「自分の一票に価値を見いだす」 玉川学園の模擬選挙の取り組み

2015.03.06

昨年行われた第47回衆議院総選挙は、まだ記憶に新しい出来事です。その選挙に先立って玉川学園の生徒が模擬選挙を行いました。これまで玉川学園では、衆議院選挙や参議院選挙、東京都知事選挙など実際の選挙が行われるたびに、中学生や高校生の生徒を対象に模擬選挙を行ってきました。
実際の選挙では、ここ数年、若年層の投票率の低さがテレビや新聞などで取り上げられています。3月5日には、18歳選挙権実現のための公職選挙法等一部改正案が衆議院に提出され、より多くの若い世代に選挙へ参加する機会が与えられる可能性がでてきました。例えば、9年生(中学3年生)の場合、法改正が行われ、18歳から投票できるようになれば、彼らが18歳の誕生日を迎えた次の選挙から投票することができます。生徒たちに自分たちが社会を作っていく意識をもってもらうことも、学校教育の場では非常に重要です。模擬選挙は実際の選挙に合わせて行うため、今回の総選挙は生徒にとって格好の学びの場となりました。

今回の模擬選挙は、社会科、地歴公民科の政治分野の学習の一環として実施しました。2013年の参議院選挙に引き続き、中央委員の生徒による放課後の呼びかけ投票も行い、授業で模擬選挙を行っていない生徒も投票しました。今回は開票作業も中央委員の生徒が行い、呼びかけから開票まで生徒が互いに協力して行いました。
次に模擬選挙の授業の一例を紹介します。教員から現在の選挙の状況などの説明があった後、生徒たちは6名程度のグループに分かれました。生徒たちは財政政策、消費税、子育て少子化対策などに対する各党の考え方の違いを、実際の新聞や各党のマニフェストなどを見ながら議論しました。議論の中では、「少子化対策はこれからの日本を考える上で重要」「マニフェストに、何年に何を実現させるのかを明記している政党は説得力があるよね」「でも、本当に実現できるのかな?」など、さまざまな意見が出ました。また「道州制って何ですか?」など、マニフェストに記載された耳慣れない言葉について教員に質問する姿も見られました。

グループで議論をした後に、いよいよ投票に入りました。投票はグループでの結論とは関係なく、個人の意思でどの政党に投票するのかを決めます。投票前には教員から「白票を投じても構いませんが、できれば投票用紙に自分の意思を表してほしい」といった話がありました。投票箱や記載台は教室の外の廊下に設置されました。それらは町田市の選挙管理委員会からお借りしたもので、実際の選挙でも使用されています。ほとんどの生徒が模擬選挙への参加が初めてのため、投票用紙を渡される段階から興味津々。各自が記載台で支持する政党名を記入し、投票を行いました。

模擬選挙の授業を行った教員の一人である硤合教諭は、「投票にかかる時間は約5分程度。しかし、そこにきちんとした価値を見いだせる人になってほしい」と話します。模擬選挙はアメリカでは古くから学校教育に取り入れられており、2008年の大統領選挙でも700万人の生徒が模擬選挙に参加しました。一方で日本では、2013年の参議院選挙で模擬選挙を体験した未成年は約1万人と、大きな差があります。玉川学園では2002年から模擬選挙を開始し、今回の選挙で15回目となりました。その取り組みの中で、本学の模擬選挙実践は平成23年第6回マニフェスト大賞において「『つながるつなげる模擬選挙』玉川学園K-12社会地歴公民科」として優秀マニフェスト推進賞を受賞した実績があります。
今回の模擬選挙を通して、生徒たちは自分なりの視点を持って一票を投じることの重要性を感じました。それとともに、将来、自然と投票所へ足を向けるようになること、世の中の動きにさらなる興味・関心を持つきっかけとなることを願っています。本学ではこれからも未来の有権者に対する教育実践をより一層推進していきます。