教室内の異文化を理解する。県立地球市民かながわプラザの方による出張講義が行われました。

2015.11.27

10月23日(金)、教育学部4年生対象の科目「教職実践演習(大谷クラス)」で、神奈川県立地球市民かながわプラザ(通称 あーすぷらざ)の職員の方々による出張講義が行われました。テーマは「地域の教育資源と連携」。ゲストスピーカーとしてお迎えしたのは、あーすぷらざ 外国人教育相談担当職員兼相談コーディネーターの徳野早苗さん、外国人教育相談サポーターの市川ジョバンニさん、そして外国人教育相談担当職員の渡辺早織さんの3名。渡辺さんは、玉川大学文学部比較文化学科の卒業生でもあります。

徳野 早苗さん
市川 ジョバンニさん
渡辺 早織さん

あーすぷらざでは、日本語を母語としない児童生徒の支援として、学校や教員のサポートを行ったり、外国人向けの相談窓口を開設しています。また、多言語で書かれた絵本、多学校の書類の雛形、教材、本など、日本語を母語としない大人や子どもだけでなく、そういう人達を支援する学校の教員や支援員にとっても役立つ資料を集めた図書館や情報のリソースセンターもあります。このような日本語指導を必要とする子供たちはリーマンショックと3.11のあった翌年以外はずっと増加しており、その背景も日本で働くことになった両親と一緒に来日したり、両親のどちらかが外国籍だったりとさまざまです。こうした「外国につながる子どもたち」が日本の教育現場で直面している色々なハードルや課題についてお話しいただきました。

授業では徳野さん、ジョバンニさん、渡辺さんから、事例を交えてさまざまなマイノリティの子ども達が直面する学校や社会のハードルについてお話がありました。たとえば、出身の国や地域によっては姓名が「名前、ミドルネーム、母親の名字、父親の名字」といったように非常に長くなることもあります。ジョバンニさん自身、ペルーから来日し、日本の男性と結婚しましたので、ジョバンニさんの名前は、名前、ミドルネーム、母親の名字、父親の名字、夫の名字がつきます。でも、日本の本人確認に使うような正式な書類では名前欄の文字制限があるため、保険証の名前は途中で切れてしまっています。名前は、その人のアイデンティティに繋がる文化や親の願い、歴史が凝縮しているものですが、それが文字数で自動的に切れてしまっているのです。学校では聞き慣れない名前というだけでからかわれることもあります。この名前についての指摘は、研究者からも指摘されている課題の1つでもあります。また、授業について見ていくと、海外の学校から転校してきた子どもは科目によって進捗状況や指導内容が異なります。たとえば、数学の授業の「素数」を、中国では「因数」と表記します。中国で学んできた生徒が因数分解を学ぶ時に混乱するそうです。勉強以外でも、文化・習慣の違いからくるトラブルも多いとのこと。ブラジル出身の児童が掃除の際に足で雑巾掛けをしたので教員が叱責したところ、その子はブラジルでは雑巾を手で扱わないように指導されていたという事例もあるそうです。

「外国につながる子どもたちと接すると、自分が当たり前と思っていたことがそうでないことに直面します」と徳野さん。そうした違いを受け入れる心構えが重要で、それを踏まえて学習面や生活面で配慮したり、保護者への支援などが必要なのだそうです。授業の終わりには、教師や教育支援などに関わる人達がこれらの問題に直面した際に役立つ機関や教材が紹介されました。日本語を母語としない子ども達もいずれは日本社会で活躍していく大切な人材です。その人材育成の大切な機会となるよう、教師や教育支援に関わる人達の理解が重要なのです。

講義終了後、渡辺さんにお話を伺いました。玉川大学在学中に日本語教育を副専攻し、卒業後はJICA日系社会青年ボランティアに参加。ブラジルの日系日本語学校で2年間の教員経験もある渡辺さん。「自分も海外経験があるので、言葉が通じない不安や悩みは理解できる」といいます。「学校の先生が自分のことを少しでも理解してくれていると感じられれば、子どもたちの気持ちもずいぶん楽になると思います。子どもたちとの関わりで何か困ったことがあったら、自分一人で抱え込まず、あーすぷらざのような場所を活用してもらいたいですね」。
また今回の授業に参加した学生からも、「外国につながる子どもがクラスにいる場合、その子の文化や習慣を尊重しつつ指導を行うことが大事だと思いました。また、教員自身もその国の言葉や文化を知ることも大事だと思います(女子学生)」、「今日の授業を受けて、自分の認識不足を実感しました。社会に出るまでに、一度あーすぷらざを訪れてみたいと思います(男子学生)」といった感想がありました。

講義後にゲストスピーカーに
質問する学生も多く見られた

講義の最後に”Head, Shoulder, Knees and Toes”をスペイン語で歌った。

近年グローバル化が社会のあらゆる分野で叫ばれており、教育の分野でも英語教育を中心に行われています。ただ、実社会ではそれ以上の速度でグローバル化が進んでいるのが現状です。そのことを、今回の授業で学んだ学生たち。彼らが外国につながる子どもたちと日本の子どもたちをつなぎ、いい異文化コミュニケーションの機会にできるような先生になることを願っています。