【日本初!】10の国連機関・国際機関・外務省が参加し、中高生向け国際機関キャリアフォーラムを開催しました。

2015.10.26

「グローバルな課題解決に貢献したいけれど、進路選択にはどうすればいいの?」――グローバル化が進む日本では、将来の一つの進路に国際的な団体で活動したいと考える若者も少なくありません。一方で、企業への就職とは異なり、具体的なキャリアイメージは漠然としています。そこで、玉川学園では9年生から12年生に対して、国際機関などに勤務する方々をお招きし、具体的なキャリア形成に必要なことを学び、キャリアイメージを明確にする「中高生のための国際機関キャリアフォーラム2015 in 玉川学園」を開催しました。

国際貢献の道を歩むための具体的なキャリアイメージを伝えるフォーラム

グローバル社会に貢献できる人材の育成に重点を置く高等学校等に対して文部科学省が指定する、スーパーグローバルハイスクール(SGH)。玉川学園はその指定校として、「国際機関へキャリア選択する全人的リーダーの育成」をSGH研究課題に掲げ、グローバル人材育成のための教育課程開発に取り組んでいます。その一環として、9月12日(土)に玉川学園高等部主催の「中高生のための国際機関キャリアフォーラム2015 in 玉川学園」を行いました。今回のフォーラムでは、国連諸機関、外務省、国際NGOなどで活躍している方々を招き、職歴や国際貢献を目指したきっかけ、具体的なキャリア形成には何が必要なのか、どのような道があるのかについてお話いただき、キャリアイメージの理解を深めることを目指しました。

当日は9年生から12年生の生徒約900名が2グループに分かれ、希望する分科会に出席。各グループの分科会スタートに先立って、講堂で行われた基調講演に、外務省総合外交政策局国際機関人事センター課長補佐・萩野敦年さんが「今、グローバルに活躍することとは」をテーマに登壇しました。国際機関人事センターは、国連をはじめとする国際機関への就職を目指す日本人や、すでに国際機関で勤務している日本人のポストの獲得と昇進を目指して支援を行っています。さらに国際機関の仕事紹介、職員募集情報の提供、若手日本人を国際機関に原則2年間派遣するジュニア・プロフェッショナル・オフィサー(JPO)派遣制度の実施や国連職員の体験談などの情報を提供しています。

萩野さんは、「グローバル人材とはどういうことか。また、国際機関を目指すには、中学生や高校生の間にどのような勉強をしたりすればよいかをお話したいと思います」と始めました。日本の社会で進むグローバル化を説明しつつ、グローバルに活躍できる人の4つの条件「英語ができる」「国内外の社会の仕組みや文化への理解がある」「地球規模的課題に取り組める」「地球規模的課題に取り組むための専門性をもっている」について、分かりやすい例を挙げながら示しました。そして、中学・高校では何をすべきか具体的には、「スマートフォン使用の時間を削り、テレビのニュースや新聞等で国内・国際情勢を把握する」「チャレンジ精神をもって旅行などさまざまな体験を通して専門性を見つける」などを強調しました。また、基調講演後の分科会で多彩な国際機関での働き方を知り、積極的に質問することもグローバル人材への第一歩であると結びました。

