玉川大学・玉川学園Webサイト
IEサポート終了のお知らせ

玉川大学・玉川学園webサイトTOPページリニューアルに伴い、Microsoft 社の Internet Explorer(以下、IE)のサポートを終了いたしました。本学園が運営するサイトをIEで閲覧した場合正しく表示されない恐れがございます。
皆様にはご不便をおかけしますが、別のブラウザを利用しての閲覧をお願いいたします。

ケラ

顔はコオロギに似る。この両前脚で土を左右にかき分けながら土中を進む

俗称の「おけら」は誰しも聞いたことがあると思う。田んぼや草原、畑が残る玉川のキャンパスには、まだケラがいる。
土の中にトンネルを掘って生活しているので、姿を見ることは稀だが、初夏にその地下トンネルを共鳴させ、かなり大きな声で“ジーーッ”と鳴くのを聞いたことはあるかもしれない。姿が見えないので、古来ミミズが鳴いていると信じられてきた。
手に取ってみると、ともかく穴掘りの名手だけあって、前足がモグラとそっくり。ちなみに英名も、Mole cricket(モグラコオロギ)だ。爪はグローブのようで、草の根を切るためだろうか、鋸(のこぎり)のような歯がついている部分もある。
普段は土中にいるものの、実は細かいビロード状の体毛はよく水を彈(はじ)き、泳ぎが上手い。そればかりか普段は折りたたまれているが立派な翅(はね)も持っていて、空を飛ぶことだって得意なのである。
水、陸、空と何でもこなすところは、まるで“玉川っ子”の理想像みたいだ。ただ、多芸だがどれも大したことはない様を「ケラ芸」と称したりもする。ケラにはちょっと申し訳ない。

(名誉教授 佐々木正己)
『全人』2019年5月号(No.838)より

ケラ

学名:Gryllotalpa orientalis
英名:Mole cricket
バッタ目ケラ科

ケラの仲間は熱帯、温帯に多くの種が生息するが、日本にはこのケラ1種のみ。体長は30mmほど。全身褐色で尾端には2本の長い尾毛がある。トンネルはねぐらに使う深い縦穴と、採餌のために地表近くを縦横に走る横穴から成る。雑食性

翅は4枚で、普段は背中の上にたたまれている
穴掘り用に特化した前脚。モグラとそっくりで、収斂進化の好例とされる

シェアする