巨人軍の山口鉄也投手が来校。少年野球に関するシンポジウムが開催されました。

2016.01.20

玉川大学教育学部の健康教育研究センターは、玉川大学や玉川学園における健康教育の推進を目的とし、研究活動の他、国際交流などさまざまな活動を展開しています。そして開設以来、毎年スポーツの分野で活躍されている方を招いてのシンポジウムも開催してきました。 3年目となる今年は、「スポーツと教育 〜プロ野球選手からみた少年野球の育成〜」と題し、12月5日(土)に大学教育棟2014の521教室で開催。シンポジストとして読売ジャイアンツの山口鉄也投手、ジャイアンツOBで玉川大学硬式野球部監督の樋澤良信氏、そして同じくジャイアンツOBで玉川大学硬式野球部特別コーチの関本四十四氏と杉山茂氏をお招きしました。

山口投手は2006年、アメリカのルーキーリーグ、ミズーラ・オスプレイから読売ジャイアンツの育成選手に。その後は8年連続で60試合に登板するなど、中継ぎのエースとして活躍しています。また樋澤氏、関本氏、杉山氏はジャイアンツがリーグ9連覇を達成した当時、第一線で活躍されていた「V9戦士」でもあります。


シンポジウムは山口投手、樋澤氏、関本氏、杉山氏が司会の川崎登志喜教授からの質問に答える形で進行し、まずはそれぞれが少年時代に受けた指導法について語ってもらいました。野球を始めたころはお兄さんのいる軟式野球チームに入っていたという山口投手。「昨今は公園でもキャッチボールが禁止されるなど、若年層が野球を楽しむには難しい環境にある」といいます。 また関本氏からは「かつては子供たちが楽しむスポーツといえば野球で、仲間内で一番運動神経のいい子供が、エースで四番の時代でした。けれども今はサッカーなど他のスポーツを希望する子供も多い。また最近はテレビでも野球中継が少ないので、子供たちの野球への関心もなかなか高くならないのではないでしょうか」といった意見がありました。

また少年野球の課題として、指導体制についても多くの提案がありました。サッカーと異なり、少年野球の指導にライセンスは必要ありません。それを確立させたらどうかという意見もあります。しかし父兄がコーチをすることが多い少年野球は、技術より勝利を重視する傾向があり、ライセンス制度よりもコーチングについての知識を高めることのほうが、より重要に思います」と杉山氏。 樋澤氏も「私もリトルシニアを指導したことがありますが、どうしても父兄は勝利を求めてしまいます。子供たちはもっと楽しんで野球をするほうがいいと思います」と口を揃えます。

山口投手も「自分の中で子供の頃の思い出といえば、試合の後に指導に携わった友だちのお父さんも交えて、皆でごはんを食べにいったことです。指導にはライセンスも必要かもしれませんが、そうした楽しさを子供たちには感じてもらいたい」とのことでした。また関本氏は「高校野球はトーナメント形式なので、負けない野球を徹底するために守備練習に重きを置いてしまう。ただ、野球本来の楽しさは打撃にあるはず。学年が下がるほど、バッティングを重視するべきではないでしょうか。また高校野球経験者は教員となった際に高校での指導を希望し、中学校での野球指導者が不足しているという現状があります。皆さんが教育者となった際には、ぜひ中学校で指導してもらいたいですね」と教職を志す学生たちにメッセージを送りました。

シンポジウムの後半ではシンポジストへの質問がありました。山口投手に対して「ラグビー日本代表の五郎丸選手のルーティンが話題ですが、何かルーティンを行っていますか」という男子学生の問いに「中継ぎはピンチの時にマウンドに上がることも多く、目薬をさして気分をスッキリさせてから上がります」とのことでした。また高校の野球部でコーチをしているという男子学生からは、選手のモチベーションの上げ方についての質問がありました。

「どういう集団なのかを見極めることが大事。上手か下手かよりも、野球が好きなメンバーが揃うと俄然強くなる年代です。感受性も強い時期なので、コーチの存在は重要です」と杉山氏。また樋澤氏からは「自分が玉川大学野球部の監督に就任した際は、まず100名以上いる全部員の名前を覚えました。コミュニケーションを大切にし、アップの段階から選手をきちんと見ることが重要です」という意見がありました。

我が国のメジャースポーツの代表格であり、2020年の東京オリンピック・パラリンピックでは正式種目としての実施が期待されている野球。今回のシンポジウムでは現役選手や指導者の立場から、少年野球に対してのさまざまな提言を聞くことができました。