『全人』2009年10月号 No.732より

• 「宇宙は永遠のフロンティア」と語るJAXAの阪本成一教授

  将来、われわれ人類は月面に基地をつくろうとしています。さらにその先には、火星に基地をつくるかもしれません。ただし、移住のためではなく、あくまで科学の研究のための基地としてです。宇宙というフロンティアに科学者がどんどん進出して、宇宙のことをもっと調べようというわけです。（略）
  昔は地動説など考えられないほど、地球は非常に大きく、われわれを懐深く守ってくれる存在でした。しかし、今や地球は大きな宇宙に浮かぶひとつの宇宙船でしかないと思います。宇宙船地球号に乗り込んでいる私たちは、宇宙飛行士たちのような資質をちゃんと備えているか、もう一度問い直すべき時代に来ているのではないでしょうか。

  「ガリレオの宇宙、現代の宇宙」 阪本成一 p4

• チンパンジーと人間を比較することで「心の進化」の過程を解明する京都大学霊長類研究所の松沢哲郎教授

  チンパンジーとヒトの祖先が同じだとすれば、私たち人間も、かつては彼らと同じくらい優れた短期記憶能力を持っていたとも考えられます。それがなぜ人間からは失われてしまったのでしょう？ おそらく、人間が短期記憶の能力を維持する代わりに、別の能力を進化させたことが原因と思われます。つまり、ものを象徴化して認識する表象形成の能力はじめ、言語能力、想像力などを進化させていくうち、短期記憶能力は徐々に退化していったというわけです。
  以前、顔の輪郭だけを描いた画用紙をチンパンジーに渡して、そこに何を描くのかを調べたことがあります。チンパンジーたちの多くは、もとから描かれていた顔の輪郭線を上からなぞるという行動を示しました。同じ実験を3歳前後の人間の子どもに行ったところ、ほとんどの子どもは、輪郭線をなぞることはしないで、顔の中に目を描き込んだんです。これが何を示しているか、もうお分かりですよね。そう、チンパンジーが「そこにあるもの」を見ているのに対して、人間は「そこにはないもの」を想像しているんです。

  「脳と心の対話」玉川大学グローバルCOE特別講義5 松沢哲郎 p15

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目次

• 世界天文年2009──〈SSH講演会より抄録〉

  ガリレオの宇宙、現代の宇宙…阪本成一

• 学園ニュース
  • ［K-12］創立80周年記念 2009 教育セミナーat Tamagawa開催…渡瀬恵一
  • ［K-12］ロックスベリー・ラテン・スクール夏期研修に参加…細木敬彦
  • ［大学＆K-12］トランジションズ・ダンス・カンパニー来園…法月敏彦
  • ［大学］「触れてみよう！ 脳とロボット」開催…大森隆司
  • ［大学］Tamagawa Fashion Show ’09開催…林 三雄
• グローバルCOE特別講義〈脳と心の対話〉 5

  松沢哲郎 比較認知科学・霊長類学者
  「人間の親子関係と知性の進化」

• 玉川の丘、再発見 27

  達成感に支えられて 高学年自由研究…白柳弘幸

• Book Review 63

  『陽気なギャングが地球を回す』…佐野真之

• On Demand Education Report 5

  芸術学部｢官学教育連携プロジェクト｣…田中敬一

• 見つめる＆見つめ直す…家庭力 27

  内海裕美 小児科医

• MMRC通信 5

  マルチメディアを活用した自由研究をサポートする…伊藤史織

• 行事報告

  林間学校 4年生…倉本佳代子

• 学びの礎 5

  玉川の宗教教育 心の安らぎを求めて…池田裕明

• Career Navigation '09 -5

  仕事interview＆実践セミナー

• Classics散歩道 44〈最終回〉

  知音…等松春夫

• 同窓会インフォメーション

  ホームカミングデー＆コスモス祭にお越しください！

• 学園日誌…小原芳明
• Photos of the Day│創立80周年記念音楽祭
• 平成21年度 玉川大学 第九 演奏会のご案内
• 学園スケジュール│玉川大学・玉川学園のイベントと入試に関するご案内
• 表紙の風景│ONE DROP OF A LADY 北村倫子【作】
• 教育博物館館蔵資料紹介 215│增續大廣益會玉篇大全…菅野和郎
• TAMAGAWA HEADLINES 学園近況
• 玉川の仲間たち│キンモクセイ…畑中喜秋