シュバイツァー博士ご令孫 エンゲル女史を迎えて「ピアノコンチェルトの夕べ」を開催【12/2追記・メッセージ掲載】

2013.12.02

10月31日(木)夕方、医師でありピアニストでもあるクリスティアーネ・エンゲル女史をお招きした「ピアノコンチェルトの夕べ」を、玉川学園講堂で開催しました。ピアノはエンゲル女史、オーケストラは玉川大学管弦楽団、野本由紀夫芸術学部教授による指揮で、バッハとモーツァルトのピアノ協奏曲を演奏しました。また、2曲の間に「祖父アルベルト・シュバイツァーの想い出」と題したスピーチをはさみ、心温まるお話をいただきました。

クリスティアーネ・エンゲル女史は、1953年にノーベル平和賞を受賞された医師シュバイツァー博士*のご令孫です。女史は医師として、アフリカのガボン共和国・ランバレネにあるシュバイツァー病院の理事を務めるかたわら、これまでにピアニストとして演奏活動に精力的に取り組み、ヨーロッパ、アメリカ、アフリカ、アジアの世界各地を訪問してきました。シュバイツァー病院が100周年を迎えた際の報告のため、今回の来日と玉川学園への訪問が実現しました。エンゲル女史の来園は、1963年、1970年、1972年、1975年に続いて今回で5回目となりました。

演奏曲目は、バッハ作曲「チェンバロ協奏曲」第5番ヘ短調BWV1056と、モーツァルト作曲「ピアノ協奏曲」第23番イ長調KV.488でした。バッハとモーツァルトを敬愛しているエンゲル女史の演奏は、いずれも素晴らしいものでした。特にバッハの第3楽章は、ピアノとオーケストラが一体となり、きびきびとした舞曲風の曲調を、チェンバロとはまた違った現代のコンサート・ピアノでも表現されていました。また、モーツァルトでは、管弦楽に管楽器も加わり、より厚みの増した響きが講堂を満たしました。とりわけエンゲル女史のピアノ・ソロとフルート・クラリネット・ファゴットの彩り豊かな対話は、このコンチェルトの魅力を改めて感じさせてくれるものでした。

曲の合間のスピーチでは、神学者・哲学者・音楽家・医者として生きたシュバイツァー博士の事業について、次のようなお話がありました。まず、博士による“Reverence for Life”(生命への畏敬)という考えを説明しました。これは博士の精神的なよりどころであり、宗教・哲学・倫理原理です。この思いを持ちながら、医療活動を積み重ね、1953年のノーベル平和賞受賞にもつながったのです。シュバイツァー博士と看護婦であったヘレーネ夫人の献身的な努力により、1913年4月にシュバイツァー病院が建設され、その時から今年で100周年を迎えました。また、講演の中では、「小原芳明学長にお許しいただき、小原國芳先生(本学園創立者)とアルベルト・シュバイツァー博士(女史の祖父)に本演奏会を捧げたいと思います。この2人は“Spiritual brothers”(精神的兄弟)と言えましょう。」と述べられました。

最後にアンコール曲として、「平均律クラヴィーア曲集」第1巻第1曲目の「前奏曲」をグノーが編曲した「アヴェ・マリア」が、エンゲル女史のピアノと弦楽合奏で演奏され、秋の音楽の夕べをしっとりと締めくくりました。

クリスティアーネ・エンゲル女史からのメッセージ

メッセージ訳
「皆さんがどのような運命を辿るのか、私には分かりません。皆さんの中には、素晴らしい職を手にする人もいるかもしれません。皆さんの中には、物を書くことによって、また芸術家として、有名になる人もいるかもしれません。しかし、私には一つ確かなことがあります。皆さんの中で本当に幸せになるのは、どうすれば人の為になるのかということを追求し、その方法を見つけた人だけなのです。自分の真心のままに進める人だけが幸せなのです。なぜなら、真心は人生の中で常に正しく、大切な拠り所だからです。」

アルベルト・シュバイツァからの引用
(生徒へ向けてのスピーチ)

玉川大学での素晴らしい経験に深く感謝し、願いと愛を込めて
クリスティアーネ・エンゲル・シュバイツァー

リハーサル前に教育博物館におけるシュバイツァー
博士関連展示品を見学するエンゲル女史と石橋
GIOシニアスタッフ 10月30日撮影
  • アルベルト・シュバイツァー博士と玉川学園
    医者でありノーベル平和賞受賞者のシュバイツァー博士。玉川とのつながりは、1963 年、ガボン共和国ランバレネのシュバイツァー病院が創立50周年を迎えるということで、小原國芳が礼拝の時間に児童、生徒、学生に呼び掛け、礼拝献金でオリンパス顕微鏡をシュバイツァー博士に贈呈したことに始まる。一人娘レナ・エッケルト夫人は、博士に代わって顕微鏡を受け取るために玉川学園を訪問。その後孫娘のクリスティアーネさんも度々玉川学園を訪れるようになった。シュバイツァー博士の下で、日本人医師として働かれた高橋功博士は、遺族よりシュバイツァー博士の遺髪をはじめ、400点にものぼる貴重な遺愛の品々を譲り受けられたが、上記のこともあり、本学にすべてを寄贈された。現在、このうちの20点ほどは教育博物館で常時見ることができる。
    [本演奏会のチラシより抜粋]