現職の方々から聞く、個性豊かなキャリアパス

基調講演後は10の分科会で国際機関などで活躍されている方々が自身の経歴や国際貢献について語りました。

  • 分科会1

    国連人口基金(UNFPA)東京事務所長 佐崎淳子さん
    「早婚の影響 国連人口基金の活動および国連を職場として」

  • 分科会2

    国連児童基金(UNICEF)東京事務所代表 平林国彦さん
    「『志』の語源から考える自分の将来と目標 智を磨く能力」

  • 分科会3

    国連工業開発機関(UNIDO)東京投資・技術移転促進事務所次長 村上秀樹さん
    「技術が途上国を変える」

  • 分科会4

    国連開発計画(UNDP)プログラムアナリスト 野口義明さん
    「民間企業から国連へ:現役JPOの体験談」

  • 分科会5

    国連世界食糧計画(UFP)イエメン事務所プログラムオフィサー 野副美緒さん
    「世界を創る人になる―前線勤務国連職員」

  • 分科会6

    アフリカ開発銀行(AfDB)アジア代表事務所渉外・広報官 遠藤衛さん
    「私のキャリアとアフリカ銀行」

  • 分科会7

    国連難民高等弁務官事務所(UNHCR) UNHCR難民映画祭プロジェクトマネジャー 今城大輔さん
    「人道支援と映画」

  • 分科会8

    関西学院大学国際教育・協力センター教授 安居信之さん
    「国際ボランティアのすすめ―君も、いざ世界の任地へ―」

  • 分科会9

    日本紛争予防センター(JCCP)事務局長 石井由希子さん
    「ブレないキャリアのつくり方:組織を越えて活躍できる専門性を身につけていくために」

  • 分科会10

    内閣府国際平和協力本部事務局研究員 矢野麻美子さん
    「世界の貧困、スラムと『居住の権利』:キャリア形成の視点」

各分科会は教室で行われ、生徒は希望する分科会へ参加。熱心に聞き入り、積極的な質疑応答がありました。アフリカ開発銀行(AfDB)アジア代表事務所の遠藤衛さんの分科会6に参加した12年生の生徒は、「私は昨年からカンボジアに関心があり、現地でボランティア活動をしていますが、一つの地域に限らずいろいろな場所で経験を積み重ねることで、自分に合った国際貢献が見つかると思いました。また講師の方のキャリアを聞いて、社会へ出てからでも見つけることが分かりました。国際的に活躍したいという目標は変わりませんが、さまざまな体験を積み重ねることも重要だと思いました」と感想を述べました。

また、分科会7の国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)UNHCR難民映画祭プロジェクトマネジャーの今城大輔さんは、玉川学園高等部に在籍していたことのある方です。ベルギーで学んだ経験もあり、その後は「国境なき医師団」の事務局や現地アドミニストレーターとしてミャンマー、ネパール、スリランカなどで活動。さらに映画配給会社を経て、UNHCRが行う難民映画祭コーディネーターを担当。2010年にはハイチ、2013年にはソマリアにおけるNGOの医療援助活動にも参加されています。「人道支援と映画」をテーマに、ご自身の国際貢献との関わりや、10月に東京・札幌・仙台で行われる「第10回UNHCR難民映画祭」についてお話されました。

ボランティアへ参加した高等部生と今城さん ⒸUNHCR

今城さんは今回のフォーラムについて、次のように話しています。 「25年ぶりに母校を訪れ、感慨深いものがあります。在籍当時は、このような国際的に活躍するための学びの機会が今ほど多くありませんでした。それに比べると現在の生徒は国際貢献に関する講演会や授業などで学ぶ機会が多く、国際貢献に対する意識が非常に高いことが生徒の姿勢からひしひしと伝わってきました。分科会終了後には、『難民映画祭でボランティアとして参加したいがどうすればよいのか』などの質問がありました。積極的に受け止めてくれたことはとてもうれしく、頼もしく感じました。私自身は、国際貢献を目標にしてきたわけではありませんが、映画が大好きだったので、映画と国際貢献との着地点が、現職につながったのです。やはり、まずは自分の軸になること、情熱を持てるものがあり、それを活かす場が国際社会であればよいと思います。ですから、生徒たちにも自分が好きなことと国際貢献とが関係していれば、ぜひともその道を突き進んでいってほしいと伝えました」

10月2日(金)に行われた難民映画祭には高等部生3名が唯一の高校生の会場ボランティアとして参加。周りは大学生や大学院生、職員という中で一人ひとりが笑顔や気配りを絶やさず、来場者の出迎えや資料配布などの活動を行いました。

「グローバル人材育成」の一環として継続したい「中高生のための国際機関キャリアフォーラム」

このフォーラムを企画した硤合宗隆(そあい むねたか)教諭は、その意義について次のように話しています。
「本学がSGHの指定を受けて2014年度より始めた『グローバルキャリア講座』では、国際社会で活躍する各界の方をお招きして、貧困・人権・環境・外交・国際協力の5つについてお話をしていただいていました。今回は、一歩踏み込んで、生徒自身が国際機関で活動するために必要な具体的キャリアイメージを持たせることを目指して企画しました。国際貢献などに興味はあっても、どこから始めればいいのか分からないと疑問に感じている生徒が多いのが現状です。そのような中、分科会で具体的なキャリアをお話いただいたことで、生徒にとって身近に考えることができたと思います。「国際機関へキャリア選択する全人的リーダー」の育成を目指す本学のSGHの研究課題として、有意義なフォーラムでした。分科会で講師を務めた方々のお話に触発されて、将来は国際貢献できる職業に就きたいと考える生徒が一人でも増えてほしいと考えています。大学、大学院進学を通して、自分の専門分野を究めていくことが、最終的に多様な分野でのグローバルな課題の解決につながるでしょう。生徒たちには、文系理系を問わず多くの経験を通して国際的に活躍できる人材に育ってほしいと願っています。今後もこのようなフォーラムの開催を継続していきたいと思っています」
基調講演、分科会で様々な国際貢献への歩みをメッセージとして受け取った生徒たち。彼らの進路選択の一つに国際貢献と国際機関への就職のヒントになったフォーラムです。いつの日か国際社会で活き活きと活躍する姿が見られることでしょう。