玉川発見伝 10

江戸城から運ばれた石で組まれた坂下門

モリナガ・ヨウ Yoh Morinaga

1966年東京都生まれ。早稲田大学教育学部卒業。取材対象を細密かつ緩やかな画風で表現。著書に『図解絵本 東京スカイツリー』『築地市場 絵でみる魚市場の一日』(第63回産経児童出版文化賞大賞)など多数

坂下門とは、正門を入り玉川池を過ぎて坂になったところの右手に見える石垣のこと。どっしりとした存在感がある。

石は江戸城由来で、地下鉄工事で外堀を浚渫(しゅんせつ)した際、竹橋付近で引き上げられたものを、宮内庁より無償で譲り受けたという。学内に運ばれ、職員の築造指導により以前の校門を改築する形で1966(昭和41)年1月に竣工した。

その後、正門から見て左側の石垣は解体されたが、将来再び築造する構想があり、学内に保管されている。

石垣にはめ込まれた創立者小原國芳の碑文、「一日不作、一日ふ食」は、「一日なさざれば、一日食らわず」と読む。中国・唐の時代の禅僧、百丈懐海(ひゃくじょうえかい)のこの言葉は、時を経て風格を増した石垣とともに、労作を尊んできた玉川教育を物語っている。

『全人』2017年3月号(No.814)掲載