FC町田ゼルビアの2015年 新チームが、玉川アドベンチャープログラム(tap)に取り組みました

2015.02.16

あらゆる組織づくりに活用されるtap

2015年1月26日、J3リーグに所属するFC町田ゼルビアの選手、スタッフ総勢37名が玉川学園のキャンパスを訪れ、玉川アドベンチャープログラム(tap)に取り組みました。
tapとはアドベンチャー教育の手法を取り入れた体験学習プログラムです。玉川学園ではキャンパス内に専用のコースを設置し、さまざまなアクティビティにチャレンジできる体制を整えています。tapの研究員はそのチームや組織の課題に合わせて様々なプログラムを用意し、当日も刻一刻と変化する組織の状況に応じたアクティビティを展開します。tapは、幼稚園から大学院生までの教育活動に取り入れていることはもちろんのこと玉川学園の新採用教職員研修をはじめ、企業の社員研修などに活用されています。過去にはサッカーU-17日本代表も本学を訪れ、チームビルディングの一貫としてtapに取り組みました。

簡単なアクティビティにも大切な意味がある

FC町田ゼルビアは2009年本学とのオフィシャルスポンサー契約以来、チームビルディングの一環としてtapを取り入れてきました。FC町田ゼルビアの相馬監督はチームの課題をクリアするためにも、今シーズンは計画的にtapを取り入れたいと考え、tapとの綿密な打ち合わせを重ねました。J3リーグで優勝できるチーム組織力をつけたい。その思いを組んでtap研究員は様々なプログラムを計画し当日を迎えました。

この日は10数名ずつ3グループに分かれて、簡単なアクティビティから、コースを利用したチャレンジングなメニューまでを行いました。

しっかり受け止めてもらえると、
思わず安堵の笑顔がこぼれます。

3グループのそれぞれの特長やウイークポイントをtap研究員が感じ、それらに合ったプログラムを次々と出していきます。


コースを使わないアクティビティの一例を挙げると、2人一組になり、1人が直立した状態から倒れるのを、もう一人が手を差し伸べて支えるというものがあります。支える人がこらえきれないと、そのまま地面にたたきつけられることになるわけですから、倒れる人には大きな恐怖感があります。それは普段から体を鍛えているサッカー選手でも同じ。最初は恐る恐るといった様子で、「こわい!」という声も上がります。次第に慣れてくると、相手を信頼して体をあずけられるようになってきます。これを繰り返すことで、お互いに対する強い信頼感が育まれていくのです。

もう一つ例を挙げましょう。あるグループでは、全員が1〜30までの数字が書かれた紙を受け取り、別の場所に置いてある同様に番号がふられたボールの中から、受け取った紙と同じ数字のボールを探し出し、それを小さい方から順に並べるというアクティビティに挑戦。皆で話し合い、目標タイムを20秒に設定しました。1回目のタイムは36秒。チャレンジするごとに皆で相談し、どうしたらタイムを縮められるか作戦を練ります。選手たちからはさまざまな意見が出ますが、なかなか“これ”という作戦が定まりません。

実はこうした集団における意思決定は、うまくいかないことも多いのです。ましてサッカーの試合中ならなおさら。普段から意思決定のトレーニングをしていないと、とっさの判断はできません。
さて、このグループの挑戦はラスト1回。選手たちは円陣を組んで気合いを入れます。紙を受け取りスタート! 全力でボールを取りに走る選手たち。順番にボールを並べ終わり、タイムは……19秒! 「ウォー!!」と選手たちから歓声が上がります。何か壁を一つ乗り越えた、選手たちの表情はそんなふうにも見えました。

主体的にチャレンジするからこそ力になる

続いて、ハイチャレンジコースへ移動です。ここでは、地上8mにある丸太の上を左右からわたるCat Walk(キャット ウォーク)や、地上10mに張られた不安定なワイヤー上を2人で横断するMultivine Traverse(マルチバイン トラバース)に挑戦。

不安定なワイヤーの上では、命綱があるとわかっていてもパニックに。お互いの呼吸を合わせないと一歩も進めません。

例えばCat Walkでは、つかまるものは何もありません。頼りになるのは地上の仲間が支える命綱のみ。仲間への信頼、恐怖に打ち勝つ勇気が試されます。Multivine Traverseでは、頭上から下がっているロープにつかまって進みます。ただし、ロープの間隔は2m以上。2人一組で支え合いながらではないと前には進めません。チャレンジする人同士のコミュニケーションや信頼関係が重要になります。

いくら運動能力の高いサッカー選手といえども、恐いものは恐い。上空からは「ダメだ!」「ムリムリ!」、地上からは「大丈夫!」「信頼しろ!」と声が飛び交います。中には途中でリタイアしてしまう選手も。でも、それも一つの選択です。
tapでは、強制して何かをさせることはありません。自分の意思でチャレンジし、それを乗り越える経験を大切にしているのです。

数々のアクティビティを終えた後は、グループごとに集まって振り返りを行います。メンバーは難題を乗り越えた、いわば戦友。そんな一体感を感じながら、チームとしてこれから1年間活動していく上で、自分の役割とは何なのか、チームの課題は何なのか、目標はどこに置くのかなどを話し合いました。

J2昇格をめざして〜選手・監督の声〜

鈴木孝司選手(FW)は「高所でのアクティビティなど、自分には無理だと感じていたことを乗り越えられたことで、物事に対する考え方の転換が図れたように思う。昨年もtapに取り組んだが、そこで学んだことを試合前に振り返るなど、意識できるようになってきている。今年はJ2昇格という目標に向けて、全員が同じ方向を向き、お互いに助け合いながら戦いたい。個人的には1点でも多く得点を決め、チームに貢献したい」と語っていました。

今年から新加入した土岐田洸平選手(MF)は「チームに合流して間もなく、全員の名前も把握できていなかったので、葛藤している部分があった。自分からコミュニケーションが取れる方ではないが、こうして体を動かしながらだと自然とコミュニケーションが取れるので正直とても助かった。一昨年に大きな怪我をして思うような働きができていなかったので、今年は怪我をすることなく、シーズンを通じてチームの力になりたい」と今日の取り組みを振り返りました。

この日、選手たちのチャレンジを見た相馬直樹監督は「新加入の選手・スタッフがいる中、新しいシーズンを迎えるこの時期に、こうしてコミュニケーションを取り、距離を縮められたのはとても大きい。また、チームとしての方向性を意識しながら、その中で自分がどうチャレンジしていくか、課題もいろいろ見えたと思う。昨年tapに取り組み、シーズン中も前向きな言葉が出てくるようになった。年間を通して戦っていく中で、当然調子の悪い時期もあるが、それを乗り越え、前に進むためのエネルギーになるのではないかと思う。今年はJ2昇格に向け、皆が同じ方向を向いて戦えるチームづくりをしたい。ただそれだけではなく、選手一人ひとりが思い切ってチャレンジし、見に来てくれた人が楽しめるゲームができるチームを目指したい。その先にこそ、J3チャンピオン、そして、昇格があるのだと思う」と話してくれました。