と驚いた様子でした。

  • 2班

    若い女性の「インスタ映え」というニーズに応えられるよう、グリーンを基調としたお茶のラベルデザインではなく、カラフルで可愛らしいデザインのペットボトルを提案。ラッピングを二重にし、商品名や原材料などを表示した外側のラッピングを外すことで、よりインスタ映えする商品となることをアピールしました。

  • 3班

    ペットボトルではなく、急須で淹れるお茶をもっと楽しむことを提案。そのために茶筒自体を小型化することで、「ストックせずに使い切りたい」という若い世代のニーズに対応するという案でした。「小さい茶筒は可愛らしくインテリアにも最適。違う味を少しずつ楽しむのにも向いています」という点もアピールしていました。

  • 4班

    「愛媛=みかん」というように、各地の名産品で作る地域限定のフレーバーティを開発、「旅茶」という商品名で売り出すという提案でした。ただ販売するだけでなく、QRコードやVR機能を駆使してご当地キャラとの記念撮影も可能といった別提案も。「フレーバーティは販売していますが、なかなか定着していません。地域とコラボレーションするという案は非常に面白いですね(海野さん)」。

     

  • 5班

    女性の鞄が小さく、500mlのペットボトルを入れるとかさばることから、小型の容器を提案した5班。飲むと容積を減らせるよう、素材もシリコンやレトルトパウチに使用されるものを採用すると同時に、口紅がつくことを気にせず飲めるように飲み口部分を小さくするといった、工夫も見られました。「お客さんからもそういう要望があったことを思い出しました。本社にも進言したい提案ですね(海野さん)」。

  • 6班

    ペットボトルの上部に同素材で作った急須を載せるという斬新なプラン。下部のボトルに入った水やお湯を急須に注ぐことで、「いつでもどこでも、手軽に本格的なお茶を飲める」点をアピールしました。「昔は列車で旅行をすると、そういうお茶が販売されていましたね(橋本先生)」。「私たちは急須で淹れた時の味を再現したいと日々努力しているので、まさに逆の発想ですね(海野さん)」。

  • 7班

    若い女性の「ちょっとしたプレゼント」習慣というニーズを取り込めるよう、スマホを使ってオリジナルのラベルデザインができるという販売方法を提案しました。これはどんな世代にも喜ばれ、オリジナリティもあり、費用対効果も高い点が魅力といえます。「メッセージが書き込める商品は開発しましたが、ラベルのデザインは面白いですね(海野さん)」。「インバウンドにも着目すると、ニーズは更に広がるのでは(橋本先生)」。

  • 8班

    お茶と相性のいい和菓子は、洋菓子よりもヘルシーという点に着目。その和菓子をガチャガチャ(カプセルトイの販売機)で販売するという提案を行った8班。ガチャガチャの模型を実際に製作し、海野さんにも試してもらいました。「和菓子の賞味期限は短いので、そこをクリアできるような策があれば非常にいいと思いますね(海野さん)」。

  • 9班

    お茶の脂肪燃焼効果といった健康情報だけでなく、どのお茶にはどの料理が合うのかといった情報までを網羅したお茶に関するスマホアプリを開発し、消費行動につなげていくという提案。「料理に合わせる飲み物」という点に着目した内容に、海野さんも「ついつい、私たちは飲み物を中心にして考えがちですが、料理から飲み物を選ぶという発想はなかった」と感心していました。

  • 10班

    若い世代が手にとりやすいテイストとパッケージングをリデザインした10班。容器は若い世代に人気のカフェのカップと、お茶の湯飲みをかけ合わせたデザインに。また数種類のフレーバーティを同時に発売することで注目を集めるという内容でした。「容器のデザインを変えるとコンビニの棚には入らないかもしれない。チャネルを考える必要があるね」と橋本先生。海野さんからは「フレーバーティを一斉に売り出すアイデアはいいですね」という感想が聞かれました。

  • 11班

    お茶の入ったペットボトルをより美しく見せるために、小型のライトを仕込んだコースターを付けて販売するという提案を行った11班。ボトルの下部から光を照射するのですが、その美しさを際立たせるため、ラベルデザインもステンドグラス調などを提案。さらに「最近流行の無色透明のドリンクをお茶でも開発できると、この案が一層引き立ちます」とアピールしました。

  • 12班

    6班と同様に「気軽に本格的なお茶を楽しむ」をコンセプトに据えた12班。こちらの提案は、水筒型の容器にフィルターを付け、好みの濃さに抽出するというものでした。「3DCGでの説明もあり、分かりやすかったです(橋本先生)」。「急須内蔵型に近いものは販売しているのですが、濃さの調節までは思い付きませんでした(海野さん)」。

それぞれの班のプレゼンテーションは、7分という限られた時間で劇を演じたり、アンケートデータを提示したり、模型やCGを活用するなど工夫を凝らした見せ方でとてもわかりやすくまとめられていました。海野さんからは「若者とお茶との関係のリデザインというお題は少し漠然としているため、具体的な提案を考えづらいのではと心配していたのですが、すぐに本社に伝えたくなるようなアイデアも多く、とても面白かったです」という講評をいただきました。また橋本先生からは各班の提案内容に対する感想と同時に、その提案手法も多彩で非常に分かりやすかったという点が評価されました。
若い世代とお茶の関係を改めて深く考え、問題解決を「デザイン」した学生たち。今回の提案には、日本人が古くから味わうお茶について、イノベーションのヒントがたくさんあったようです。