『全人』2016年3月号 No.803より
2016年3月号 No.803
3月号の特集は「食」を取り上げました。食は生きることの基本。そして、楽しく安全に食べることは学びのエネルギーに結びつきます。
巻頭のインタビューには食をテーマにしたベストセラー漫画『孤独のグルメ』の原作者、久住昌之さんが登場。「おいしいとは何か」をうかがいました。続いて、朔風館、KEYAKI、りんどうの学内3つの食堂の人気メニューやトピックス、K-12の園児、児童、生徒が家庭から持ってくるお弁当、食を尊ぶ労作など、玉川の生きた食育をレポート。研究エッセイでは、玉川の丘の自然の恵みを教材に、食べる体験から発展する総合科の学習を生き生きとした写真とともに紹介しています。
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10年、20年経っても変わらない、普遍的な作品を書きたいと思ってきました。『孤独のグルメ』は、単に「おいしい!」ということでなく、心の中の機微を表現しています。食をテーマにしたのは、世の中に、食べない人はいないから。つまり、誰もが共感できるネタだからです。だって、下ネタにみんなが笑うのは、トイレに行かない人はいないからでしょ。対して、食は上ネタと僕は呼んでいます。(略)
〝おいしい〟には料理自体がおいしいというのではなくて、いろんな記憶がまつわっているものだと思います。どんな自分が、どんな状況で食べたか、ということは、のちのちまで自分の好みに影響をおよぼすと思います。インタビュー「おいしいは、記憶がつくる」 久住昌之 p4
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私は本年度、2年つばき組を担任しています。学級の総合科の時間に玉川の自然を教材として積極的に活用し、なかでも学内の木からさまざまな実を収穫して食べることを重視しています。5月はユスラウメと夏グミ、6月はプラム、9月はザクロに栗に柿、11月はユズや銀杏。木の実や果実の生長から季節の移り変わりを感じ、児童が自ら収穫して食べることで、味覚はもちろん触覚、視覚、嗅覚も、五感すべてが刺激され、記憶にしっかりと刻まれます。自然がもたらす恵みを食べることは、命をもらうこと。もらった命が自分の体をつくっていくという感謝の気持ちも教えます。(略)
「百聞は一見に如かず、百見は一労作に如かず」とは、創立者が遺した言葉です。自然から学ぶという幼少期の体験を通して、その後の学びがより充実したものになることを確信しています。研究エッセイ「丘の恵みを教材に」 菅 淳平 p16
目次
- [特集]「食べる」は大切
interview おいしいは、記憶がつくる 久住昌之
大学
朔風館 「1日8時間の学修」を支える学内最新の食堂
KEYAKI 研究成果「夢菜®」が身近な食堂には40年変わらない定番も
りんどう 塾食にルーツを持つ食堂は"量"を変わらず重視
K-12
お弁当 玉川っ子を元気にする毎日のお弁当
労作 体験が育む自然を尊重する心
学び Food Science Hallで広がる食育と教育連携
故きを温ねて 32
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研究エッセイ
丘の恵みを教材に 菅 淳平 - TAMAGAWA GAKUEN NEWS
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