SSH特別講義「ここまできた! 空間情報による『地球・街の安全見える化』」を行いました

2015.02.23

人工衛星などで収集した地理・空間情報を分析・加工して3Dマップを作成し、
リスクの高低判断や監視カメラの配置などに応用する技術研究……。
企業で行われている「開発中の最先端研究」にふれる機会であり、
興味・関心のきっかけにもつながる体験型講義をキャンパス内で行いました。

企業で研究されている最先端にふれる

玉川学園では、2008年度にスーパーサイエンスハイスクール(SSH)の第1期の指定を受けて以降、「先進的な理数教育・科学技術教育を通じた将来の科学者の育成」という目標の実現に向け、さまざまな取り組みを行っています。その一環として、2014年11月28日(金)に7~12年生(中学1年~高校3年生)の希望者を対象とした特別講義「ここまできた! 空間情報による『地球・街の安全見える化』」を実施しました。
今回、お招きしたのは、日本初の警備会社として50年以上の実績を有するセコム株式会社。企業概要に続いて、セコムが手がける先進の事業である「地理情報サービス」の話がありました。これは、航空測量とGIS(Geographic Information System=地理情報システム)によって得られたデータを、BIM(Building Information Modeling=三次元建物情報モデル)を活用して、立体画像として活用していく3D(3次元)マップ技術です。スクリーンに映し出された画像は、空から町を撮影した写真のようにキレイで、そればかりか、拡大表示していくほどその精密さが際立ってきます。このマップを制作するさいには、あらゆる場所をまんべんなく、しかも狭い範囲を何度も上空から撮影しデータを集めます。そのときに応用しているのが人間の2つの目を使って物を見て立体と認識する仕組み。人が右目と左目のそれぞれから得た情報を統合して立体物を認識するように、2つのカメラから得た情報を処理することで、立体画像ができあがります。こうして作られたマップは、建物の大きさ、高さなどの再現だけでなく、建築図面のデータなども取り込むことができ、ビルの各フロアの構造までも反映できるため、警備・防災という目的以外にも、災害時などにも役立つマップとして幅広く応用できるよう開発が進められています。

未知に体験的にふれ、興味のきっかけと価値観の創造へ

さらに、このマップは仮想空間上を移動することも、実際にマップを動かして角度を変えたりすることもできます。今回用意されたマップには、ヘリコプターを操作してマップ上の移動や建物への接近などができるプログラムが組み込まれていて、その「仮想ヘリ」の操縦に数名の生徒がチャレンジしました。
操縦には特別な技術は必要なく、家庭用ゲーム機のコントローラを使い、「○」「×」「△」のボタンや十字キーで操縦します。チャレンジした生徒は、わずかな時間で操縦のコツをつかみ、マップ上での移動や方向転換を行っていました。
実際に操作した生徒に話を聞いてみると、「使い慣れたコントローラだったので、操縦しやすかったです。自分はロボットクラブに所属していますが、ロボットの操縦にも活かせそうです。また、多くの情報を収集してマップを作るため、『情報は集めること以上にそれをどう活用するかが大切』ということがわかりました」と答えてくれました。
また、別の生徒は「航空技術が様々な学問分野に応用できることを聞き、とても興味が出てきました。マップはいろいろな角度から見られるので、『その部分はこうなっていたんだ』という発見もありそうでしたし、かなりリアルにできているので、楽しさと技術の伸展のスピードに驚きました」と話してくれました。

最後に、SSHの担当主任であり、高学年の理科の担当でもある森 研堂(もり けんどう)教諭に、今回の講義の意義や目的について聞きました。
「大学教員が研究している専門分野や企業の先端研究は、その分野に興味がある人にはとても楽しい反面、実生活とはやや離れたところの話で、生徒たちが具体的にイメージしづらい場合あります。今回の講義の目的の一つに、企業活動の実態や研究部門を見せ、そこから得たものや学んだことを自分の興味の芽にしたり、その分野を学ぶトレーニングにしてほしいということがありました。今後、個人個人で取り組む課題研究のなかで、この日の経験・体験を活かしていけるか、が大切でしょう。見聞から得たものを吸収して自身の価値に取り入れてもらうのはもちろん、自分の意見・考えを発表できるまでのレベルに昇華できればよいですね」
こうした特別講義は、今後も主に9~12年生(中学3年~高校3年生)を対象に、研究所の見学や企業講話の聴講などを予定しています。